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スカイプで高齢者のうつを解消できるか

年を取ることは容易ではなく、高齢者の健康における最大の懸念の1つに社会的孤立があります。
家族が家を出て友人が亡くなると、高齢者は連絡を断たれ、孤独を感じることがあります。
孤立はうつ病の重要な予測因子であり、多くの高齢者がうつ病を罹患する原因かもしれません。
アメリカ疾病予防管理センターによると、高齢者の最大約5%が大うつ病を患っており、その数は在宅医療を必要とする患者では13.5%、高齢の入院患者では11.5%に上ります。

ですので、社会が高齢者とつながることが助けになるのです。
現代の技術によって新しい方法で友人や身近な人と連絡を取り合えるようになっており、米国老人精神医学ジャーナル(American Journal of Geriatric Psychiatry)で最近発表された研究では、ひとつの技術、「ビデオチャット」が他の何よりも効果的であることがわかっています。

オレゴン州ポートランドにあるオレゴン健康科学大学の研究者は、高齢者にとって最も効果的な方法を探すため、以下の4種類のオンライン通信技術を調査しました。

  • ビデオチャット
  • Eメール
  • ソーシャルメディアネットワーク
  • インスタントメッセージ

電子メールやインスタントメッセージ、Facebookのようなソーシャル・メディア・プラットホームを使用する高齢者(平均65歳)におけるうつ症状の発症率は、何の通信技術も使用しない高齢者のものとほぼ同等となりました。
しかし、SkypeやFaceTimeなどのビデオチャットアプリを使用した人は、既存のうつ病や教育レベルといったその他要因を調整した後も、推定うつ病発症率がほぼ半分となりました。


- 社会的つながりの利点
この研究は、オレゴン健康科学大学精神医学准教授であるアラン・テオ博士によって主導されました。
この研究は2015年に発表され、他の形態の社会的接触と高齢者のうつ病リスクの関連を調べた同氏の過去の研究の追跡調査でした。
「この研究で私たちは、対面での接触が最も効果的であることを見出しました。高齢者が身近な人と接触する機会が多くなればなるほどうつ病発症率は低くなり、この効果はその後も持続します。」とテオ氏は言います。
「電話や電子メールはそれほど効果的ではありませんでした。」

この研究が発表された後、テオ氏は、ソーシャルメディアやビデオチャットプラットフォームなどのより現代的なコミュニケーションツールではどうだろうと考えるようになりました。
彼は、こうした様々なコミュニケーションツールを使用し、うつ病を患っていると自己申告した1,400人以上の高齢者を対象に調査を行いました。

「最初の印象として、使用するテクノロジーが多ければ多いほどうつ病リスクが低くなるように思えましたが、その根拠は見出せませんでした。」とテオ氏は言います。
「リスク低下の要因はビデオチャットだったのです。ビデオチャットの利用は、一貫してうつ病発症率の低下につながっていました。これはユニークな効果であると感じます。」

「これは信じられないほどに驚くべきことではない」と、ニューヨークにあるコロンビア大学のアービング・メディカルセンターに勤務する精神医学教授であるフィリップ・R・マスキン博士は言います。
「孤独はうつ症状を引き起こします。誰にとっても、しかし高齢者にとっては確実に、社会とのかかわりが増えれば増えるほど、うつ病になる可能性は低くなるのです。」と彼は続けました。
「対面することと同等ではありませんが、電話や電子メール、その他テクノロジーと比べて、ビデオチャットはよりリアルタイムで説得力があり、人を引き付けます。電子メールでは誰も私のジョークを理解してくれず、孫と話すときはビデオチャットを使います。」


- 対面時間は貴重です
この調査は因果関係ではなく相関関係を示しており、ビデオチャットでうつ病を予防できるとはいえません。(テオ氏は現在、うつ病と孤独治療の因果関係を調査するための補助金申請を行っています。)
この研究の被験者の平均年齢であった60代の成人は、もはや「高齢者」とはみなされていません。またテオ氏は、被験者が年を取るにつれてビデオチャットとうつ病の関連性がどのように変化するかを確認するためのデータ解析を行っていませんでした。

しかし、こうした潜在的な問題があることで今回の調査結果が損なわれる訳ではないと、マスキン氏は言います。
「高齢者の親戚と関わり合いを持つことは、大変良いことです。」と彼は話します。
「スカイプやフェイスタイムはより多くの時間を要するかもしれませんが、この研究では、こうしたツールの使用を検討すべきことが示されています。」
高齢者テクノロジーのスピードについていくことができず、使い方を教えることのできる子供や孫が周りにいない場合、多くの高齢者センターでは支援が提供されています。
「親戚とこれについて話してください。周りの人に、関わり合いを深めることを促すのです。」と、マスキン氏は言います。

「対面接触に出来る限り近づけるように作られたビデオチャットやテクノロジーを駆使することが、この研究におけるゴールドスタンダードです。」とテオ氏は結論付けました。
「長期的で持続的な情緒的健康のためには、身近な人と対面で充実した時間を過ごすことがベストです。」
高齢者にかかわらず、全ての人の孤独や社会的孤立を解決するには、創造的な解決策が必要であると、彼は言います。
「薬を飲むことで治るようなものではありません。」とテオ氏は話します。「
80代の父とフェイスタイムをすることは、学習行動と呼べるでしょう。この行動療法アプローチは、効果的である可能性は十分にあります。」

出典:2019年1月4日更新 U.S.News Health 『Can Skype Help Seniors Beat the Blues?』(2019年5月3日に利用)
https://health.usnews.com/health-care/patient-advice/articles/2019-01-04/video-chat-apps-can-help-se...