ドライアイ症候群?目薬が唯一の選択肢ではありません
ドライアイの症状は、いくつかの異なる疾患を示します。
目が乾いて、かゆく、燃えるような感覚があります。
ドライアイ症候群:それはかなり簡単な診断のように思えます。しかし、一般的に思われているより複雑なのです。
ドライアイ症候群は、実際には、目の表面を適切に潤滑するための涙の量や質を低下させる可能性がある、
さまざまな症状を表す包括的な名称です。
これは一般的な症状で、約1,640万人のアメリカ人がドライアイ症候群(乾性角結膜炎)と診断されていると、
国立衛生研究所内にある国立眼科研究所(NEI)は報告しています。
年齢は危険因子のひとつであり、ドライアイは50歳以上の人々でより一般的に発症します。
女性は、妊娠、経口避妊薬の使用および更年期障害によって引き起こされるホルモンの変化により、ドライアイを発症する可能性が高くなります。
ドライアイ症候群を診断するために、眼科医は眼とまぶたを検査します。
米国眼科学アカデミーによると、行われる検査には、涙の厚さと質、涙がどれだけ早く作りだされるのかの検査などがあります。
涙は、油分、水、粘液、1,500種類以上のタンパク質が複雑に混ざり合って、環境、刺激物、病原体から目を保護しています。
ドライアイ症候群の原因
場合によっては、ドライアイが深刻な基礎疾患の影響で発生することがあります。
シェーグレン症候群、狼瘡、強皮症、慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患、ならびに糖尿病や甲状腺疾患は、ドライアイに関連しています。
さらに、酒さ、炎症性皮膚疾患、眼瞼炎、炎症性のまぶたの疾患は、
まぶたの縁に沿った油腺である『マイボーム腺』の機能を破壊することがあります。
数種類の薬の併用もドライアイ症候群に関連しています。
これらには、抗ヒスタミン薬、うっ血除去薬、抗うつ薬、更年期障害の症状を緩和するためのホルモン補充療法、
不安症、パーキンソン病、高血圧の治療薬などがあります。
「ドライアイにそんな複雑な原因があることに気付かないことがよくあります。」
と、マイアミの眼科医でアメリカ眼科学アカデミーのスポークスマンであるアナット・ギャロア博士は言います。
博士は、ドライアイ、眼球表面腫瘍、眼の最外層の角膜に焦点を当てた出版物を数多く執筆しています。
ギャロア博士は、眼科医で診察を受けることや衛生状態を良くすることを勧めています。
「50歳の時点で、目は歯と同じようにケアされるべきだと思います。」
と彼女は言います。
「目を清潔にするべきです。まつ毛のゴミを取り除き、まぶたを清潔に保つために、洗浄布や薬用製品を使用してください。」
人工涙液など
「一般的に私たちのマイボーム腺は、年齢が上がるにつれて機能しなくなります。私たちは涙を流しますが、健康的ではありません。
目を20才の時の状態に戻すといった治療法はないのです。」
しかし、目の不快感を和らげるための治療法があると、ギャロア博士は言います。
市販の人工涙液がよく使われますが、製品に防腐剤の塩化ベンザルコニウムが含まれていないことを確認するようにと、
ギャロア博士は注意を促しています。
「軽度のドライアイである人の大多数は、人工涙液を使用し良好な衛生状態を保つようにすれば問題ないでしょう。」
と彼女は付け加えます。
コンピュータの画面をじっと見て過ごす時間を制限することも役立ちます。
NEIは、人口涙を補充して目に均等に広げ、数秒間、繰り返し瞬きすることを推奨しています。
風や乾燥した空気を遮断するためにサングラスをかけるのは、禁煙したり、間接喫煙による煙も防御できるので、症状を軽減することができます。
ドライアイを治療するためにアメリカ食品医薬品局(FDA)によって承認された唯一の処方薬は、シクロスポリンとリフテグラストです。
コルチコステロイド点眼薬はまた、眼の炎症を軽減するために短期間処方されることがあります。
FDAはまた、涙液産生に関係している腺や神経を刺激するために、まぶたを温める機器を承認しました。
それから、「涙点閉塞」という疾患があります。
目の内側の角で涙管を部分的にまたは完全に塞いでしまうため、
目から涙が出るのを妨げてしまします。
眼科専門医はシリコンまたはコラーゲンでできた栓で閉塞部を物理的に開通させ涙の排水路を確保します。
NEIによると、重症である場合は、涙点焼灼術によるドレナージダクトの外科的閉鎖により、涙管を永久的に閉鎖されることがあります。
効果がないものは?
NEIによって資金提供がなされ、よく統制された試験結果では、経口摂取されたオメガ-3脂肪酸サプリメントは、
ドライアイの症状またはその徴候の軽減において、プラセボよりも優れているわけではないことが証明されました。
この試験では、これまでにこの症状を治療するために試験された最高用量のオメガ-3で調査されました。
「本当にそれは効果があると思う人もいます。」
とギャロア博士は言います。
「多くの人がまだそれを推奨しています。しかし、魚油サプリメントから摂取できるオメガ3はプラセボ以上のものではありません。」
開発中の治療法
現在NEIが支持している重要な研究分野の1つは、涙液を分泌する涙腺を修復するための幹細胞療法です。
同研究所によると、開発の初期段階ではあるものの、そのようなアプローチは涙腺を再構築または置換するために、
患者自身の細胞を使用する可能性を含んでいます。
他の研究者は、涙腺を電気的に刺激して角膜を滑らかに保つ涙液を生成する埋め込み型装置を開発しました。
チームは目の周りの他の腺を刺激することによって涙の量を微調整することができました。
そして、水だけでなく脂質とムチンを含む涙を作り出して、自然発生する涙の一貫性をより厳密にしました。
別の研究者グループは、角膜神経が涙液の蒸発を感知する能力に影響を与える要因を調査しています。
健康な眼では、角膜神経を活性化するのに蒸発から10分の1程度の冷却が必要とされ、それが涙を引き起すとNEIは言います。
しかし、ドライアイ症候群では、そのような冷却反応を引き起こすことができません。
科学者たちは、乾燥に対する神経の感受性を高めるために、局所角膜神経刺激装置を開発することに取り組んでいます。
また、ドライアイでは角膜神経の数、長さ、機能が大幅に減少するためNEIの資金提供を受けた別の研究者らは、
これらの神経の再生を促進する方法を研究しています。
【以下のウェブサイトより引用】