併用療法はHCV感染での臓器移植に有望
米国肝臓病研究協会が開催したThe LiverMeeting®で今週発表された新しい研究のデータによると、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)とコレステロール治療薬のエゼチミブとの併用療法はHCV(C型肝炎)感染の臓器の移植を成功に導き、また、非感染者への血流への侵入を阻害することも示されました。HCVに感染したドナーの臓器を移植した直後、および7日後に投薬が行われ、臓器移植を受けた患者のHCVを完全に予防または急速に治癒しました。
この短期治療戦略により、DAAに関連する費用が削減され、また、移植患者は病院から退院する前にHCV療法を完了させることができると研究の共著者は結論付けています。
多くの潜在的な臓器提供者がHCVに感染しているという事実があり、そのために臓器移植が拒否される可能性があります。
しかし、複数の小規模な研究により、HCVに感染した臓器のレシピエントは、DAAの移植後に正常に治療できることが示されています。
この研究は、カナダのオンタリオ州にあるトロント肝疾患センター、大学保健ネットワーク、およびトロント大学の研究者によって実施され、DAA先行療法とエゼチミブの併用を評価し、その後、感染を予防するか迅速に除去するための1週間の治療が続けられました。
「移植後のHCVを治療する以前の試験を行っていました。一般的には効果的でしたが、いくつかの課題が残りました。薬物相互作用がいくつかあり、治療コース終了後に2人の患者が再発しました。感染を防ぐことができれば、これらの問題をすべて回避できると考えました。侵入阻害剤を追加し、肝臓にDAAを事前に充填することにより、治療を大幅に短縮できると考えましたが、データが実際にそうであったことを裏付けています。」
とジョーダン・フェルド博士は述べました。
フェルド博士は主著者であり、トロント大学のトランスレーショナル肝臓病研究のR.フェラン議長であり、トロント肝疾患研究センターの研究所長でもあります。
この研究でHCVに感染した臓器提供者からは、肺、心臓、腎臓または腎臓と膵臓の移植が検討されました。
臓器レシピエントは、移植の6時間〜12時間前にグレカプレビル/ピブレンタスビル(300/120 mg)配合薬と10 mgのエゼチミブを併用し、その後、必要に応じて経口、もしくは鼻腔チューブ経由で7日間投与され毎日同じ治療を受けました。
肺移植では、体外肺灌流という、移植中のドナーの体外での肺の腫れを軽減する手順が臨床的に必要な場合で6時間使用されました。他の臓器には標準的な冷蔵保存が使用されました。
HCV ウイルス検査は、14日間、毎日患者でテストされ、その後の10週間は、毎週テストされました。
13人のHCV陰性レシピエントは、5人が肺、5人が腎臓、2人が心臓、1人が腎膵臓であり9人のHCV陽性ドナーから臓器の提供を受けました。
レシピエントの年齢の中央値は60歳でした。
11人は男性、また、人種別では11人が白人でした。
ドナーのHCV RNAレベルの中央値は5.23 log 10IU / mLでした。
6人のレシピエント(46%)は、術後1日目に検出可能であるが定量化できない程度(<15 IU / mL)のHCV RNA定量がありました。
4人のレシピエント(31%)には、移植後の任意の時点で血液中に定量可能な程度のC型肝炎ウイルスが確認され、それは最大でHCV RNAは2.96log 10IU/mLでした。
ただし、HCV RNAは急速に減少し、4人のレシピエント全員において、術後4日目までに定量化ができないほどまで減少しました。
HCV RNAが定量可能であった4人の患者全員が腎臓(3人)または腎膵臓(1人)の移植をけましたが、血液中のC型肝炎ウイルスの移植後の存在に関連する他の要因はありませんでした。
追跡期間の中央値が10週間での再発は報告されていません。
さらに、1人の肺移植患者が敗血症により術後10週間で死亡しましたが、HCV RNAを検出することはできませんでした。
他の重篤な有害事象は研究の患者から報告されておらず、この薬物療法の忍容性は良好でした。
「移植レシピエントは、HCV感染のある人からの臓器を受け入れることには当然不安を感じています。」とフェルド博士は言います。
「この非常に短い治療により、病院からHCVをなくすことができます。これは大きなメリットです。安価で安全であるだけでなく、患者は移植後の他のすべての問題において、HCVを心配する必要がないように望んでいるのですから。」
【以下のリンクより引用】
Combination therapy shows promise for transplanting HCV-infected organs
News Medical Net