ドーパミン調節がストレス誘発性無快感症の治療に役立つ可能性

無快感症は、以前は前向きな気持ちになれた活動に対して喜びを感じず無関心となる症状のことです。この興味や喜びを失うことで、うつ病やその他の広範なメンタルヘルス障害につながる非常に一般的な症状です。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬（SSRI）やその他の抗うつ薬など、うつ病に対する既存の薬理学的治療は、無快感症の治療に常に有効であるとは限りません。

言い換えれば、それらを摂取する人たちには、全体的な気分の改善を感じるものの、必ずしもやりがいのある活動に従事したいという気持ちを取り戻せるとは限らないことがよくあります。

クイーンズ大学の研究者は、最近、ラットに関する研究を実施し、ドーパミン受容体を標的とする薬剤がセロトニン受容体を標的とする薬剤よりも無快感症の治療に適している可能性を探っています。

シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディアのリンクの『Cognitive, Affective, & Behavioral Neuroscience journal』に掲載された彼らの発見は、ドーパミンの調節がストレス誘発性の無快感症を改善し機能障害の克服に役立つ可能性があることを示唆しています。

「やりがいのある活動を追求する意欲がなくなり無気力となる無快感症の効果的な治療法はほとんどありません。」

と、研究を主導した研究者の1人であるスティーブンJ.ラモンターニュ博士は本誌に語りました。

「うつ病の現在の第一選択薬治療はセロトニンシステムを対象としていますが、これらは無快感症の治療にはほとんど効果がありません。」

ラモンターニュ博士と彼の同僚による最近の研究の主な目的は、動物モデル、特に齧歯動物におけるストレス誘発性の動機付け障害に対するドーパミン調節の影響を調査することでした。

彼らの新しい研究は、確率論的報酬タスクでラットをテストし、慢性ストレスが報酬学習を損なう一方で、ドーパミン伝達を増強するアンフェタミンがそれを改善したという以前の論文の1つの影響を受けてのものです。

「この発見から導き出された論理的仮説は、ドーパミンシグナル伝達を増強することによって、ストレス誘発性の報酬機能障害を救うことができるというものでしたが、それは経験的な試験は行われていませんでした。」

とラモンターニュ博士は説明しました。

「最近の作業では、この質問に対処するための2つの主要なプロジェクトを完了しました。」

彼らの実験において、ラモンターニュ博士と彼の同僚は、48匹のオスのラットを3週間ストレスの多い状況で刺激を与えました。

その後、彼らはドーパミン伝達を増加させることが知られている薬剤アミスルプリドの全身の低用量注射を使用してラットの半分を治療しました。

残りの半分は、側坐核または内側前頭前野のいずれかに、選択的D2様受容体アゴニストとして作用する化学物質であるキンピロールの微量注入を使用して治療が行われました。

「ドーパミン調節がストレスに対する感受性に基づいて報酬学習に異なる影響を与えるかどうかを判断するために、ストレス反応性の代用として副腎重量を測定しました。」

とラモンターニュ博士は述べました。

「免疫組織化学を使用して、中脳辺縁系および中脳皮質経路におけるD2受容体の発現を測定し、受容体レベルでのストレス関連の変化に焦点を当てました。」

彼らの実験において、研究者たちは興味深い結果を集めました。

最も注目すべきことに、彼らはドーパミンの調節がストレスによって誘発された動機付けの欠陥を修復したことを発見しました。さらに、最もストレス反応性の高いラット（すなわち、3週間のストレス誘発期間によって最も悪影響を受けたと思われるラット）が、治療に対して最良の反応を示した。

「ストレス反応性の高いラットでは中脳辺縁系D2受容体の発現が高いことがわかり、D2受容体感受性の違いがこれらの影響の根底にある可能性があることを示唆しています。」

と、ラモンターニュ博士は述べました。

「総じて私たちの発見は、ドーパミン作動性システム、特に中脳辺縁系D2様受容体が、報酬関連機能障害の治療における薬物介入の重要な標的である可能性があることを示唆しています。」

全体として、この研究チームによって収集された結果は、慢性的にストレスに曝された経験のある無快感症の患者が、セロトニン受容体に作用する治療よりも中脳辺縁系ドーパミン系に作用する薬物からより多くの利益を得る可能性があることを示唆しています。

しかし、これを確認し、ラットに関する彼らの発見が人間にも適用できるかどうかを判断するために、彼らは人間の患者において、更なる研究を行う必要があります。

「私たちが収集した発見は、無快感症での代替薬理学的治療を追求した刺激的で新しい方向性を提供するものです。」

とラモンターニュ博士は付け加えました。

「私たちは、次の段階においては、無快感症のヒトの集団でこれらの方法を再現することを目的とした臨床へ応用します。」

【以下のリンクより引用】

Dopamine modulation could help to treat stress-induced anhedonia

Medical Xpress

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