スタチンは他の心臓薬としばしば相互作用する
コレステロールを低下させるスタチンは、心臓病に処方されている他の薬物と相互作用する可能性があります。
しかし、米国心臓協会(American Heart Association)の新しい勧告によれば、この問題を解決する方法があります。
スタチンは、米国で最も広く処方されている薬物の一つです。
米疾病対策予防センター(CDC)の2014年の調査によると、40歳以上のアメリカ人のおよそ4分の1がスタチン系のお薬を服用しています。
このお薬はアテローム性動脈硬化症(動脈詰まり)またはそのリスクがある人々に処方されているため、多くのスタチン薬の服用者は他の心血管薬も服用しています。
サウスカロライナ医科大学の心臓病学の臨床薬局の専門家、バーバラ・ウィギンズ博士は、一般的にこれらの薬の組み合わせの利点はリスクを上回ると述べています。
しかし、医師や患者は、どのような薬の相互作用があるかを知っておくべきであると、新しい提言の筆頭著者であるウィギンズ博士は述べています。
心臓協会によると、心臓薬の全種がスタチンと相互作用する可能性があります。そしてその薬剤リストは、10月17日号のCirculationに掲載されています。
*フィブラートと呼ばれる他のコレステロール薬、
特にゲムフィブロジル(ロピド)
*アムロジピン(ノルバスク)、ベラパミル(カラン、コヴェラ-HS)
およびジルチアゼム(Cardizem、Dilacor)を含むカルシウム遮断薬とよばれる血圧降下薬。
*ワルファリン(クーマディン)やチカグレロールなどの血栓予防薬。
*アミオダロン(コルダローン、Pacerone)、ドロネダロン(ムルタク)、ジゴキシン(ディゴックス、ラノキシン)などの不整脈や特定の心不全の治療を治療するために使用される薬物。
*イバブラジン(コルラノール)およびサクルビトリル/バルサルタン(エントレスト)のような心不全治療薬。
ウィギンズ博士によると、最も一般的な問題は、他の薬剤が血中スタチン濃度を上昇させるということです。
その結果、筋肉に関連する副作用のリスクが高まります。
スタチンは筋肉組織を傷つける可能性があり、ほとんどの場合、筋肉の衰弱または痛みの原因となります。
まれに、筋繊維が壊れて腎臓に損傷を与えるかもしれない横紋筋腫と呼ばれる、より重篤な問題が発生します。
スタチンの相互作用による可能性がある潜在的な疾患は他にもいくつかあります。
スタチンは、例えば、血餅予防薬ワルファリンの血中濃度を上昇させることがあり、これは内出血のリスクを高める可能性があります。
スタチンと他の心臓薬との相互作用の多くは「軽度」であり、単純にスタチン用量を制限するだけで十分であるとウィギンズ博士は述べています。
しかし、心臓協会は避けるべきいくつかの薬物の組み合わせがあると警告しています。
筋肉傷害の危険性があるため、例えば、ロバスタチン(メバコール)、シンバスタチン(ゾーコール)およびプラバスタチン(プラバコール)は、フィブラートコレステロール薬ゲムフィブロジルと共に使用すべきではありません。
ケンタッキー大学のギル心臓研究所の医学部の教授であるトーマス・ウェイン博士はこれに同意しました。
スタチンでフィブラートを必要とする人々のためにより良い選択としてはフェノフィブラートと呼ばれる薬あると彼は言いました。
AHAによると、フェノフィブラート(Fenoglide、Tricor)は、スタチンレベルをほんのわずかしか上昇させません。
ウィギンズ博士とウェイン博士はスタチンの一般的な安全性を強調しました。
「これらはすばらしい薬であり、相互作用を怖がらなくてもよいです。」と、研究に関与していなかったウェイン博士は述べました。
それと同時に、スタチンや他の心臓薬に限らず、誰もが薬物相互作用の可能性を認識する必要があることを付け加えました。
ウェイン博士は「あなたが服用しているすべての薬や市販のサプリメントについて医者へ伝えてください。」とアドバイスしています。
「サプリメントと医薬品の間にも相互作用があることを認識する必要があります。」
また、ウィギンズ博士は別のポイントを指摘しました。「たとえ誰かが特定の薬剤の組み合わせで暫らく服用していたとしても、暫らく過ぎてから相互作用の問題が引き起こされる可能性があります。」
たとえば、人の腎臓機能が時間の経過と共に変化すると、それによって相互作用が起こりやすくなる可能性があるとウィギンズ博士は説明しています。
彼女は筋肉の衰弱や痛みなど、スタチンや他の薬に関連する可能性のある症状があれば都度、医師と話すことを勧めました。
ウィギンズ博士は、「患者は薬を変更したり、たとえ、薬の服用をやめた時でも、都度、医師または薬剤師に相談するべきです。」と付け加えました。
彼女は、これらの変化のいずれかが、薬物がどのように代謝されるか、副作用の可能性に影響を与える可能性があるとも述べました。
(記事元)https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/statins-news-780/heart-group-issues-advice-on-statin-drug-interactions-715905.html