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JapanRx / パンデミック・クラスターに見る梅毒の再発

パンデミック・クラスターに見る梅毒の再発

世界中で古くからある伝染病の梅毒は過去数十年にわたり流行しています。

チューリッヒ大学が率いる国際的な研究チームは、低レベルのDNA分析技術を用いて、現代の患者サンプルからの全ての梅毒株が1700年代の共通の祖先を共有するということを示しました。
さらに、彼らの研究では、今日の感染を支配する株は、1950年以降に出現したパンデミック集団に由来し、これらの菌株が懸念される特性を共有することを証明しています。

梅毒は人類を500年以上にも渡り悩ませてきました。
最初に大流行が報告されたのが1495年で、ヨーロッパを襲った後、この病気は他の大陸にも急速に広がり、世界的な流行にみまわれました。
抗生物質ペニシリンによる治療が20世紀半ばに利用可能となり、感染率は劇的に低下し始めましたが、しかしながら、驚くべきことに、トレポネーマ・パリダム(TPA)はここ数十年の間で、世界的に再浮上しています。
そして、毎年1000万件以上の症例が報告されています。
しかし、この性感染症の再発の理由はあまり理解されていません。

【古い病気を分析する新しい技術】

この論文の著者によると、現在の感染症の遺伝的多様性のパターンや病気の進化の起源についてはほとんど知られていません。
梅毒患者からの臨床サンプルは少量のトレポネーマDNAしか含まず、病原体は実験室で培養することが困難であるため、
チューリッヒ大学の研究者らは、テュービンゲン大学の同僚が古代のDNAサンプルに使用していたDNA捕獲技術と全ゲノム配列解析技術を2013年に適用することを決定しました。

チームは、世界各地の13カ国から、梅毒、フランベジア、およびビーゼル感染症の70件の臨床検査サンプルを収集しました。

ゲノム全体のデータを使用することにより、研究者はTPA系統とTPE / TEN系統との間の明確な分離を示す系統樹を再構築することができました。 「500年前に世界の表舞台に出現して以来、梅毒の起源に関しては多くの疑問がありました。進化論的アプローチと疫学的アプローチを組み合わせることで、今日感染している個体間の遺伝的関係を解読し、抗生物質耐性の高い頻度のパンデミッククラスターの出現を追跡することができました。」とUZH進化生物学研究所の元教授であるホーマヨン C. バゲリ博士は述べています。

ゲノム解析は、世界中の現代的な感染症に存在し、よく研究されたニコルス参照株を含むクラスタとは区別されるSS14-Ωという名前のパンデミッククラスターの出現を示しました。
「私たちの調査結果は、現代の流行において最も優勢な系統の型をより広範に研究する必要性を強調しています。」と、チューリッヒ法医学研究所の研究員であるナタシャ・アローラ博士は述べています。

疫学的関連性の進化的な発見は、SS14-Ωクラスターが、抗生物質が発見された後の20世紀半ばの祖先系統に由来することです。
このパンデミッククラスターの懸念される側面は、性感染症を治療するために広く使用されている第二選択薬であるアジスロマイシンに対する高い耐性があることです。
ナタシャ・アローラ博士は、次のように付け加えています。
「今のところ、梅毒治療の第一選択抗生物質であるペニシリンに耐性のあるトレポネーマ株は検出されていません。」

共著者である、チューリッヒ大学病院のフィリップ・ボサール博士は、研究の臨床的側面をさらに研究するために、スイスの患者サンプルを収集し続けています。
研究者は、このタイプの分析が、梅毒の疫学 - 治療の可能性にもかかわらず、今日まで撲滅できない壊滅的な病気の包括的な理解を得るための新たな機会となると確信しています。

(記事元)http://medicalxpress.com/news/2016-12-re-emergence-syphilis-pandemic-strain-cluster.html