便秘続くと臭い物質増加
胃腸の調子が悪いと口臭がきつくなる――。こんな経験をした人は少な
くないはず。「おならが臭いと口臭も臭くなるんです」。東邦大(東京
都大田区)総合診療科教授の瓜田純久さんが解説する。
瓜田さんによると、口と腸にいる菌の種類は似ている。口の中の菌が
食べかすを分解する時と同様に、腸でも数百兆から1000兆いる菌が
食べ物を分解、ガスを放出する。善玉菌は炭水化物などを分解し、無臭
のメタンや水素を放出する。悪玉菌はたんぱく質から臭いのする窒素化
合物や硫黄化合物を放出する。二つの菌のバランスが崩れて悪玉菌が増
えると、臭い物質が増える。
一番の原因は便秘。便が腸に長時間とどまることで、悪玉菌には常に
エサがある状態になり、分解が続いて臭い物質がたまる。臭い物質の一
部は血液に吸収されて息から出てくる。
日本人の標準的な食事は炭水化物60%、脂肪25%、たんぱく質
15%の割合で、臭いは出にくいとされる。しかし、たんぱく質が増え
ると悪玉菌も増えて臭い物質も増える。
便秘には食物繊維、と考えがちだが、「とり過ぎはよくない」と瓜田
さん。消化の悪い繊維質は腸内に残り、そこに付いたたんぱく質が悪玉
菌のエサになる。
ヨーグルトはどうか。瓜田さんは「腸の細菌数に比べてヨーグルトに
含まれる乳酸菌などは微量なので効果も微妙」という。炭水化物をきち
んととるバランスの良い食事を心がけ、たんぱく質も消化しやすい魚、
肉なら軟らかいロースがお薦めだ。適度な運動と規則正しい生活も欠か
せない。
(2015年5月17日 読売新聞)