タモキシフェン、他の薬剤が乳癌の広がりを抑える働き

タモキシフェンまたはアロマターゼ阻害剤と呼ばれる別の種類の薬剤による治療は、乳癌患者が他の乳房の部分に癌が発症する危険性を減らすという新しい研究があります。

乳癌の中にはエストロゲンに頼って成長を助け、タモキシフェンやアロマターゼ阻害剤（アナストロゾールを含む）は特定の乳がん生存者に長く処方されてきました。

タモキシフェンは、乳房細胞におけるエストロゲン受容体を遮断して、癌の成長を妨げます。
アナストロゾールは脂肪組織でエストロゲンの産生を停止させるため、ホルモンの量が少なくなります。

新しい研究の背景情報によると、乳癌患者の約5％が乳癌の初期診断後10年以内に他の乳房（対側乳癌）に癌を発症します。
以前の臨床試験では、タモキシフェンとアロマターゼ阻害剤がこのリスクを軽減すると結論づけられましたが、実際の患者治療への効果は不明でした。

新しい研究は、米国国立衛生研究所のグレッチェン・ギラッハ博士によって率いられ、1990年から2008年の間に侵襲性乳癌と診断された約7,500人の女性について調査されました。

患者の大半は白人で、診断時の平均年齢は61歳周辺でした。タモキシフェンは患者の約52％に処方され、平均3年ちょっと使用されていました。

アロマターゼ阻害剤は、患者のほぼ26％に使用されました。このグループの約半数は、タモキシフェンとアロマターゼ阻害剤を平均2.2年間併用投与し、後の約半数はアロマターゼ阻害剤単独を約3年間の中央値で摂取しました。

追跡期間のわずか6年の間に、この研究の患者のうち248人は、以前に罹患していない乳房に癌が現れたと診断されました。

しかし、このリスクは、タモキシフェンの服用が長くなればなるほど患者が長くなればなるほど、タモキシフェンを服用していない人と比較して、タモキシフェンを服用して、4年後には、その時の服用者のリスクが66％低下したとギラッハ博士のチームが発見しました。
タモキシフェン療法を中止してから少なくとも5年後には、リスクの軽減はより小さくなりましたが、依然として有意義であったと研究者は発表しています。
タモキシフェンを含まないアロマターゼ阻害剤の使用はまた、以前には罹患していない乳房の部分における癌リスクの低下と関連していたことが示されました。

全体として、少なくとも5年間生存した100人の患者について、タモキシフェンを少なくとも4年間使用すると、過去10年間に愚患していなかった3つの腫瘍が乳房に広がるのを防ぐと推定されました。
この発見は、エストロゲン受容体陽性の腫瘍として知られているが、がんがホルモンに感受性の高いものに特有のものでした。

ギラッハ博士のチームは、この知見が、乳癌生存者が処方された投薬（タモキシフェンまたはアロマターゼ阻害剤）のいずれかの「薬の投薬コースを完了する。」という勧告を支持していると考えています。

2人の腫瘍学者のそれぞれは、新しい発見を「安心なもの」と呼びました。

1人は、ニューヨーク市のレノックス・ヒル病院の外科腫瘍学部長であるステファニー・ベルニック博士です。彼女は、タモキシフェンとアロマターゼ阻害剤は潜在的に命を救うと考えているので、新しい発見については大歓迎です。
「多くの女性には薬の副作用がありますが、軽微ですので引き続き使用することを奨励する必要があります。」とベルニック博士は説明しています。
タモキシフェンとアロマターゼ阻害剤が再発を防ぐのに役立つという証拠が増えれば、より多くの女性が長期間薬剤を服用し続けるでしょう。」

もう1人、ニーナ・ダブリエ博士は、ニューヨーク州ミネオラのウィンスロップ大学病院で乳房保健プログラムを指導しています。
NIH試験では、以前の研究で証明されているように、薬物の利点を確認し、一部の女性が罹患していない乳房を予防の目的で取り除くことを決断しないで済むように助けるかもしれません。

ダブリエ博士は、この研究では「治療期間が重要であることを確認しているものの、推奨期間が5年から10年に満たない現実世界の患者には短期間の使用でも利益があります。」と述べています。

この発見は、10月6日のオンラインジャーナル「JAMA Oncology」に掲載されました。

（記事元）https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/breast-cancer-news-94/more-evidence-tamoxifen-other-meds-help-limit-breast-cancer-s-spread-715532 .html