三次喫煙が皮膚病を引き起こす可能性
三次喫煙(サードハンドスモーク,THS) は、タバコを吸った後に表面やほこりの中に残る、タバコの煙による残留汚染物質を吸入してしまうことです。
タバコの表面に無期限に残っている可能性があり、喫煙者と非喫煙者の両方に有害な影響を引き起こす可能性があります。
カリフォルニア大学リバーサイド校の研究者が率いる研究チームは、THS へ皮膚が急に曝された場合、接触性皮膚炎や乾癬などの皮膚疾患の引き金に関係するバイオマーカーを上昇させることを発見しました。
「人間の皮膚が三次喫煙に曝されると、炎症性皮膚疾患のメカニズムが開始され、酸化的害の尿中バイオマーカーが上昇し、癌、心臓病、アテローム性動脈硬化症などの他の疾患につながる可能性があることがわかりました。」
とシェーン・サカマキ・チン氏は述べています。彼はカリフォルニア大学リバーサイド校の元大学院生で、2022 年3 月に細胞、分子、発生生物学の博士号を取得した卒業生です。
オンラインジャーナルの『eBioMedicine』に掲載されたこの研究は、THS に皮膚が暴露された人間で実施された初めての研究です。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校で行われたこの臨床試験には22 歳から45 歳までの10 人の健康な非喫煙者が参加しました。
3 時間、各参加者はTHSを染み込ませた衣服を着用して、毎時間少なくとも15 分間のトレッドミルでのウォーキング、もしくは、ランニングにより発汗を促し、皮膚からのTHSの取り込みを増加させました。
参加者は、衣類に THS が付着することは知らされていませんでした。
次に、参加者から定期的に血液と尿のサンプルを採取し、THS によって誘発されるタンパク質の変化と酸化ストレスのマーカーを特定しました。
コントロール群の参加者の衣服はきれいなままでした。
「THSへ急に曝されるとDNA、脂質、およびタンパク質に対する酸化的損傷の尿バイオマーカーの上昇が引き起こされ、これらのバイオマーカーは、暴露されなくなった後も高いままであることがわかりました。」
と、現在は、カリフォルニア州にあるカイトファーマ(Kite Pharma)で研究員を務め、幹細胞チームを率いているサカマキ・チン氏は述べました。
「喫煙者では、これらのバイオマーカーで同じ上昇を示します。私たちの調査結果は、医師がTHS にさらされた患者を診断するのに役立ち、THSにより汚染された屋内環境の改善を扱う規制政策を策定するのに役立ちます。」
サカマキ・チン氏が研究室で働いていた時の細胞生物学の教授であるプルー・タルボット博士は、皮膚はTHS に接触する可能性が最も大きい体の器官であるためその影響が最も大きい可能性があると説明しました。
「THS曝露に対する人間の健康反応関する知識は、一般的に不足しています。」
と、この論文の責任著者であるタルボット博士は述べています。
「前に喫煙者が所有していた中古車を購入すると、健康上のリスクにさらされます。喫煙が許可されているカジノに行くと、肌がTHS にさらされます。同じことが、前に喫煙者が使用したホテルの部屋に滞在した場合にも当てはまります。」
10人の参加者が受けたTHSへの曝露は比較的短時間であり、皮膚に目に見える変化はありませんでした。
それにもかかわらず、接触性皮膚炎、乾癬、その他の皮膚疾患の初期段階の活性化に関連する血液中の分子バイオマーカーは上昇していました。
「これは、THS へ皮膚が曝露されると炎症誘発性皮膚疾患を誘発する分子を発動させる可能性があるという考えを強調しています。」
と サカマキ・チン氏は述べています。
次に、研究者は、人間の皮膚に接触する可能性がある電子タバコでの残留物の評価を計画しています。
彼らはまた、長期間で皮膚のTHSへの曝露での影響について、大きな集団での評価も検討しています。
【以下のリンクより引用】
Thirdhand smoke can trigger skin diseases
Medical Xpress
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