七面鳥を食べると大腸炎が良くなる?
‐ 研究では、余分なトリプトファンが再発リスクを軽減する可能性があることを示唆
感謝祭はおなかの具合について考える機会が多いものです。
潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患を患っている人にとって、たとえ食べ物が痛みを引き起こす症状の引き金ではなかったとしても、ごちそうがストレスになってしまう可能性があります。
マウスを使った新しい研究では、特定の食品、特に七面鳥、豚肉、ナッツ、種子などのトリプトファンを多く含む食品が大腸炎の再発リスクを軽減する可能性があることが示唆されています。
この研究結果は、結果がヒトで検証されれば、長期的な大腸炎管理を改善する非侵襲的な方法であることを示しています。
「潰瘍性大腸炎の治療法はいくつかありますが、誰もがそれに反応するわけではありません。」
と主著者であり、トーマス・ジェファーソン大学の免疫学の助教授であるサンウォン・キム博士は言います。
「この病気は生活の質に大きな影響を及ぼし、結腸やがんを切除する手術につながる可能性があります。」
この研究は先週、Nature Communications誌に掲載されました。
潰瘍性大腸炎は結腸と直腸の内層の炎症によって引き起こされるため、キム博士と彼の同僚は炎症を起こした組織を冷やす方法を探しました。
彼らは、炎症サイクルを断ち切るのに役立つ制御性 T 細胞 (T-reg) と呼ばれる免疫細胞のグループに焦点を当てました。
より多くの T-reg 細胞を結腸に届けることができれば、大腸炎の原因となる炎症を軽減できる可能性があります。
キム博士のチームは、T-reg細胞を引き寄せる方法を考え、結腸の磁石のように機能する特定の受容体をT-reg細胞の表面に発見しました。
CPR15 と呼ばれるこの受容体を T-reg 細胞が持つ量が多ければ多いほど、より強く結腸に引き寄せられます。
そこで彼らは、磁石の力を高めるために、T-reg細胞により多くのGPR15を生成させることができる分子を探しました。
彼らは、トリプトファン、または体内でトリプトファンが分解される分子の 1 つが、GPR15 と呼ばれるこれらの受容体を増加させる可能性があることを発見しました。
これらの分子が大腸炎を制御できるかどうかを確認するために研究者らは2週間にわたってマウスの食事にトリプトファンを補充しました。。
彼らは、追加のトリプトファンを与えられなかったマウスと比較して、結腸組織内の炎症を抑制するT-reg細胞の量が2倍であることを確認しました。
キム博士のチームは大腸炎の症状が軽減されることを確認しました。
さらに、トリプトファンを食事から除いた後も、その効果は少なくとも1週間は持続するようでした。
「人間の時間に換算すると、約 1 か月の効果が得られる可能性があります。」
と、ジェファーソン ヘルスのシドニー キンメルがんセンターの研究員でもあるキム博士は説明しました。
しかし、大腸炎が再発しているマウスにトリプトファンを与えてもほとんど効果はなく、この食事の変更により、将来的に再発した大腸炎を治療するというより、その予防にのみ効果がある可能性があることを示唆しています。
研究者らは、GPR15を増加させる可能性のある分子を探しているときに、偶然の発見として、なぜ喫煙が大腸炎を予防するように見えるのかを説明するのに役立つ分子も発見しました。
研究者らは、喫煙者は一般の人より潰瘍性大腸炎の発生率が低いことを長年観察してきました。
キム博士のチームは、タバコやバーベキューなどの煙の中に広く存在しTreg細胞のGPR15レベルも上昇させる可能性がある分子を発見しました。
「どちらも大腸炎の予防に役立つ可能性はありますが、トリプトファンのほうがより安全で健康的な選択肢であることは明らかです。」
とキム博士は言います。
研究者らは今後、これらの結果を大腸炎患者にも適用できるかどうかの試験を行う予定です。
トリプトファンサプリメントは、1 日あたりの用量が 100mgを超えない限り、安全であると考えられています。
キム博士は、マウスのデータをガイドとして使用し、ヒトでの効果を確認するには100mgで十分である可能性があると予想しており、更に臨床試験も計画しています。
【以下のリンクより引用】
Could eating turkey ease colitis? Study suggests extra tryptophan could reduce risk of future flares
Medical Xpress