バイポーラ障害(双極性障害)にシンバスタチン?
双極性障害の治療にシンバスタチン?
まだ使用していない、既にスタチンを使用している、もしくはスタチンでの治療を始めたばかりの患者の中には、シンバスタチンの選択や切り替えを提案する理由があるかもしれません。
シンバスタチンは、ラットの抗うつ効果と関連がありましたが、最近はヒトでも検証されています。
まず、大うつ病のフルオキセチン補助薬としてプラセボより優れていました。
次に、小さなランダム化試験では、冠状動脈バイパス移植後のハミルトンうつ病スコアの低下という点において、シンバスタチンはアトルバスタチンより優れていることが発見されました。
そしてこれらの試験は、スタチンの使用がうつ病の罹患率をわずかに(8%)低下させることが示され保護効果がありましたが、その一方で、アトルバスタチンはうつ病のリスク増加と関連していました。
大規模なサンプル数による治験(460万人のスウェーデン人という脅威の被験者数、国家保健サービスは脅威です。)では有意でした。
最近、シンバスタチンは、プラセボと比較して統合失調症の陰性症状を軽減することが示されました(66名のNにもかかわらず、p = 0.003)。
メカニズムは?
何が起きてるのでしょう?
シンバスタチンは他のスタチンよりも親油性が高いので、他のスタチンよりも容易に血液脳関門を通過します。
それはサイトカインIL-1およびTNF-αを阻害する既知の抗炎症効果が
あります(他の効果の中でも、おそらくはうつ病に最も直接的に結びついています)。
この想定された機序を考えると、炎症状態のリスクがより高い患者、例えば糖尿病、高血圧、過体重、メタボリックシンドロームなどの患者には、
他のスタチン(例えばアトルバスタチン、商品名:リピトール)よりもシンバスタチンを選択することが適切な対処となる一連の要因がよく知られいます。
もちろん、これらの要因はまた、高脂血症と平行しているので、このスタチン全体の問題は、ほとんどの我々の患者の診察に関連します。
スタチンでの治療選択が進行中、または計画中の患者では、心臓血管疾患のリスクが高い患者に対して高感度CRP(hs-CRP)を得るため、2013年のアメリカ心臓協会(AHA)ガイドラインに従うことを検討してください。
これはチャールズ・レゾン氏(Charles
Raison)や他の精神医学研究者が気分障害の可能性のある炎症性成分を有することを確認したのと同じグループとなります。
しかし、待って。投薬は慎重に。
シンバスタチンとhs-CRP検査でさえリスクがあります。
まずはテストを行いましょう。
急性および慢性の細菌およびウイルス感染、自己免疫疾患、さらには糖尿病まで、多くの状態がCRPレベルを上昇させる可能性があります。
我々の研究では、これらの病気で見られたCRPの上昇が、患者の気分障害の炎症性成分のリスクを示しているかどうかはまだ分かっていません(レゾン氏の研究でもあらゆる供給源からの炎症がうつ病の原因となる可能性があり全般的なリスクがあることを示唆しています)。
さらに、お気づきのように、シンバスタチンは最も一般的に使用されるスタチンではありません。
なぜでしょう。実はアトルバスタチンと比較して脂質低下の効果は85%にすぎません。
それは3A4 P-450酵素によって代謝され、グレープフルーツジュース(ほとんどのスタチン、しかし他のものよりも少ないアトルバスタチン)との有意な相互作用があります。
シンバスタチンの偽痴呆を引き起こすという症例報告もありますが、他のスタチンが同様のリスクを抱えている可能性もあります
(このような報告はありませんので、;痴呆リスク全体に対するスタチンの影響はまだ研究中です)。
最後に、プライマリケアを行うの医師達は、精神科専門医には使用されていないため、どのスタチンを使用すべきかを慎重に吟味します。
ここでの私のレビューはいくつかの追加要因を見逃している可能性があります(例えば、どの保険がスタチンのみをカバーするなど)。
それは、シンバスタチンについてのこれらの理論的考察よりも、薬剤の選択に大きな影響を与えるでしょう。
私はまだこの臨床的提案を行っている途中ではありますが、これらの新しい知見に基づいて試していく予定です。
【以下のウェブサイトより引用】