ドンペリドンが母乳を増やす
母乳は、乳児の成長と発達のための最高の栄養源です。しかし、女性の中には母乳だけで育てるのに十分な母乳を生産できない人もいます。
母乳の供給に問題のある女性の割合に関する良いデータはありませんが、それが母乳育児を中止したり、粉ミルクの使用を開始したりする一般的な理由となっています。
母乳の供給が少ないと疑われる女性にとって、最初にするべきことは、母乳育児のサポートを受けることです。
授乳コンサルタントまたは他の専門家は、母乳の頻度を増やしたり、搾乳器を使用するなどの乳児を母乳で育てるための実質的な支援や、母乳の産生を刺激するためのガイダンスを提供しています。
母乳が出ないといった問題が続く場合、処方薬のドンペリドンが提供される場合があります。これは、母乳の供給を高めるために最も効果的で一般的に使用される薬です。
ドンペリドンはどのように作用しますか?
母乳の生産のコントロールに関与する重要なホルモンはプロラクチンです。
ドンペリドンは、プロラクチンのレベルを上げる働きをします。
これにより、母乳の生産が増加します。
ドンペリドンは通常、1日3回10mg(1錠)の用量で開始されます。
母乳の供給は7日以内に改善し始め、通常は2週間〜4週間でピークに達します。
証拠としては弱いものの、母乳の出が悪いままであれば、用量を2倍にすると効果があるという証拠がいくつかあります。しかし、これは医師による慎重な監督下でのみ行われるべきです。
母乳が十分に供給されるようになったら、乳量の低下を防ぐために、薬の用量はゆっくりと減らす必要があります。
どのくらい効果的ですか?
ほとんどの研究では、早産(妊娠37週未満での出産)で生まれた乳児が病院の新生児室に入院した後の母親でのドンペリドンの影響を調査しています。
これらの研究設定では、1日あたり90ml、毎日の母乳の生産をドンペリドンが短期的に増加させることができるということに関連していました。
ドンペリドンは、通常出産の母親でも同様に作用すると想定していますが、これを証明する証拠はありません。
また、ドンペリドンは一部の女性には他の女性よりもうまく作用するかもしれないといういくつかの証拠があります。
これは、ドンペリドンを服用した女性がみんな母乳量を同じように増やせるわけではないか全く役に立たないということを意味します。
どんなリスクがありますか?
副作用は一般的ではありませんが、頭痛、腹痛、口の乾燥、更にまれに発疹または睡眠障害があります。
ドンペリドンは、QT延長として知られる心臓のリズムを変える可能性があるという懸念から、近年は批判があります。心臓のリズムを変えることにより、ドンペリドンは、心室性不整脈または急速な心拍数として知られる生命を脅かす可能性のある副作用を引き起こす可能性があります。
以前の研究では、このまれな副作用のリスクが最も高いのは、60歳以上の男性で、心臓にも同じ効果を引き起こす可能性のある他の薬を服用している、または以前に心拍異常の既往歴があるといったことが示されています。
したがって、若く健康で授乳を行う女性に対するこれらの懸念との関連性については、疑問視されています。
母乳育児で使用した場合のドンペリドンの心臓への安全性は、カナダのある研究でのみ検討されています。
研究者は、出産後6ヶ月で、ドンペリドンを使用している45,163人の女性について調査を行いました。
ドンペリドンを服用した合計6人の女性は、心室性不整脈(急速な心拍数)のために入院しましたが、これは、10,000人の女性あたり1.3人です。
研究結果をより詳細に見ると、心室性不整脈のすべての症例は、心室性不整脈の既往歴のある女性で発生しました。
心室性不整脈の既往歴がなくドンペリドンを使用した45,163人の女性には症例は観察されませんでした。
この研究は、最近出産した女性でのドンペリドンの安全性に関する心強い証拠を提供し、また、母乳育児を行いたい女性は、医師と心臓の状態について話し合うことの重要性を強調しています。
母親がドンペリドンを使用している乳児で副作用は見つかっていません。
母乳に含まれるドンペリドンの量は非常に少なく、乳児へ伝わるのは総投与量の0.02%未満です。
メトクロプラミドはどうでしょうか?
ドンペリドンは、メトクロプラミドと同じ医薬品群に属しており、同様の働きをします。
しかし、副作用が非常に異なります。
メトクロプラミドは、疲労、過敏性、うつ症状などの中枢神経系の副作用を引き起こす可能性があります。
ドンペリドンの副作用ははるかに少ないため、母乳の供給を増やすのに好ましい薬と言えます。
漢方薬は同じくらい良好ですか?
近年、コロハ、オオアザミ、オニアザミ、ショウガなどの漢方薬が母乳の供給を促進できるかどうかに関心が高まっています。
漢方薬は、医師の診察を受けたり処方箋をもらう必要がなく購入できるため、人気があります。また、処方薬よりも安全で「天然成分」に思えるかもしれません。
しかし、証拠を見るとそれらの使用熱とは異なるようです。
これらの漢方薬が効くという質の良い証拠はありません。ほとんどの裏付けとなる証拠は、症例報告または非常に低品質の研究、または歴史的な使用に基づくものです。
しかし、副作用を引き起こしたり、他の薬と相互作用したり、他の病状に影響する可能性があるという証拠があります。
一部の女性は漢方薬の使用にメリットを見つけることがあるかもれませんが、証拠に基づいた治療薬の代替とするべきではなく医療専門家と話し合ってから使用されるべきなのです。
【以下のリンクより引用】
Domperidone can boost breast milk supply – here’s what you need know
THE CONVERSATION
2018年3月15日更新