パロキセチン、ナロキソンに離人症と解離症状を制御する可能性
Psychiatry Research誌に発表された研究データによると、パロキセチンおよびナロキソンは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)および境界性人格障害に関連する離人症と解離症状を合わせ持つ場合の治療に中程度の有効性が示されました。
特定の解離性障害のサブタイプに対する薬物療法の効果については、限られたデータしか利用できませんでしたが、全体的な効果推定値は、 プラセボよりもこれらの薬物療法が支持されました。
調査員は、解離性障害の薬物療法の研究のために、医療系の検索エンジンであるMedline、PubMed、およびGoogle Scholarでの系統的レビューを 実施しました。
1967年から2019年の間に英語で発表された研究がレビューされました。
調査結果を要約するために、定量的および定性的な合成が行われました。
薬物療法への反応は、解離経験スケール(Dissociative Experience Scale)、ケンブリッジ分離スケール(Cambridge Dissociation Scale)、およびその他の主観的な患者および臨床医の報告によるスコアの低下といった観点から測定されました。
各薬物療法の法性や対プラセボの有効性は、リスク比(RR)として表されました。
文献検索により、1028件の適格な研究が特定されました。そして7つの無作為化プラセボ対照試験が選択されました。
プールされた研究コホートは、18歳から45歳までの214人の患者で構成されていました。
定量分析では、薬物療法群(n = 95)の治療反応は、対照群(n = 119)よりも有意に高くなりました(RR、1.59 ; 95% CI、0.76-3.30 ; P = 0.21)。
ただし、研究間で高い不均一性が存在しました(P <.00001)。
サブグループ分析では、PTSDの解離症状の軽減では、パロキセチンには程々の証拠が観察されました(RR、2.44; 95%CI、1.16-5.16)。
これらの研究のうち、2件では、プラセボよりも非人格化症状を軽減するナロキソンの適度な効果が示されました。
ただし、これらの特定の研究では患者コホートが大きく異なっていました。
それらの研究の1つでは離人症の患者が登録され、もう1つでは境界性人格障害の急性解離状態が研究されていました。そのため、解離性障害に 対する一般的なナロキソンの効果は推定できませんでした。
これらの分析は、非人格化症状の治療におけるフルオキセチンとナロキソンの有効性に関するいくつかの証拠となりますが、データの制限と研究間 での不均質性が高いことによりその結果を一般的なものとするのは困難です。
関連する参考資料がないため、解離性障害の多くのサブタイプも分析から除外されました。
効果的な薬物療法を特定するには、特定の障害サブタイプに関するさらなる研究が必要です。
また、解離性症状の治療薬としてパロキセチンとナロキソンを支持するエビデンスに基づいた追加の研究も必要となります。
【以下のウェブサイトより引用】
Paroxetine, Naloxone May Control Depersonalization and Dissociative Symptoms
Psychiatry Advisor