メトホルミンは妊娠糖尿病、長期糖尿病リスクを低下させる
医療誌『Diabetes Care』に掲載されてた所見によれば、メトホルミンは、最もリスクの高い成人、特に妊娠糖尿病を患っている女性において、糖尿病の発症を長期にわたって予防する効果があることが示されています。
ジョージワシントン大学の疫学および生物統計学の助教授であるマリネラ・テンプロサ博士と博士の研究グループは、次のように述べています。
「メトホルミンを糖尿病の予防に使用すべきかどうかには、利益とリスクについての慎重なバランスが必要です。」
これらの知見は、糖尿病予防プログラム(DPP)と糖尿病予防プログラムアウトカム研究(DPPOS)の長期の追跡調査から明らかにされました。
最初の研究では、1996年から1999年の間の、耐糖能異常、高血糖、また、BMIが24kg /㎡以上の3,234人の成人のデータが採用されました。
参加者には、無作為にプラセボ、ライフスタイルの介入、またはメトホルミン850 mgが1日2回割り付けられました。
2001年には、1,861人の参加者がDPPOSを継続し、最初の研究グループに関係なく、1日2回850 mgのメトホルミンが投与されました。
15年間の追跡分析で、テンプロサ博士らはプラセボ(n = 1,082, 平均年齢50.3歳, 69%が女性)およびメトホルミン(n
= 1,073, 平均年齢50.9歳, 66.2%が女性)の各グループのデータを評価しました。
以前の2つの研究ではOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)および空腹時血糖(FPG)が糖尿病の診断に使用されていましたが、研究者らは事後解析にHbA1cによる診断を含めました。
追跡15年目の時点で、OGTTおよびFPG診断に基づくと、メトホルミン群はプラセボと比較して17%、糖尿病発生率が低く、HbA1c診断では36%低い結果となりました。
OGTTとFPGを診断ツールとして使用した場合、研究者らは、ベースラインでより高いFPGレベルを有していた参加者はメトホルミンにより、更に大きな効果がみられたと述べました。
彼らはまた、メトホルミンが以前に妊娠糖尿病を患っていた女性において41%糖尿病発生率を低下させたことを指摘しています。
これとは対照的に、HbA1cを診断マーカーとした場合、「すべてのサブグループに渡り同等に有益な効果があった。」と研究者らは述べています。
「糖尿病の診断方法に関係なく、DPP / DPPOSの糖尿病発症に対するメトホルミンの長期的な影響は、メトホルミンがこのコホートにおいても有効であり続けることを示唆しています。」
と研究者らは記しています。
「これらの結果は、メトホルミンで治療されることで最も恩恵を受ける、糖尿病を発症するリスクが高いグループを優先するのに役立つはずです。
我々の当初の適格性、および糖尿病発症基準は、HbA1c基準ではなく血糖基準でしたので、HbA1cに関する結論は慎重に検討されなければなりません。」
【以下のウェブサイトより引用】