一般的な血液検査がCOVID-19患者におけるステロイド治療の利点とリスクを特定
アルバートアインシュタイン医科大学と複合医療施設モンテフィオーレヘルスシステムが率いる新しい研究は、COVID-19患者に対するステロイド使用の大規模な英国の試験の結果を確認し、ステロイド療法で恩恵を受ける可能性が最も高いのはどの患者であるのかといった、いくつかの重要な疑問に答えることによって研究を進めています。
害を受ける可能性がある人もいるのでしょうか。英国の試験で研究された薬剤の代わりに、ステロイドの他の製剤を使用することもできるのでしょうか。
この研究は、Journal of Hospital Medicineに掲載されました。
「ステロイド剤のデキサメタゾン対標準治療」の前向き無作為化非盲検試験である『The U.K RECOVERY試験』には、COVID-19の患者6,000人以上が関与しました。
デキサメタゾンは、人工呼吸器を装着した患者での約3分の1、酸素を必要とするが人工呼吸器を装着していない患者では約5分の1に死亡率を減少させました。
ただし、この研究では、一部の患者の治療にステロイドを使用することについては疑問が残っています。
「私たちの研究は英国からの有望な発見と一致していますが、初めて、デキサメタゾン以外のステロイド製剤で同様に救命できることを示しています。」
と、このアインシュタイン-モンテフィオーレ研究の著者であるマーラ・ケラー医学博士は述べました。
「また、一般的な血液検査がステロイド治療の最良の候補者を特定する可能性があることもわかりました。」
ケラー博士はまた、アインシュタイン医科大学の産婦人科および女性の健康学科の教授であり、モンテフィオーレヘルスシステムでは感染症の専門家でもあります。
アインシュタイン-モンテフィオーレ研究の著者らは、モンテフィオーレヘルスシステムへ入院した約3,000人から選択された2つのグループでの結果を、COVID-19検査で比較しました。
140人の患者からなるグループ1では、入院から48時間以内にステロイドでの治療が行われました。
そして、グループ2の患者1,666人の対照群はステロイド療法を受けませんでした。
ステロイド療法を受けた患者のほとんどはプレドニゾンを受けました。
そして、一部の患者へはデキサメタゾンとメチルプレドニゾロンを併用しました。
ほぼすべての患者は当初、肝臓が炎症に反応して生成するC反応性タンパク質(CRP)のレベルを測定するために血液検査を受けていました。
血中のCRPレベルが高いほど、炎症の量が多くなります。
この研究で報告された正常なCRPレベルは、血液1デシリットルあたり0.8ミリグラム未満です。
「炎症のレベルが高い患者、つまりCRPレベルが20を超える患者では、ステロイドが機械換気の使用や、死亡のリスクを75%低下させることがわかりました。」
とケラー博士は述べました。
「また、炎症のレベルが正常または低レベルの患者では、CRPレベルが10未満であることもわかりました。ステロイドの使用は、機械換気または死亡のリスクがほぼ200%増加することがわかりました。」
COVID-19に屈する人々の大部分は、肺が圧迫され、深刻な損傷を引き起こす可能性のある身体の激しい炎症反応で死亡します。
「我々の調査結果は、著しく上昇したCPRレベルによって示されるように、ステロイド療法は炎症の激しい人のために使用されるべきであることを示しています。」
と、アインシュタインとモンテフィオーレの医学教授で病院医学部門の責任者であるウィリアム・サザン医学博士は、次のように述べています。
「CRPレベルが著しく上昇していることからわかるように、ステロイド剤療法は炎症の多い人に限定すべきであると私たちの調査結果は示唆しています。」
「それは重大な炎症を持たない人々にとっては別の話です。彼らにとって、どんな利益もステロイドを使用することによるリスクより重要です。」
研究の共著者であるアインシュタインの医学准教授でモンテフィオーレシステムのホスピタリストであるシティー・アローラ博士は、アインシュタインとモンテフィオーレの研究には男性と女性の患者の数はほぼ同等であると述べました。
さらに、研究対象の患者のほぼ40%が黒人、36%がヒスパニック系でした。
「この研究における患者の人口統計学的多様性は、ステロイド療法が人種や民族に関係なく重大な炎症の影響を受ける入院中のCOVID-19患者に利益をもたらすことを示唆しています。」
と彼は述べました。
【以下のリンクより引用】
Common blood test identifies benefits and risks of steroid treatment in COVID-19 patients
ScienceDaily