一般的な血圧薬に結腸直腸癌での生存率を改善する可能性
一般的な血圧薬は結腸直腸癌患者の生存率を改善する可能性があると新しい研究が示しています。
約14,000人の結腸直腸癌の患者の転帰を検討し、研究者らは、ACE阻害薬、ベータ遮断薬、およびチアジド系利尿薬のすべてが死亡率の低下に関連していると判断しました。
彼らはまた、降圧薬を一貫して服用している患者は、癌で死亡する可能性も低いことを発見しました。
研究者らは、降圧薬とより良い結果との関係を検証するためには、より多くの研究が必要であることを強調しています。
しかし、彼らは、この薬剤により、低コストでステージ1からステージ3の結腸直腸癌の患者の治療を改善する新しい方法となることを期待しています。
「高齢患者での癌の生存期間を延長するための費用効果の高い解決策として、一般的に使用される薬が使用できるかもしれません。」
と、バージニア大学医学部公衆衛生学部の研究者であるラジェス・バルクリシュナン博士は、次のように述べています。
「しかし、臨床試験を通じてこれらの所見をさらに確認する必要があります。」
結腸直腸がんについて
結腸直腸癌は、米国で3番目に一般的に診断される癌です。
アメリカ癌協会は、今年、米国で結腸癌の新規症例が104,270件、直腸癌の症例が45,230件になると推定しています。
若者の間で、結腸直腸癌を発症するケースが増加していることは深刻な問題であるため、最近、米国予防医学専門委員会は、この疾患での最初の検査での推奨年齢を50歳から45歳に引き下げるよう促しています。
高血圧は結腸直腸癌の患者によく見られますが、血圧薬が患者の転帰に及ぼす潜在的な影響についての研究はほとんどありません。
UVA 癌センターとブラジルのサンパウロ大学サンパウロ校(Universidade de SãoPaulo Institutodo Câncerdo Estadode São Paulo)の研究者らは、それを変えたいと考え、大規模な遡及的分析を実施しました。
彼らは、監視、疫学、および最終結果のメディケアデータベース(Surveillance、Epidemiology、and End-Results Medicare)を使用して、2007年1月1日から2012年12月31日までの間に結腸直腸癌と診断された65歳以上の13,982人の患者の転帰をレビューしました。
研究者らは、ACE阻害薬とチアジド系利尿薬が患者の生存と転帰に最も重要な利益をもたらすように思われたものの、カルシウムチャネル遮断薬からは同様の利益は得られないようであることを発見しました。
患者の血圧レジメンの順守も重要であるように思われます。
「私たちの結果は、ステージI、II、またはIIIの結腸直腸癌の診断後に、降圧薬の投薬を開始した患者とそうしなかった患者を比較して、血圧薬の服用順守の増加と減少の間での死亡率の低下との関連を示しています。
研究者たちは新しい科学論文で彼らの発見を概説しています。
「さらなる分析は必要ですが、ACE阻害薬、やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬 )の長期的に高容量での服用が結腸直腸がんの死亡率の低下と関連していたため、この生存率の増加は高容量での服用と関連している可能性があります。」
科学者たちは、降圧薬からの明らかな利益が薬自体に由来するのか、それとも患者の高血圧を制御することに由来するのかについては確信がありません。
彼らは、これらのうちのいずれか、または両方を裏付けるための筋書は想定できています。
研究者たちは、他の癌に対する降圧薬の潜在的な有用性を確認するため最近行われた臨床試験に注目しています。
そして結腸直腸癌への薬剤の適用、ならびに胃癌および膀胱癌におけるそれらの潜在的な利益について、より多くの研究が必要であると彼らは結論付けています。
「サンパウロ大学がんセンターのロジャー・シャマス博士とその同僚が行った動物モデルでの研究結果を、人間の集団においても確認できたことは心強いことです。」
とバルクリシュナン博士は述べています。
「私たちは、より強力な設定での研究を行い、他の癌やヒト集団における降圧薬のこれらの保護効果について引き続き調査します。これは、胃腸癌の治療において重大な影響を与える可能性があります。」
【以下のリンクより引用】
Common blood pressure drugs could improve colorectal cancer survival
Medical Xpress