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テストステロンを増やす実証済みの方法とは?

ホルモン補充療法のほかに、自然に低下したテストステロン値を生活習慣の変化によって高められるという証拠はほとんど存在しません。

アメリカの国立医学図書館(NLM)によると、テストステロンとは「男性らしさを感じさせ、男性らしく見せる」ものであるといいます。
精巣によって作られるこの重要なホルモンは、いくつかの身体機能において役割を果たしています。
NLMによると、テストステロンの役割は以下の通りです。

  • 骨と筋肉の強度を維持するのに役立つ
  • 育毛と体脂肪の蓄積場所を決定する
  • 精子を作る
  • 性欲と勃起を維持する
  • 赤血球を作る
  • 活力と気分を向上する

テストステロン値は30〜40歳頃から自然に減少し始めます。
これは徐々に減少しますが、テストステロン値の低下は前述の身体機能全てが衰えることにつながります。
このため、多くの男性がテストステロン値を向上させる方法を模索しており、数多くの企業がテストステロン値を高めると称される商品を宣伝しています。

こうした商品に効果はあるのでしょうか?また、安全なのでしょうか。
もしくは、テストステロン値を自然に向上される、実証された方法は存在するのでしょうか。


- ほとんどの男性のテストステロン値は正常です
加齢の他、テストステロン値が減少し得る要因は次の通りです。

  • 薬や化学療法による副作用
  • 精巣傷害やがん
  • ホルモン産生を制御する視床下部または下垂体の疾患
  • 甲状腺機能の低下
  • 肥満
  • 睡眠不足
  • 薬物またはアルコールの過剰摂取

しかし大多数の男性のテストステロン測定値は、正常範囲内にとどまっています。

「テストステロン値が低く、不足の兆候があるのは男性の2~3%のみです。」
と、ワシントン大学医学部長兼医学教授であるブラッドリー・アナワルト博士は述べています。
成人男性用のテストステロンの定期検査を求める声がないのは、そのためです。
アナワルト氏によると、原因不明の筋力低下や貧血、骨粗鬆症、不妊症、あるいは前述した症状がある人は、検査を受けるべきであるといいます。

また、臨床的な性的機能不全、いわゆる性欲の完全な欠如や勃起不全がある人も検査を受けるべきです。
「50歳の性機能が18歳の頃と比べて衰えている、というケースは対象にはなりません。」とアナワルト氏は言います。
実際これは年配の男性においては普通のことであり、臨床的なテストステロン値低下の兆候ではありません。

もし希望する場合、血液検査を行うことでテストステロン値の低下を診断することができます。
そして、テストステロン補充療法(TRT)などの実証済みの治療方法があります。
人工テストステロンはジェルやパッチ、注射、インプラントとして摂取することができ、これによって症状が緩和したり、改善できる人がいます。
NLMは、TRTはテストステロン値が非常に低い若い男性にとってより効果的であるようだと述べていますが、年配男性にも効果があるかどうかはわかっていません。
この方法には、次のようなリスクもあります。

  • 不妊
  • 前立腺が肥大し、排尿困難を引き起こす
  • 血栓
  • 心不全の悪化


- ライフスタイルの変化も多少効果があります
減少するテストステロン値を高め、若いころの活力と気力を取り戻したいと考える男性の大部分にとって最初のステップとなるのは、テストステロン値に影響し得る肥満や糖尿病のような慢性疾患などの要因をコントロールすることです。
「テストステロン値の低下は、これら2つを適切に管理することで正常化できる可能性があります。」と、カリフォルニア大学ロサンゼルス校デイヴィッド・ゲフィン医科大学院の医学教授であり、ロサンゼルスバイオメディカル研究所の上級研究員であるロナルド・スウェルドロフ博士は言います。
「またテストステロンを低下させる薬、例えばオピオイドのような鎮痛薬は避けましょう。」

ライフスタイルの変化によりテストステロン値の自然な低下を食い止めるのは、「単純なことではない」とアナワルト氏は言います。
例としては、睡眠があります。
「一晩中36時間にわたって待機する必要がある医師達は、テストステロン濃度が低いことを示す研究があります。」と彼は話します。
彼にとっては、睡眠を取ることで効果があるでしょう。
しかし、睡眠パターンが比較的正常である人にとっては、「睡眠時間を増やしても効果はないだろう」と彼は言います。

定期的な運動は、特に筋力トレーニングを含む場合、わずかにテストステロン値を高めることが示されています。
しかし、やりすぎてしまう、もしくは過剰な運動を行ってしまう男性もいます。
「体脂肪率が低くなりすぎると良くありません。」とアナワルト氏は言います。
「適度な運動を心がけることが大切です。」

健康的な食事はホルモン生産を含む健康のあらゆる面において重要となりますが、「食事はテストステロンに影響を与えません。」とアナワルト氏は言います。
「多くのハーブ療法が試みられましたが、効果的であることを示す情報は存在しません。」と彼は話します。
加えて、アンドロやDHEAなどのアナボリックステロイドを公然と、または密かにに含んでいるサプリメントは規制されておらず、危険である可能性があります。
「これらの成分を少量摂取しても、テストステロン値に何の影響もありません。」とアナワルト氏は言います。
「多量に摂取すればテストステロン値は上昇しますが、それに伴いエストロゲン値も上昇することで、バランスが崩れます。またいくつかの製品は別の成分が分からないように含まれています。健康への影響がわかっていないため、こうした製品は推奨できません。」

「製品の配合成分はラベルに適切に記載されていません。」と、スウェルドロフ氏は付け加えています。
「こうした製品には細心の注意を払う必要があると感じています。」

まとめとして、アナワルト氏は以下のように述べています。
「もしテストステロン値の低下に可逆的な原因が無いのであれば、ライフスタイルを変えても何の変化も起こりません。こうした男性の大半は正常なのです。彼らはテストステロンが素晴らしい成分であり、多ければ多いほど良いという情報をどこかで読んだのでしょう。」

出典:2019年5月17日更新 U.S.News 『What Are the Proven Ways to Increase Testosterone?』(2019年5月29日に利用)
https://health.usnews.com/health-care/patient-advice/articles/what-are-the-proven-ways-to-increase-testosterone