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JapanRx / スキーヤーはうつ病や血管性認知症の発症率が低いが、アルツハイマー病は当てはまらない

スキーヤーはうつ病や血管性認知症の発症率が低いが、アルツハイマー病は当てはまらない

うつ病の診断数が半数になり、パーキンソン病の発症が遅れ、血管性認知症の発症リスクが減るものの、アルツハイマー病にこれは当てはまりません。
上記の関連は、研究者が、1989年から2010年の間ぶ長距離クロスカントリースキー競技に参加した200,000人と、一般人口の対象群とを比較したことで見つかりました。
この人口登録調査は、スウェーデンのランド大学とウプサラ大学の研究者によって主導され、調査結果は最近科学雑誌にて発表されました。

「脳の研究者として、20年間にわたり身体的に活動的である並外れて大規模な集団を分析する貴重な機会を得ることができました。そして、いくつかの興味深い結果が明らかになりました。」と、トーマスデイルボルグ氏は言います。
彼は研究チームのリーダーであり、ランド大学の助教授を務めています。

以前に示されていたこととして、スウェーデンで人気のクロスカントリースキー競技であるヴァーサロペットのスキーヤーの、心臓発作発症リスク減少があります。
しかし、これは脳疾患には当てはまらないようです。

ヴァーサロペットのスキーヤー集団(計197,685人)において、血管性認知症を発症した人数は対象群(計197,684人)と比べて50%少なくなりました。
一方研究者は、アルツハイマー病の発症リスクは減少しないことを発見しました。
この結果は、過去に行われたこの分野の研究結果と矛盾しています。
以前は、身体活動がアルツハイマー病に影響することが示されていました。

スキーヤーがヴァーサロペットのスキー競技を完走した20年後、233人が認知症(血管性およびアルツハイマー性認知症を含む)を発症し、内40人が血管性認知症、86人がアルツハイマー病の診断を受けました。
一般集団では、319人が認知症を発症し、内72人が血管性認知症、95人がアルツハイマー病の診断を受けました。

「調査結果は、身体活動がアルツハイマー病を引き起こす分子プロセスに影響しないことを示しています。このプロセスには、アミロイドタンパク質の蓄積などがあります。それにもかかわらず、身体活動によって、脳および体全体の血管損傷リスクが減少しました。」と、オスカー・ハンソン氏は言います。
彼は、ランド大学で神経学の教授を務める記憶研究者です。

研究者がMalmö Diet and Cancerと呼ばれる集団研究で20,000人を対象に調査を行った所、同様の結果が見られました。
最も身体的に活動的な被験者は血管性認知症発症リスクが低くなり、これはヴァーサロペットの対照研究で見られた結果と一致していました。
一方、アルツハイマー病発症においては、最も身体活動の多い集団と身体活動の少ない集団における有意な差はみられませんでした。

研究者はまた、ヴァーサロペットのスキーヤーは加齢に伴うパーキンソン病発症リスクが減少するかどうかに関する調査も行いました。
ヴァーサロペットのスキー競技に参加した21年後、119人がパーキンソン病の診断を受けていました。
一般集団では、診断を受けた人数は164人でした。
しかし、身体活動の多い人(ヴァーサロペットのスキーヤー)と一般集団における差は、時間とともに無くなるようでした。

「この結果の背後にあるメカニズムについては調査が必要ですが、身体活動の多い人は、疾患の発症を遅らせる“モーターリザーブ”を有しているようです。たくさんのトレーニングを行うと、脳内で病理変化が起きたとしても、機動力を長く維持できる可能性があります。」と、この研究の執筆者であり、博士課程の生徒であるトーマス・オルソン氏は推測しています。

研究者がヴァーサロペットのスキーヤーの内うつ病を発症した人数を調べた所、一般集団と比較して、発症リスクが半分に減少したことがわかりました。

20年間の追跡調査の中で、計3,075人がうつ病の診断を受け、内1,030人がヴァーサロペットのスキーヤー、2,045人が一般集団の人々でした。

研究者は、性別による差についても調査しました。
うつ病を患うリスクは男性において遥かに低く、彼らは最も速いスキーヤー集団に属していました。
これは、タイムの速い女性のヴァーサロペットのスキーヤーには当てはまりませんでした。

「しかし、タイムの最も速い女性は、一般集団の身体活動の低い人達と比べてうつ病発症リスクが低いことに変わりはありませんでした。」と、マルティナ・スベッソン氏は言います。
彼女はラング大学の博士課程の生徒であり、この科学記事を執筆しています。

出典: 2019年11月26更新 Science News『Skiers have lower incidence of depression and vascular dementia -- but not Alzheimer's』(2019年12月4日に利用)
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/11/191126121217.htm