人や環境に害のない日焼け止めの選択
安全で効果的な日焼け止めの選択、頭を痛ませる問題になりつつあります。
私たちはこれまで数十年の間好みの日焼け止めを使用してきましたが、製造時に使用される日焼け止め効果のある化学成分が非難を浴びています。
最近の非難内容としては米国食品医薬品局(FDA)による調査があり、この調査では4種類の化学成分を使用した日焼け止めは、わずか1日の使用により高濃度の成分が血流に吸収される可能性が示されています。
これは健康に悪影響があるのでしょうか?答えは誰も知りません。
2月、FDAはアメリカで最も一般的に使用されている12種類の日焼け止め化学成分に関する安全性調査を実施するよう、製造業者に繰り返し求めました。
この試験は、数カ月から数年かかる可能性があります。
それまでの間、有害な紫外線から肌を守るにはどうしたら良いのでしょうか?
CNNは、上記の質問をこの分野の専門家に投げかけました。
- ベストな日焼け対策とは?
それは、日焼け止めを使用することではありません。
「私たちは、服装で対策する方向に転換しようとしています。」
と、モンテフィオーレにある小児病院の専門医であり、米国小児科学会環境医学のメンバーであるソフィー・バルク医師は言います。
「私はたくさんの患者を診るので彼らにどんな日焼け対策を行っているのかを訪ねますが、答えは決まって「日焼け止めを使う」であり、誰もがこれに頼っているのです。」とバルク医師は言います。
「しかし、まずは軽量の衣服や帽子、サングラスを使用し、それでも露出する部分のみ日焼け止めを使用するべきです。」
午前10時から午後4時の紫外線が最も強い時間帯を避け、可能な限り日陰を探すなど、日光を浴びる時間を賢く選択しましょう、とバルク医師は言います。
アメリカがん協会の医長を務めるレン・リッチテンフェルド医師は、これに同意しています。
「私たちの間で長年使われてきたオーストラリア発祥の言葉があります。それは、「Slip, slop, slap and wrap」です。」
「太陽の下に出る時は長袖のシャツを身に着け(Slip)、つばの広い帽子をかぶり(Slap)、日焼け止め塗り(slop)、眼の周りを覆う(wrap)紫外線保護効果のあるサングラスを着用します。」とリッチテンフェルド医師は説明します。
「効果的な紫外線安全対策は数多く存在します。」と彼は言いました。
「日焼け止めはこのひとつですが、メインの対策とすべきではありません。
- より良い日焼け対策とは?
「FDAは、二酸化チタンと酸化亜鉛を含むミネラルベースの日焼け止め剤は一般的に安全であると考えています。」と、リッチテンフェルド医師はは述べました。
こうした日焼け止め剤は、紫外線を吸収し、分解すると熱を放出する化学フィルターとは対照的に、太陽光線を物指摘に屈折させることで遮断します。
「日焼け止めの年次ガイド」を発行する推進団体であるエンバイロンメンタル・ワーキング・グループ(EWG)で健康的生活の科学(healthy living science)の責任者を務めるネッカ・レイバ氏は、これに同意しています。
「酸化亜鉛は間違いなくゴールドスタンダードです。」
「酸化亜鉛は、UVAとUVB両方に対して保護効果のある広範囲に優れた保護剤です。」とレイバ氏は言います。
また、日焼け止めのSPF(サン・プロテクション・ファクター)が適用されるのは日焼けを引き起こすUVBのみであることを知らない人が多い、と付け加えました。
しかしUVAもまたダメージを引き起こし、皮膚を老化させます。
「UVAは肌の深部や組織の内部まで浸透し、長期的なダメージを引き起こします。」とレイバ氏は言います。
「ですので、両方の紫外線に対して広範囲な保護効果のある日焼け止めを使うと良いでしょう。そして、酸化亜鉛はこれに当てはまります。」
ミネラルベースの日焼け止めは、環境にも害が無いようです。
米国皮膚科学アカデミーのスポークスマンであるヘンリー・リム医師は、酸化亜鉛などのミネラルベースの日焼け止めの欠点は肌に白い跡が残ることであり、これは多くの人が見た目が悪いと感じると言います。
「肌が白い人には大きな問題にはなりません。」と、デトロイトでヘンリー・フォード・ヘルス・システムに携わるリム氏は言います。
「しかし、肌色の暗い人が使用すると目立ちます。」
しかし、長年ミネラルベースの日焼け止め使用を推進してきたエンバイロンメンタル・ワーキング・グループによると、肌の変色を最小限に抑える新しい日焼け止めが市場に出ているといいます。
「よって、特にミネラルベースのものを探しているだけである場合は、安全で効果的な日焼け止めが見つからない理由はもはや存在しないのです。」とレイバ氏はいいます。
ひとつの注意点として、専門家らは、スプレータイプのミネラル製品はナノ粒子で構成されているため、使用しないことを推奨しています。
「典型的な60年代のサーファーをイメージすると、彼らの顔には白い縞模様が描かれていると思いますが、酸化亜鉛を肌に塗るとそのような見た目になります。」とレイダ氏は言います。
「そして、酸化亜鉛を利用可能な状態にするため、製造業者は肌に擦りこめるようにナノ化しました。」
研究ではナノ粒子は傷ついた皮膚から侵入しないことが示されていますが、ナノベースの日焼け止めをスプレーした場合はそうではない、と彼女は言います。
「なぜなら、スプレー状のナノ粒子は肺の深部のくぼみ内部まで入り込み、炎症ダメージを引き起こす可能性があるからです。」
スプレータイプのミネラルベースもしくは化学ベースの日焼け止めが肺に害があるかどうかの問題についても、FDAによる調査が行われています。
- 長年使ってきた化学ベースの日焼け止めを使いたい場合はどうすれば?
「現時点では、問題はありません。宣伝文句通りの効果はありますし、紫外線から肌を保護するのに役立ちます。」
と、皮膚科医であり、テキサス大学オースティン校のデル・メディカルスクールで准教授を務めるエイド・アダムソン医師は言います。
「問題なのは、いくつかのこうした化学ベースの日焼け止め成分が血流に入り込むかどうかを解明した良質な研究が存在してこなかったことです。」と彼は言います。
「ちょうどFDAが実施した研究がこれに当たります。」
このFDAによる新しい研究の「ツイートリアル(Twitterでのチュートリアル)」を作成したアダムソン氏は、
FDAはこの研究で調査されたアボベンゾン、オキシベンゾン、エカムスレ(メギゾリルSX)、オクトクリレン4種類の日焼け止め成分、または調査対象であるの他化学成分が安全ではないとは述べていないことを指摘しました。
FDAは「日焼け止め成分においては数多くの技術進歩がありました。」と2月の規制案の中で記述しています。
この案により、「以前よりも高濃度でより多くの活性成分が配合された現在の市販製品の販売につながった」とされています。
「これらの使用条件の変化や日焼け止め成分の違いもまた、吸収率を高め、追加のリスクにつながる可能性がある」とFDAは付け加えています。
リッチテンフェルド医師は、「こうした化学物質は薬物と見なされる事実を、ほとんどの人はこれを認識していません。FDAは、今後これらの物質を薬物と同様に扱う必要があると述べています。わたしたちは、こうした物質の作用をより良く理解し、安全性についても知っておく必要があるのです。」
- 最悪の化学物質を避けるには?
現時点ではそれは難しいでしょう、と専門家は言います。
最も多くの研究がされている化学物質であるオキシベンゾンは、アメリカで販売されている日焼け止めの約3分の2に含まれています。
研究ではオキシベンゾンと青年男性のテストステロン値低下や男性のホルモン変化、妊娠期間の短縮、出生時体重の変化に関連がある可能性が示されており、またラットにおいては内分泌系の混乱をきたし、これは化学成分が天然ホルモンの作用を真似たことを意味しています。
しかしリム氏は、研究の詳細を指摘し、オキシベンゾンにこうした関連性があるというだけでこれを原因と考えることに対する注意を呼びかけています。
ラットを用いた研究についてリム氏は、「私は同僚が数年前に発表した研究では、実験質でこれらのラットと同じ血中濃度を実現するには、毎日の使用を30~250年間続ける必要があることが示されました。」と話しています。
この化学物質は、環境にも影響を与える可能性があります。
最近ハワイとパラオ、フロリダ州キーウェストでは、サンゴ白化現象を引き起こす可能性があるオキシベンゾンとオクチノキサートを含む日焼け止めが禁止されました。
しかし、これらの結果は実験室でのみで見られ、現実世界では確認されていないとリム氏は言います。
しかし新しいFDAの研究では、「オキシベンゾンは調査を行ったその他3種類の化学物質と比べて、50~100倍も身体に浸透した」と、エンバイロンメンタル・ワーキング・グループの上席研究員であるデイビッド・アンドリュー氏は言います。
オキシベンゾンはまた、2008年に行われたアメリカ人に対する政府調査の際、尿サンプルの97%から検出されています。
「つまり、私たちは20年もの間オキシベンゾンが血液に入り込むことを知っていたことになります。」とアダムソン氏は言います。
「今でも判っていないのは、これが人間の健康に何らかの影響を及ぼすのか否かということです。」
彼はこう付け加えました。
「日焼け止め製造業者は、最終的に血液に入り込むこととなる化学物質が何かしらの健康被害と関連していないことを示すべきです。」
出典:2019年5月9日更新 CNN Health 『Choosing a sunscreen that won't harm you -- or the environment』(2019年5月21日に利用)
https://edition.cnn.com/2019/05/09/health/safest-sunscreen-choices/index.html
私たちはこれまで数十年の間好みの日焼け止めを使用してきましたが、製造時に使用される日焼け止め効果のある化学成分が非難を浴びています。
最近の非難内容としては米国食品医薬品局(FDA)による調査があり、この調査では4種類の化学成分を使用した日焼け止めは、わずか1日の使用により高濃度の成分が血流に吸収される可能性が示されています。
これは健康に悪影響があるのでしょうか?答えは誰も知りません。
2月、FDAはアメリカで最も一般的に使用されている12種類の日焼け止め化学成分に関する安全性調査を実施するよう、製造業者に繰り返し求めました。
この試験は、数カ月から数年かかる可能性があります。
それまでの間、有害な紫外線から肌を守るにはどうしたら良いのでしょうか?
CNNは、上記の質問をこの分野の専門家に投げかけました。
- ベストな日焼け対策とは?
それは、日焼け止めを使用することではありません。
「私たちは、服装で対策する方向に転換しようとしています。」
と、モンテフィオーレにある小児病院の専門医であり、米国小児科学会環境医学のメンバーであるソフィー・バルク医師は言います。
「私はたくさんの患者を診るので彼らにどんな日焼け対策を行っているのかを訪ねますが、答えは決まって「日焼け止めを使う」であり、誰もがこれに頼っているのです。」とバルク医師は言います。
「しかし、まずは軽量の衣服や帽子、サングラスを使用し、それでも露出する部分のみ日焼け止めを使用するべきです。」
午前10時から午後4時の紫外線が最も強い時間帯を避け、可能な限り日陰を探すなど、日光を浴びる時間を賢く選択しましょう、とバルク医師は言います。
アメリカがん協会の医長を務めるレン・リッチテンフェルド医師は、これに同意しています。
「私たちの間で長年使われてきたオーストラリア発祥の言葉があります。それは、「Slip, slop, slap and wrap」です。」
「太陽の下に出る時は長袖のシャツを身に着け(Slip)、つばの広い帽子をかぶり(Slap)、日焼け止め塗り(slop)、眼の周りを覆う(wrap)紫外線保護効果のあるサングラスを着用します。」とリッチテンフェルド医師は説明します。
「効果的な紫外線安全対策は数多く存在します。」と彼は言いました。
「日焼け止めはこのひとつですが、メインの対策とすべきではありません。
- より良い日焼け対策とは?
「FDAは、二酸化チタンと酸化亜鉛を含むミネラルベースの日焼け止め剤は一般的に安全であると考えています。」と、リッチテンフェルド医師はは述べました。
こうした日焼け止め剤は、紫外線を吸収し、分解すると熱を放出する化学フィルターとは対照的に、太陽光線を物指摘に屈折させることで遮断します。
「日焼け止めの年次ガイド」を発行する推進団体であるエンバイロンメンタル・ワーキング・グループ(EWG)で健康的生活の科学(healthy living science)の責任者を務めるネッカ・レイバ氏は、これに同意しています。
「酸化亜鉛は間違いなくゴールドスタンダードです。」
「酸化亜鉛は、UVAとUVB両方に対して保護効果のある広範囲に優れた保護剤です。」とレイバ氏は言います。
また、日焼け止めのSPF(サン・プロテクション・ファクター)が適用されるのは日焼けを引き起こすUVBのみであることを知らない人が多い、と付け加えました。
しかしUVAもまたダメージを引き起こし、皮膚を老化させます。
「UVAは肌の深部や組織の内部まで浸透し、長期的なダメージを引き起こします。」とレイバ氏は言います。
「ですので、両方の紫外線に対して広範囲な保護効果のある日焼け止めを使うと良いでしょう。そして、酸化亜鉛はこれに当てはまります。」
ミネラルベースの日焼け止めは、環境にも害が無いようです。
米国皮膚科学アカデミーのスポークスマンであるヘンリー・リム医師は、酸化亜鉛などのミネラルベースの日焼け止めの欠点は肌に白い跡が残ることであり、これは多くの人が見た目が悪いと感じると言います。
「肌が白い人には大きな問題にはなりません。」と、デトロイトでヘンリー・フォード・ヘルス・システムに携わるリム氏は言います。
「しかし、肌色の暗い人が使用すると目立ちます。」
しかし、長年ミネラルベースの日焼け止め使用を推進してきたエンバイロンメンタル・ワーキング・グループによると、肌の変色を最小限に抑える新しい日焼け止めが市場に出ているといいます。
「よって、特にミネラルベースのものを探しているだけである場合は、安全で効果的な日焼け止めが見つからない理由はもはや存在しないのです。」とレイバ氏はいいます。
ひとつの注意点として、専門家らは、スプレータイプのミネラル製品はナノ粒子で構成されているため、使用しないことを推奨しています。
「典型的な60年代のサーファーをイメージすると、彼らの顔には白い縞模様が描かれていると思いますが、酸化亜鉛を肌に塗るとそのような見た目になります。」とレイダ氏は言います。
「そして、酸化亜鉛を利用可能な状態にするため、製造業者は肌に擦りこめるようにナノ化しました。」
研究ではナノ粒子は傷ついた皮膚から侵入しないことが示されていますが、ナノベースの日焼け止めをスプレーした場合はそうではない、と彼女は言います。
「なぜなら、スプレー状のナノ粒子は肺の深部のくぼみ内部まで入り込み、炎症ダメージを引き起こす可能性があるからです。」
スプレータイプのミネラルベースもしくは化学ベースの日焼け止めが肺に害があるかどうかの問題についても、FDAによる調査が行われています。
- 長年使ってきた化学ベースの日焼け止めを使いたい場合はどうすれば?
「現時点では、問題はありません。宣伝文句通りの効果はありますし、紫外線から肌を保護するのに役立ちます。」
と、皮膚科医であり、テキサス大学オースティン校のデル・メディカルスクールで准教授を務めるエイド・アダムソン医師は言います。
「問題なのは、いくつかのこうした化学ベースの日焼け止め成分が血流に入り込むかどうかを解明した良質な研究が存在してこなかったことです。」と彼は言います。
「ちょうどFDAが実施した研究がこれに当たります。」
このFDAによる新しい研究の「ツイートリアル(Twitterでのチュートリアル)」を作成したアダムソン氏は、
FDAはこの研究で調査されたアボベンゾン、オキシベンゾン、エカムスレ(メギゾリルSX)、オクトクリレン4種類の日焼け止め成分、または調査対象であるの他化学成分が安全ではないとは述べていないことを指摘しました。
FDAは「日焼け止め成分においては数多くの技術進歩がありました。」と2月の規制案の中で記述しています。
この案により、「以前よりも高濃度でより多くの活性成分が配合された現在の市販製品の販売につながった」とされています。
「これらの使用条件の変化や日焼け止め成分の違いもまた、吸収率を高め、追加のリスクにつながる可能性がある」とFDAは付け加えています。
リッチテンフェルド医師は、「こうした化学物質は薬物と見なされる事実を、ほとんどの人はこれを認識していません。FDAは、今後これらの物質を薬物と同様に扱う必要があると述べています。わたしたちは、こうした物質の作用をより良く理解し、安全性についても知っておく必要があるのです。」
- 最悪の化学物質を避けるには?
現時点ではそれは難しいでしょう、と専門家は言います。
最も多くの研究がされている化学物質であるオキシベンゾンは、アメリカで販売されている日焼け止めの約3分の2に含まれています。
研究ではオキシベンゾンと青年男性のテストステロン値低下や男性のホルモン変化、妊娠期間の短縮、出生時体重の変化に関連がある可能性が示されており、またラットにおいては内分泌系の混乱をきたし、これは化学成分が天然ホルモンの作用を真似たことを意味しています。
しかしリム氏は、研究の詳細を指摘し、オキシベンゾンにこうした関連性があるというだけでこれを原因と考えることに対する注意を呼びかけています。
ラットを用いた研究についてリム氏は、「私は同僚が数年前に発表した研究では、実験質でこれらのラットと同じ血中濃度を実現するには、毎日の使用を30~250年間続ける必要があることが示されました。」と話しています。
この化学物質は、環境にも影響を与える可能性があります。
最近ハワイとパラオ、フロリダ州キーウェストでは、サンゴ白化現象を引き起こす可能性があるオキシベンゾンとオクチノキサートを含む日焼け止めが禁止されました。
しかし、これらの結果は実験室でのみで見られ、現実世界では確認されていないとリム氏は言います。
しかし新しいFDAの研究では、「オキシベンゾンは調査を行ったその他3種類の化学物質と比べて、50~100倍も身体に浸透した」と、エンバイロンメンタル・ワーキング・グループの上席研究員であるデイビッド・アンドリュー氏は言います。
オキシベンゾンはまた、2008年に行われたアメリカ人に対する政府調査の際、尿サンプルの97%から検出されています。
「つまり、私たちは20年もの間オキシベンゾンが血液に入り込むことを知っていたことになります。」とアダムソン氏は言います。
「今でも判っていないのは、これが人間の健康に何らかの影響を及ぼすのか否かということです。」
彼はこう付け加えました。
「日焼け止め製造業者は、最終的に血液に入り込むこととなる化学物質が何かしらの健康被害と関連していないことを示すべきです。」
出典:2019年5月9日更新 CNN Health 『Choosing a sunscreen that won't harm you -- or the environment』(2019年5月21日に利用)
https://edition.cnn.com/2019/05/09/health/safest-sunscreen-choices/index.html