メラトニンは自閉症児の睡眠障害の改善に役立つかもしれない
新しい研究によると、メラトニンは睡眠困難な自閉症の子供の長期使用に安全です。
この研究では、自閉症児の睡眠ホルモンの効果が2年間にわたって追跡されました。
メラトニンは以前から自閉症スペクトルの子供のための睡眠を援助するとして提案されましたが、新しい研究はその長期的な安全性を初めて体系的に評価しました。
自閉症児では最大80%が眠りにつくのに苦労しています。
研究主任でありテネシー州ナッシュビルにあるヴァンダービルト大学の神経学と小児科の教授であるベス・マロウ博士は、これらの困難が子供の学習、行動、全体的な生活の質の問題を悪化させる可能性があると述べています。
子どもたちがより多く睡眠がとれるような手助けとなり、これらの問題を軽減してくれるかもしれないと彼女は言います。
「良い眠りにより多くの問題を改善、および緩和できるため、子供たちは学校やセラピーに集中できるようになります。そして、家族の生活の質にも影響を与えます。」
とマロウ博士は言います。
就寝前には静かにすごすことを習慣にし、夜間に子供の部屋に入らないようにするなどで睡眠衛生を改善することは、より良い睡眠への第一歩だとマロウ博士は言います。
しかし、それだけでは不十分な場合、多くの医師や家族は、脳で産生され睡眠を促進するホルモンであるメラトニンにも目を向けます。
メラトニンは、米国では市販のサプリメントとして、また、他の多くの国では処方箋として入手できます。
思春期の子供についての質問
いくつかの小規模の研究では、メラトニンが自閉症児の睡眠の質と持続時間を改善できることを示しています。
しかし、特に思春期では、ホルモンの長期的な安全性についての疑問が残ります。
メラトニンのレベルは通常、思春期に低下します。
これにより、メラトニンを摂取すると性的成熟が遅れたり、変化する可能性があるという懸念があります。
「メラトニンはホルモンであるため、それを服用することの長期的な結果について常に懸念があります。通常、ホルモンを結果が得られるわけでもなく服用できるものとは考えられていません。」
とイェールニューヘブン病院小児睡眠センター(Yale New Haven Hospital, the Pediatric Sleep Center)の所長であるクレイグ・カナパリ氏は言います。彼はこの研究には関与していません。
マロウ博士と彼女の研究チームは、『PedPRM』と呼ばれるメラトニンの徐放処方製剤の初期の研究を構築し、これらの懸念についての調査を行いました。
この研究では、13週間の試験期間にわたり、2歳〜17歳の119人の子供を対象に薬剤をテストしました。
そして、PedPRMは、プラセボよりも睡眠を大幅に改善することがわかりました。
新しい研究では、80人の同じ子供がメラトニンをさらに91週間(合計2年間)服用し、必要に応じて、定期的に投与量を増やすという選択がありました。
研究者らは、睡眠と生活の質の改善が長期にわたって持続することを発見しました。
一部の子供には、主に、服用量が増加したときに、昼間に疲労感と眠気が見られました。
しかし、研究参加者は予想通りに発育し、メラトニンは思春期の成長を妨げないことが示されました。
「思春期での発達が遅れないことを文献として知ることは、私たちにとって本当に重要でした。」
とマロウ博士は言います。
この研究には、プラセボのみを与えられた子供のグループは含まれていません。
それでも、メラトニンが自閉症の子供にとって安全に使用でき効果的であるという証拠が増えていると、研究に関与しなかったコロンビア大学の子供および思春期精神医学のディレクターであるジェレミー・ヴェーンストラ・ヴァンダーウィーレ博士は言います。
「この研究は、これが自閉症の子供たちでこの信じられないほど一般的な問題が見られたときに考えるべき治療のひとつであることを示しています。」
と彼は言います。
この研究は、1月に米国小児青少年精神医学会誌(the Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry)に掲載されました。
メラトニンについての注意
PedPRMは、直径3mmの小さな丸薬で、子供が飲み込みやすく、夜中にメラトニンをゆっくりと放出できるように設計されています。
PedPRMは、メラトニンが処方薬であるヨーロッパのいくつかの国での使用が承認されています。
米国では入手できませんが、現在米国食品医薬品局によって審査中です。
PedPRMの安全性と有効性は、特に睡眠不足による既知のリスクと比較した場合、他の市販の持続放出型メラトニンサプリメントに適用される可能性があるとカナパリ氏は言います。
「慢性的な睡眠不足のために子供と家族に非常に深刻な結果がもたらされているのは事実なのです。」
それでも、彼は、データに裏打ちされてた米国で規制されているメラトニンの服用は有用だと言います。
メラトニンは米国では栄養補助食品と見なされているため、処方薬と同じ品質管理措置の対象ではありません。
カナダの31種類のメラトニンサプリメントについての2017年の分析では、実際のメラトニン含有量はラベルの記載より83%少ないものから478%多いものまでの範囲があり、同じ製品でも異なる有効成分の量は同じ製品でも異なるバッチで465%も異なることがわかりました。
【以下のリンクより引用】
Melatonin may ease autistic children’s sleep troubles
SPECTRUM News