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世代をまたぐ児童虐待とネグレクトという悪循環を好転させることで母親と子供を救う

南オーストラリア大学の新しい研究では、虐待を受けた親と子供が同じ運命をたどる可能性との間に明確な関連性があることを示し、世代を超えて虐待を阻止するには、子供時代に虐待を経験した女性を支援することが重要です。

 

この発見は、すべての子供たちにとってより安全でより良い養育環境を確保するために、子供の虐待の犠牲者に対しての一層良好な支援が緊急に必要であることを詳説しています。

 

NHMRCとChannel 7 Children's Research Foundationから、資金提供を受け、本日The Lancet Public Healthに掲載されたこの調査によると、ほとんどの児童虐待は、世代間の児童虐待と怠慢のサイクルに巻き込まれた家族の間で発生しています。

児童虐待を行っていたのは、児童保護相談へ連絡されたことがある母親の子供でした。

 

この研究は、子供時代の12歳までに30%が虐待をされたと立証されていた母親だったことを示しました。

対照的に、児童保護への接触歴がない母親の子供については、虐待と立証されたケースの割合は5%でした。

 

この研究では、南オーストラリアの児童保護法に基づいて、38,556件の母子ペア(虐待を経験した人と経験したことがない人)を含む、国際的に認められた『iCAN研究』からの大規模な関連データセットを使用して、南オーストラリア州における児童虐待の世代間での伝播を定量化しました。

 

立証された虐待、そして、自宅でのケアがされない状況下にあった母親の子供は、子供を虐待するリスクが最も高く、立証された虐待を行うリスクが14倍あり、また、子供と離されるリスクは26倍であることがわかり、極端に児童が保護される懸念を反映しています。

 

南オーストラリア大学の教授で主任研究員のレオニー・シーガル氏は、この調査結果は、これらの子供や家族を、自分自身の幸福のためだけでなく、人生の早い段階から成人期まで、胎児と将来の世代の彼らを保護するための介入を支援することが緊急に必要であることを浮き彫りにしていると述べています。

 

「この結果は、複数の健康および社会的領域にわたる児童虐待またはネグレクトの犠牲となった人が一般的に悪い結果を招くことを考慮すると特に懸念されます。」

と、シーガル教授は言います。

 

「虐待を受けた子供は、衝動性のコントロール十分にできず、羞恥心を高め、脅威に対して過剰に怖がり、切れやすいといった極度の苦痛を感じ、早い時期に薬物の使用や精神疾患を引き起こす大人に成長することがよくあります。」

 

「こういった子供たちが親になると、思いやりや信頼という能力が損なわれる可能性があり、自分の子供たちが何を求めているのか理解できないことができず、思うような子育てをすることが非常に困難になる可能性があります。」

 

「私たちの結果は、暴行やネグレクトの持続的な影響、脳の発達の変化、関係パターンの乱れを通じて、子供の虐待の世代間伝達についてよく説明されている生物学的メカニズムと一致しており、観察された関連に因果関係があり、少なくとも部分的には、予防は可能であることを強く示しています。」

 

「子供と親は助けを必要としています。彼らのトラウマを癒すことは倫理的に義務ですが、それのみならず、家族やより広いコミュニティからの、健康面や経済的な支援が必要となります。」

 

「母親が子供時代に虐待を経験した子供たちの間での、児童虐待やネグレクトのリスクの増加は、極端であり、無視できないほど重要です。そして、彼らはすでに行政機関でも知られています。」

 

「私たちが世代間の伝達経路を混乱させることができれば、子供の虐待の大部分を防ぎ、最も脆弱である子供たちの人生の軌跡を好転させ、将来の世代を守ることができます。」

 

【以下のリンクより引用】

Save the mother, save the child: Disrupting the cycle of intergenerational child abuse and neglect

Medical Xpress