スマートフォンAIによる糖尿病性網膜症の早期発見
2つの技術を新たに組み合わせることで、糖尿病性網膜症の早期スクリーニングが得られる可能性があります。
糖尿病性網膜症は、早期に治療を始めないと失明につながる可能性がある疾患です。
ミシガン大学ケロッグアイセンターの研究者らは、2019年の視覚眼科学会の年次総会で、高品質の網膜写真を撮るスマートフォン搭載デバイスと、
それらを読む人工知能ソフトウェアを組み合わせることで、眼科医が患者の追跡調査が行われるべきであるかどうかをリアルタイムで確認します。
ケロッグアイセンターの網膜硝子体外科医であり、研究の主執筆者であるヤニス・パウルス博士は、
「DR(糖尿病性網膜症)関連の視力喪失を予防するための鍵は、定期的なスクリーニングによる早期発見です。」
「そのための鍵は、携帯型で管理が簡単で信頼性の高い網膜スクリーニングをプライマリケア医院や診療所に提供することだと考えています。」
と述べました。
ミシガン大学医学部は、スマートフォンの技術を眼科検診に応用する取り組みをリードしています。
パウルス博士は、スマートフォンを機能する網膜カメラに変えるデバイスを開発したケロッグチームの一員です。
新しい研究では、現在『RetinaScope』と呼ばれる最新世代のデバイスを利用しています。
「従来の眼底カメラは高価で、大きく、動かせず、操作するには特別なトレーニングが必要ですが、RetinaScopeは安価で、持ち運びが可能、
使いやすくトレーニングを必要としないスマートフォンベースのプラットフォームです。」
と眼科および視覚科学の助教授および生物医学工学の助教授でもある、パウルス博士は述べました。
RetinaScopeのようなスマートフォンプラットフォームは、事実上どこにでも高精細網膜画像を配信するために使用できますが、
それは課題の一部に過ぎません。
「眼科医が画像を解釈するのに2〜7日かかることがあります。」
と、パウルス博士は説明します。
「スクリーニングを本当に利用しやすいものにするためには、必要に応じて眼科予約をするために、患者が来院中にその場でのフィードバック、
写真の撮影、解釈を行う必要があります。」
そこで、ディープニューラルネットワークソフトウェアと呼ばれる新たな技術が登場します。
「ディープニューラルネットワークは、画像を強化してレビューし、DRに存在する病変の重度を自動的に分類することができる、
AIソフトウェアプラットフォームであり、どの病変が、眼科医による追跡調査を必要とするかを示します。」
パウルス博士のチームは、カリフォルニアに拠点を置くEyenuk社によって開発されたEyeArtと呼ばれる独自のソフトウェアプラットフォームを利用しています。
「これは、イメージング技術と自動化されたリアルタイムの解釈を組み合わせて、定番の検査である拡張眼科検査と比較した最初の研究であり、
その結果は非常に有望です。」
気になる障害物を減らす
以前、治療医による拡張細隙灯眼底検査の以前に記録された結果を含むケロッグアイセンター網膜診療所で見られた69人の糖尿病の成人患者からデータが収集されました。
瞳孔拡張後、RetinaScopeを使用して患者の網膜を画像化し、画像をEyeArtで分析したところ、
それらは紹介保証‐糖尿病性網膜症(RWDR)として分類されました。
糖尿病性網膜症の徴候を認識するように訓練された二つのリーダーにより、同じ画像が独立して評価されたのです。
パウルス博士の研究室の研究助手であり、共同研究者であるマイケル・アーバーグ氏は、次のように述べています。
「人間による採点がAIベースの採点の唯一のチェックとして使用される場合、DRの病理を正確に捉えていない写真は、
両方によって誤って解釈される可能性があるというリスクがあります。」
と、アーバーグ氏は言います。
この調査では、2つの事象について測定値が比較されました。
スクリーニングが疾患を発見するのに十分に敏感であるかどうか、および個体が糖尿病性網膜症を患っていない場合を確認するのに十分に特異的であるかどうかです。
「感度はスクリーニング検査においてより重要な測定値です。」
とアーバーグ氏は説明します。
「最悪のシナリオは診断が失敗したために疾患が進行することです。」
細隙灯評価により、53人の被験者(76.8%)でRWDRが確認されました。
自動解釈の感度は、眼科用スクリーニング装置に推奨されている80%を超える86.8%、特異度は73.3%でした。
人間のグレーダーの1人は、統計的に有意な要因(96.2%)より高い感度レベルを達成し、特異度は46.7%と低いものでした。
「スマートフォンベースのプラットフォームで使用されているAIが、
臨床評価の鉄板検査と比較して効果的であることが証明されたのは今回が初めてです。」
とパウルス博士は述べています。
これらの発見とプライマリケアクリニックでのユーザビリティ研究の間もなく発表された結果の両方に推奨され、
パウルス博士の研究室ではFDAでの承認申請と同時に、ハードウェアとソフトウェアの改良(特に瞳孔拡張を必要としないバージョン)
を追求しています。
「私たちは、このDR検査を身近な臨床環境で簡単に、すぐに、そして利用できるようにし、
この検査を患者へ持ちかけることで少しでも彼らの検査嫌いを克服してほしいと思っています。」
【以下のウェブサイトより引用】