乳癌は出産後10年以内の若い女性に転移する可能性が高い
(2019年1月17日)
本日、American Medical Association Network(アメリカ医師会)誌に掲載されたコロラド大学癌センターとオレゴン健康科学大学の研究者による研究では、出産後10年以内に若い女性で診断された乳癌が転移する可能性が高いことを示しています。
ごく最近出産した、またはまったく出産経験のない若い女性での乳がんよりも、死亡率が高い可能性があります。
「これは、最後の出産から10年以内に診断された産後の乳癌が、体の他の部分への転移を発症するリスクが増加する可能性があることを実証する最初の研究です。」と、
MMScの代表で、乳癌および若い女性の乳癌の研究プログラムの代表であるバージニア・ボルヘス博士は述べています。
ボルヘス博士は、OHSU(オレゴン健康科学大学)の長年の共同研究者であるペッパー・シェディン博士との共同研究においての主任著者です。
共同執筆者の一人、エリカ・ゴダード博士は、CU Cancer Centerで博士号を取得し、ボルヘス博士が共同指導を行ったシェディン博士のOHSUの研究室でそれを完成させました。
ゴダード博士は現在、Fred Hutchinson Cancer Research Centerの博士研究員です。
チームは、コロラド州の若い女性の乳がんコホートに含まれる、45歳以下の女性乳がん患者701人のデータを分析しました。
研究者らは、下記の3つのグループ間で遠隔転移を発症するリスクを比較しました。
- 出産の経験がない女性
- 過去10年以内に最後の出産をした女性
- 乳癌の診断を受ける10年以上前に出産を終えた女性
これらのグループで転移を発症するこのリスクはまた、よく知られている乳がんリスクの特徴についても評価されました。
転移リスクの増加は、産後10年までの女性で最も高く、ステージIまたはIIの乳がんの女性で最も顕著であり、同様の非妊娠関連のがんの女性よりも3.5〜5倍リスクが高くなりました。
エストロゲン受容体陽性腫瘍では、診断後15年までに転移リスクの上昇が見られ、ER陰性およびトリプルネガティブ乳がんを含む危険な形態の乳がんに伴う転移リスクのレベルに近づいています。
「これらの癌では、腫瘍自体は異なるようには見えません。トリプルネガティブやHer 2など、より攻撃的なサブタイプである割合に違いはなく、また、診断される段階に違いはありません。また、予後不良の可能性が高まると思われる従来の尺度方法での他の違いもありません。」とボルヘス博士は言います。
「代わりに、これらのデータは、出産後、周囲の乳房組織の状態が転移の発生を助長する可能性があることを示す我々のチームの以前の実験室での研究から得られた発見を裏付けるものです。
例えば、出産や授乳後の乳房組織に新しいリンパ管を敷設することで、ガン細胞がより容易に移動し転移部位が播種される可能性があります。確かに、現在の研究では、診断時にリンパ節にがんがある女性が増えています。」
National Cancer Institute(アメリカ国立がん研究所)によると、米国では毎年45歳未満の25,000人の女性が、乳がんと診断されています。
現在の研究からのデータは、これらの癌の約45%が出産後10年以内に発生することを示唆しています。
これは、毎年11,000人を超えるアメリカ人女性が産後乳癌による転移のリスクが高いことを意味します。
「これらの調査結果は、産後の乳がんが個別のケアを必要とするユニークなサブタイプのがんである可能性があることを理解する必要があることを強調しています。すべての女性は自分がいつ出産したのかを知っているのでこれはすぐ入手可能な情報であり乳癌のリスクが最も高い若い女性を特定することに役立ちます。」
と
乳がんのリスクが最も高いのです」とボルヘス博士は言います。
「リスクの増大を認識している場合は、このリスクを克服して適切に対処するための最善の方法を見つけることに向けて努力することができます。」
【以下のウェブサイトより引用】