メトホルミンに1型患者の心疾患の発症を遅らせる働き

科学者たちは、一般的に2型糖尿病の処方薬は日常的に1型糖尿病患者にも服用できることを信じています。
メトホルミンは、多くの場合、肝臓でのグルコース産生を減少させることによって血糖値を低下させるタイプの糖尿病へ使用されている安価な治療薬です。

通常、この薬は定期的に1型糖尿病患者には与えられていません。
しかし、初めて、臨床試験が明らかにしたところでは、メトホルミンは、独自に損傷を受けた血管を修復するための患者の能力を促進することができ、血管幹細胞を増加させることができます。

メトホルミンは、2型糖尿病の患者において、すべての死亡者数の半分以上を占め、1型糖尿病における疾患の主要な原因である心臓疾患を発症するリスクを低減するために使用することができます。

ニューカッスルでの糖尿病薬についての上級講師であるヨランタウィーバー博士は、2つの研究を主導しましたが、この新しい研究はさらに、1型糖尿病における治療を改善するための最良の方法を理解する上で重要な開発であると考えています。

彼女は心臓病についての結果は糖尿病でない患者に対して糖尿病で悪化したように、付加的な治療の選択肢を特定する必要があります。」と付け加えました。
「メトホルミンは、日常的に、骨髄から放出された血管幹細胞によって作成された修復機構を増加させることにより、心臓疾患を発症するといった可能性を低下するために役立ち、1型糖尿病患者へも使用されることが可能です。
本研究では、初めて、メトホルミンが比較的良好に1型糖尿病をコントロールしている患者に投与された場合、糖尿病のコントロールを改善する以外の追加的な利点を持っていることを示しています。
私たちは、薬物が患者自身の血管幹細胞を増加させることを確立しており、これは、心臓病の進行を遅延、または減速する手助けとなっています。
私たちの研究は、彼らが治療選択肢を改善することにより、心血管疾患のリスクが高い患者のための肯定的な臨床的意義があるという意味で、刺激的な第一歩です。」
この所見は血管の修復が行われたことを確認し、損傷した血管に関連した細胞が減少したことを示します。

研究者らは、1型糖尿病の人23人（19歳～６４歳）で心臓疾患の既往歴のない治療群について、最大23年間、研究しました。
患者は、8週間、1日、１〜3錠、許容できた用量で、メトホルミンが投与されました。
被験者は、安全な血糖値を維持するために、インスリンを調整するように助言されました。
彼らは、直接患者の血液中の幹細胞を測定し、また、それらの挙動を観察し
試験管で幹細胞を育てました。
他の細胞型はまた、損傷した血管を評価するために計測されました。

対照群では、被験者は標準的なインスリン治療を行った同じ年齢層内の9人の患者と20歳～64歳の健康な人々とを組み合わせました。
専門家は、メトホルミンを取った患者の幹細胞が、血管の修復を促進することができたこと、また、血管幹細胞の働きに改善があったことを見出しました。
この研究は、研究中のすべての患者のインスリンの投与量は、メトホルミンを服用した後に低下していたが、重大な悪影響を被っていないことを示しました。
メトホルミンは、一般的に2型糖尿病の治療に使用される薬剤ですが、また、1型糖尿病患者における強力な効果を有し得ることを示す結果は予想外ではありました。

別の研究では、メトホルミンは、1型糖尿病（MERIT調査）における循環内皮細胞および内皮前駆細胞を改善することができたことを示しました。

この研究はオープンラベルと並列標準治療研究でした。
明白なCVDのない20人の1型糖尿病の患者が、8週間メトホルミンで治療されました（治療群-TG）。
彼らは、標準治療（SG）がされた9人の1型糖尿病患者と、23人の年齢と性別がマッチした健康なボランティアの人々（HC）でした。
インスリン投与量は不変の血糖コントロールを維持するために調整しました。

結果から、メトホルミンが改善cEPCsを通じて、潜在的な心臓保護効果（内皮前駆細胞）を有していると結論付けられ、CFU-ヒルのコロニーは、CECS（循環内皮細胞減少）、PAC（プロ血管形成細胞）と血糖降下作用とは独立して機能を持っていると結論付けられました。

研究では、メトホルミン治療は血管の修復や健康（cEPCs、CFU-ヒルのコロニー、とPAC）のマーカーを増加させ、血管損傷（CECS）のマーカーを減少させることによって、心血管の利点をもたらすことができることを初めて示しました。

本研究では、比較的良好に制御された1型糖尿病患者（平均HbA1c値7.3または56.4ミリモル/モル）において、メトホルミン治療が血管損傷のマーカーを改善し、また、修復したことを初めて実証しました。

著者らは、この研究はまた、心血管疾患のリスクを有する患者の為に、損傷そのものを制限することから、血管の修復の向上まで、管理重点のバランスを再調整することにより、肯定的な臨床的意義を有することができると信じています。

1型糖尿病患者のために、本研究によって示唆された追加利点は、血管の健康/修理は、既に十分に制御された患者において、血糖コントロールのさらなる改良を必要とすることなく改善されることができるということです。
1型糖尿病の患者へは、心血管疾患事象を減少させるために、現在、HbA1c値<7％または<54ミリモル/モルを達成することを勧めています。
しかし、これは、低血糖を経験する固有のリスクと関連しています。
従がって、我々の研究によって示唆された1型糖尿病におけるメトホルミンを使用することのさらなる利点は、血管の健康および修復のマーカーがしっかり、制御HbA1c濃度に血中グルコース濃度を低下させることなく改善することができるということです。

（記事元）http://www.diabetesincontrol.com/metformin-in-type-1-patients-slows-development-of-heart-disease/