乳癌患者の生存率に関連したエストロゲン副産物
ノースカロライナ大学(UNC)ラインバーガー総合がんセンターの研究者らは、ホルモンのエストロゲンの副産物を測定することで、乳がんの女性の生存率を予測できるという予備的な証拠を発見しました。
米国癌学会年次総会で発表された要約書の中で、研究者たちは乳癌女性のグループからの尿中のエストロゲン副産物のレベルを測定した研究からの発見を報告しています。
「良性対悪性」でのエストロゲン副産物の相対レベルは生存率と関連していたと彼らは報告しました。
「これら2つの代謝産物を乳がんの発症確率と関連付けるために多くの研究が行われてきました。」
と、UNCギリングス・グローバルパブリックヘルススクールの博士候補者であり、この研究の筆頭著者であるワン・テンテン氏は述べました。
「これまでのところ、18年間の乳がん診断後の死亡率に関連した代謝産物の関連性を調べたのは、我々が最初であると思います。」
エストロゲンは、女性の性的特徴の発達を促進する体内のホルモンです。
体内で遊離したエストロゲンはいくつかの副産物に分解されます。
そのうちの1つは2-ヒドロキシエストロン、または2-OHEです。
これは「良性」タイプの副産物です。
研究者らは、これが癌に関連するエストロゲンの影響を妨げることが知られていると報告しています。
16-α-ヒドロキシエストロンと呼ばれるもう1つの代謝産物は、それの異常増殖とDNA損傷を引き起こすガン促進作用のために「悪性」代謝産物として知られています。
UNC ラインバーガー総合がんセンターのマリー・ギャモン博士は、
「研究者は2つの代謝産物2-OHEと16-alpha-OHEの比率を調べることに最も興味を示しており、これは「良性」と「悪性」の代謝物の相対バランスを反映しています。」と述べました。
「したがって、この比率は個人固有のエストロゲン代謝プロファイルを表している可能性があります。ここで報告された我々の研究は、尿中エストロゲン代謝産物と乳がん後の生存との関連に焦点を当てた最初のものです。」
彼らの研究では、研究者らはこれら2つの代謝産物の死亡率とのバランスを調査しました。
具体的には、2-OHEのレベルが尿中の16-α-OHEのレベルの1.8倍以上である場合、乳癌女性の死亡原因の関連する26%の減少があることを見出しています。
彼らはまた、より高いレベルの「良性」代謝産物を持つ女性は、乳がんや、心血管系による死亡リスクがより低いことを確認しました。
彼らは、1996年から1997年の間に乳がんと診断され、ロングアイランド乳房研究プロジェクトに参加した687人の女性のグループにおいて、これらの関連性を研究しました。
乳がんの診断後3ヶ月以内に尿中のエストロゲン副産物のレベルが測定されました。
「私たちは、「良性」対「悪性」代謝産物のより高い尿中濃度が、乳がん、心血管疾患、およびほかの乳がん生存者の死亡原因による死亡リスクの24〜27%の減少との関連を発見しました。大きな驚きの1つとしては、この関連がライフスタイル、食事療法、病歴、および診断時に女性が閉経前または閉経後だったかどうかなどの他の要因を考慮に入れたさまざまな状況下でもその関連がずっと見られていたことです。」
」我々の調査結果は、女性の体内の推定エストロゲンレベルに関係なく、エストロゲン代謝産物の相対バランスが乳がん後の予後の予測を示しているように思われます。」
とギャモン博士は述べました。
研究者らは、女性が持つ乳がんのサブタイプが彼らが研究で確認したパターンにとって重要であるかどうか、そして、女性が受けた治療法と、受けなかった治療法が同様に役割を果たすことができるかどうかなどの研究後の課題が残っていると言います。
さらに、彼らは、エストロゲン代謝が、乳がんの女性での心血管疾患による死亡がより高いといったリスクを知らせるのに役立つかどうか、そしてそのリスクが長期的にどのように変化するか、またはエストロゲン測定が行われるタイミングは異なるのかなど、調査を行いたいと考えています。
研究者らは、次のステップの1つとして、エストロゲン代謝産物を診断に重要なタイミングで収集されたサンプルを使用して、エストロゲン代謝産物を経時的に測定した後の関連性についての研究となるだろうと述べています。
また、利用可能となったより高度なテストを使用し、より多くの種類のエストロゲン副産物を測定したいとも考えています。
「我々はこの研究の第一歩を踏み出したものの、乳がんの女性の死亡率に対するエストロゲン代謝産物の予測値を解明するためにはさらなる研究が必要です。」とワン氏は述べています。
【以下のウェブサイトより引用】