電話: (050) 5806 4417

平日09:30~18:30(日本時間)

JapanRx / 今年中にCOVIDワクチンができることを期待しないで、とWHOは述べる

今年中にCOVIDワクチンができることを期待しないで、とWHOは述べる

ワクチンの開発には時間がかかります。
これは事実です。
このため、COVID-19のパンデミックが発生するとすぐに、新しいワクチンの開発競争が始まりました。
残念なことに、この切迫感によって、ワクチンが夏の終わりまでに、初秋には、そして今は冬前には完成するのではないかという、誤った主張や予測を引き起こしています。
ワクチン開発が簡単なことであればどんなに良かったことでしょう。
世界保健機関は、人々の期待をコントロールしようと試みており、2021年半ばまでにワクチン接種が広まるとは予想していないと述べています。

ニューヨーク・タイムズ紙は、世界中で異なる開発段階にある数々のワクチンをリストする、コロナウイルス・ワクチン・トラッカーを更新し続けています。
現状、承認済みのボックスには“0”と記載されており、早期または制限付きの使用が承認されているワクチンは、3種類のみです。
これらのワクチンは、最終的な安全性試験が完了する前にワクチンを承認した、ロシアと中国にあります。

本トラッカーによると、現在、ヒトを対象にした臨床試験が37件進行中であり、前臨床段の試験は91件あるといいます。


<ワクチン開発の長い道のり>

ワクチンは通常、実際に使用するために出荷されるまでに何年もの研究と試験を必要とします。
まず、ウイルスについて学び、その弱点を見つけ、ワクチン候補を見つけるための基本的な研究が実施されます。
これには数年かかる場合があります。
次は前臨床段階で、実験室での研究および動物実験によって、もともとの考えの裏付けを行います。
この段階で、研究者は元の考えを放棄するか、このまま進めるか、試験結果に基づいて微調整することを決定する場合があります。

しかし、これだけでは終わりません。

前臨床段階が終了したら、研究者はヒトを対象にしたワクチン候補試験を行うための許可を申請する必要があります。
第1相試験では、健康な成人の小規模集団が対象となります。
この試験では、研究者が、ワクチンが予想通りの効果を発揮し、免疫応答を引き起こすかどうかを確認します。
第1相試験が成功すると、第2相試験に進み、より多くの対象者にワクチンが接種されます。
一部の被験者は、ウイルス感染リスクの高い集団に属しています。
この時点で、研究者たちは、投与する用量や安全性、最善の投与方法を検討します。

やるべきことは、その他にもあります。

最後に、すべての確認点に問題ないことが確認された場合、第3相試験を実施します。
この試験には何千人もの人々が関与し、場合によっては数年間続く可能性もあります。
これは、小規模集団では見られなかった副作用が確認された場合です。
また、この段階では、プラセボ約やその他の利用可能なワクチン(対象ウイルスの初めてのワクチンではない場合)と比較した際のワクチンの効果についても、より理解を深めることができます。
試験が完了し、成功して初めて、FDAの承認を得て市場に投入することができます。
しかし、それから別の種類の作業が始まります。
生産および配布は承認を受けて初めて開始できますが、これにもやはり時間がかかります。

FDAが公共の利益にとってベストであると考えた場合、一部の工程が省かれることもあります。

WHOは研究の速度によって希望を感じているものの、現実的に考えてもいます。
適切な試験を行わないまま時期尚早にリリースされた場合、ワクチン接種が失敗に終わる、さらには有害な影響を生じる恐れがあります。
第3相試験の結果が出ていないロシアと中国の3種のワクチンに懸念があるのは、これが理由です。

「少なくとも6~9個のワクチン候補に対して、かなりの長期間研究が続けられていることがわかっています。」と、WHOの広報担当者マーガレット・ハリス氏はジュネーブの記者団に対して語りました。
しかし同氏は、「現実的なスケジュールの観点から考えて、来年半ばまでに広範囲なワクチン接種が完了するとは考えていない」ことを強調しています。


<米国は現在準備段階にある>

来年までに信頼できるワクチンが利用可能になることはないかもしれませんが、連邦政府は各州に対し、早くも11月にはワクチンを配布する準備を整えるよう要請しています。
WHOはこれが現実のものとなるとは考えていませんが、ホワイトハウスはその時点までにワクチンが存在すると推測しています。


しかし、希望される通り早期のワクチン配布が実現しなくても、早期に準備を整えることは悪い考えではありません。
ワクチン配布のインフラが整っていれば、ワクチンの使用が許可され次第、すぐに支度を始めることができます。
ワクチン候補が強力かつ安全であると思われる場合、FDAが緊急認可を提供する可能性もあるので、早期の準備は基礎を築く上で役立ちます。

ワクチンの緊急認可は、物議を醸しています。
承認基準が、標準時の基準よりも低くなっています。
この場合、後になって初めてワクチンが有効でない、もしくは深刻な副作用を引き起こすことが発覚する可能性があります。
感染症の専門家やその他専門家は、ワクチンの承認に関しては工程を省かないように求めています。
これにより、ワクチンの配布が遅れる可能性がありますが、ワクチンの効果がより確実なものとなり、一般市民と医療コミュニティの間の信頼を高めることができます。

出典 2020年9月4日更新 Medical Daily『Don’t Expect COVID Vaccine This Year, WHO Says』(2020年9月7日に利用)
https://www.medicaldaily.com/who-warns-covid-vaccine-still-year-away-455767