公衆衛生上COVID-19ワクチンの2回目の接種を遅らせることが効果的である可能性
現在、米国で承認されているCOVID-19ワクチンのうち二つは、3〜4週間、間隔を置いて2回接種する必要がありますが、ワクチンの供給と流通能力が限られているため、新たな感染と入院を最小限に抑える最善の方法を示すデータはほとんどありません。
2021年4月21日にカナダのトロントにあるヨーク大学のセイエド・モガダス氏(Seyed Moghadas)によるオープンアクセスジャーナルPLOS Biology誌に発表された研究は、2回目の投与を遅らせることでワクチンプログラムの有効性を改善できることを示唆しています。
新しくより伝染性の高いSARS-CoV-2変異体の出現により、利用可能なワクチンの初回投与でより多くの個人にワクチン接種して、2回目の投与を遅らせるか、または臨床試験でテスト済みの2回の投与計画に基づいての完了を優先するかについての公衆衛生上の議論が生じました。
各ワクチン接種戦略の疫学的影響を比較するために、研究者らはCOVID-19感染とさまざまな遅延2回接種ワクチンのスケジュールの両方をシミュレートする数学モデルを構築しました。
このモデルは、集団内の既存の免疫のレベルの範囲や、投与間隔を長くした後に、最初に投与されたワクチンの有効性の低下など、いくつかの状況のシュミレーションを行いました。
著者らは、モデルナおよびファイザー・ビオンテックのワクチンの推奨スケジュールに従う場合と比較して、最初の投与後の9週間〜15週間、2回目の投与の時期を遅らせることで、より多くの入院、感染、および死亡を回避できることを発見しました。
著者らは、異なるスケジュールで投与された場合のワクチンの耐久性を定量化する臨床的証拠の欠如など、この研究にはいくつかの制限があると述べています。
したがって、研究者は2回目の投与を遅らせた場合、1回目の投与の保護レベルは安定しており、スケジュールに従ってワクチン接種した場合、2回目の投与を遅らせた後の保護レベルは2回の投与後の全体的な保護と同じであると仮定しました。
各タイプのワクチンの投与間隔についての最適な時間を特定するには、さらなる研究が必要です。
「症例が急増し大発生となっている状況の対策として、私たちの結果は、初回投与量の迅速な分配で、ワクチンの適用範囲を優先することが、重大な結果を減らすためには重要であり、医療システムが、COVID-19以外でのニーズにも対処できるようにすることを示しています。」
と著者は言います。
「新しくより伝染性の高い変異体の広がりにあたり、ワクチンの有効性の全体像はまだわかりません。
これらの変異体に対するワクチンの有効性は、2回目の投与を、時間計画通り、もしくは、遅延させた場合の間隔についての結果を決定する際に考慮する必要がある追加の要因です。」
とモガダス氏は述べました。
【以下のリンクより引用】
Delaying second dose of COVID-19 vaccines may be an effective public health strategy
Medical Xpress