一般的な糖尿病薬が流産を防ぐ
シタグリプチンは、2006年に血糖コントロール薬として承認されて以来、多くの糖尿病患者の治療薬の定番でしたが、ワーウィック大学の新しい研究では、流産の可能性を減らす、あるいは防止する薬剤として治療に使用することを検討しています。
再発性流産(RPL)を起こした女性の子宮内膜間葉系幹細胞(eMSC) の前駆細胞のDPP4阻害剤の調査を試みた研究の結果では、シタグリプチンを使用するとコロニー形成単位(CFU) がより高くなり、おそらくRPLを引き起こす可能性が減少することを明らかにしました。
「現在、流産に対する効果的な治療法は非常に少なく、この研究が妊娠前の子宮の正常化を目標とした最初の治療になります。」
と、ワーウィック医科大学の教授で、大学付属病院の生殖保健学のコンサルタントであるヤン・ブロセンス博士は述べました。
「流産は胚の遺伝的なエラーによって引き起こされる可能性がありますが、子宮の裏膜異常により染色体正常妊娠の喪失を引き起こします。この新しい治療がそのような喪失を防ぎ、再発性流産の身体的、そして、心理的な負担を軽減することを願っています。」
シタグリプチンの使用が子宮を覆う幹細胞の量を増加させ、それにより妊娠をサポートするために子宮内の状態を改善できるかどうかを評価するために、研究者らは複数の再発流産を経験した18歳から38歳までの女性38人を対象とした二重盲検無作為化パイロット試験を実施しました。
この研究の参加者は、3回以上の流産を経験し、定期的な月経周期がある必要がありました。
研究の参加者は、プラセボまたは100 mgのシタグリプチンのいずれかを3回の連続した月経周期の間に、1日1回受けるように無作為化されました。
除外基準には、糖尿病と診断されていることや、膵炎、腎機能障害などの既往歴を含むシタグリプチンが禁忌であることでした。
研究の主な結果は、中間黄体生検においてのCFU数であり、それは研究者がCFUアッセイにて評価を行いました。
アウトカム評価は、ベースラインで、プラセボまたはシタグリプチンによる3サイクルの投薬の完了後に行われました。
副次的なアウトカムの評価には、子宮内膜の厚さ、研究の受容性、および研究から12か月以内での最初の妊娠状況が含まれていました。
追加の二次分析では、プラセボ群とシタグリプチン群の特性の違いを調整して、治療後のCFU数を評価しました。
2つの研究群の特性を比較した場合に、研究者らは、過去の平均流産数の多さではシタグリプチン群の患者が、プラセボ群の平均5.5人と比較して、8人であることを発見しました。
さらに、シタグリプチン群の平均年齢は36歳でしたが、プラセボ群では32歳でした。
評価の結果は、シタグリプチン群のCFU数はプラセボ群のCFU数よりも多いものの、それはベースラインでのCFU数と年齢を調整した場合のみでした。
全体として、CFU数の変化は、シタグリプチン群で1.68、プラセボ群では1.08でした。
さらに、研究者は、研究では試験の応募状況、受容性、および薬物コンプライアンスがすべて高いことに留意しました。
この研究では重篤な有害事象は観察されず、シタグリプチンは老化した脱落膜細胞のマーカー遺伝子であるDIO2の発現を阻害したことが分析により示されました。
治験を担当した医師は、試験の結果がシタグリプチンがeMSCを増加させ、わずかに老化を減少させる能力を示していることを示唆しています。
そのため、研究者は、RPLの患者の妊娠結果に対する妊娠前でのシタグリプチンによる治療の潜在的な影響を評価するより大きな臨床試験が必要であるとしています。
「この研究は、子宮内の幹細胞の存在を増加させることができるかどうかをテストするために特別にデザインされましたが、参加者の追跡調査により、シタグリプチンを服用した人では、更なる流産はなかったことがわかりました。」
と、ワーウィック医科大学のシボーン・クェンビー博士は述べました。
「これらはごく初歩的な結果であり、大規模な臨床試験でこの治療薬を更にテストする必要があります。」
【以下のリンクより引用】
Common Diabetes Medication Could Prevent Miscarriages
HCP Live Network