冬のインフルエンザのような疾患はCOVID-19であった可能性がある
中国の武漢と米国のシアトルの在住者を再検査した際の喉スワブ検体に基づく分析では、昨年の冬にインフルエンザのような症状を示した何千人もの人々が、実際はCOVID-19に感染していた可能性があることが示唆されています。
2019年12月31日、中国武漢から肺炎症例の集団発生が発表されましたが、これは後に新型コロナウイルス病(COVID-19)であることが判明しました。
米国ではその21日後の2020年1月20日に、COVID-19の最初の症例が報告されました。
問題の人物は、武漢の家族を訪問した後、5日前に米国に戻った35歳のワシントン州在住の男性でした。
SARS-CoV-2ウイルスがパンデミックの初期段階でどのように広がるかを理解することは、COVID-19による致死率を正確に理解することを含め、あらゆる理由により重要です。
テキサス大学オースティン校が主導した同研究では、COVID-19とインフルエンザの症例の比率に基づいて、初期のCOVID-19拡大状況を推定する新しい方法を用いました。
研究者らは、武漢およびワシントン州シアトルで、都市封鎖が実施される前でさえも、未診断のCOVID-19症例が多数あったと推定しています。
ランセットのEClinicalMedicineジャーナルで公表されている分析では、初期のCOVID-19拡大状況は、専門家が当初考えていたよりもはるかに大規模であった可能性があることが示唆されています。
<未検出だったCOVID-19に関する推定>
この分析は、以前に公開された2つの研究に基づいています。
1つは中国の武漢、もう1つはCOVID-19が最初に報告された州であるワシントン州のシアトルの研究です。
これらの研究では、COVID-19が静かに拡大していた可能性がある期間に実施されていた、インフルエンザのような症状のある人から採取したスワブ検体の再検査を行いました。
武漢の調査では、2020年1月12日までにインフルエンザ様症状の治療を求めていた30歳以上の患者26人のうち、4人がSARS-CoV-2感染症を発症していたことが特定されました。
シアトルの研究では、2020年3月9日までに呼吸器疾患を報告した2,353人のうち、25人がCOVID-19が陽性であったことがわかりました。
いずれの研究で対象となった患者は、インフルエンザの検査でも陽性結果が出ていました。
武漢の成人に関しては、3件のインフルエンザ症例ごとに約2件のCOVID-19症例あり、シアトルでは、18件のインフルエンザ症例ごとに約1件のCOVID-19症例がありました。
新しい研究を実施したチームはこのデータを用い、COVID-19とインフルエンザ感染の比率を計算しました。
このデータをインフルエンザの全体的な有病率に関するデータと組み合わせて使用することで、研究者らは該当期間の(症候性の)COVID-19感染数を推定することができました。
「調査手法とモデリングを組み合わせて使用することで、このパンデミックの歴史をさかのぼり、全貌を知ることができます。」と、新しい研究の上級著者であるローレン・アンセル・マイヤーズ教授は説明しています。
「この調査結果は、パンデミックがどのようにして世界中に急速に拡大したのかを理解し、今後数週間および数か月で起こり得る事象を推測する上で役立ちます。」
<何千もの未検出症例>
1月23日、政府が武漢を封鎖したとき、422件の症例が既に検出されていました。
ただし、新しい調査では、このロックダウンが発表される前(2019年12月30日から2020年1月12日まで)にも、武漢では1,300件以上のCOVID-19症例が発生していたと推定されています。
「データでは、COVID-19が蔓延していること気づく前でも、2件のインフルエンザ症例ごとに、少なくとも1件のCOVID-19症例があったことが示唆されています。」と、マイヤーズ教授は言います。
シアトルに関しては、研究者たちは2020年2月24日から3月9日の期間に、4,367人の成人が症候性COVID-19を発症したと推定しています。
「子供ではCOVID-19の症状が圧倒的に軽度となると思われることを考えると、シアトルでの症候性の小児症例の推定値を踏まえると、その時点でさらに数千の軽症例があった可能性があることが示唆されています。」と著者らは述べています。
<初期の急速な拡大>
これらの発見に基づいて、研究者たちは、パンデミックはおそらく2019年10月末に症状を発症した可能性のある、武漢在住の一人から始まったと述べています。
研究者らは、シアトルに感染症が移動したのは、おそらく2019年12月25日から2020年1月15日にかけてであったと示唆しています。
全体として、調査結果では、初期のCOVID-19拡大が、少なくともこれら2つの都市では、当局から当初報告されていたよりもはるかに大規模であったことが示唆されています。
ロックダウンが開始されるまでの数か月間で、この感染症は拡大していたことが考えられます。
さらに、同研究では、症候性のCOVID-19症例のみを対象に推定を行っています。
全く症状のない人がSARS-CoV-2ウイルスを運ぶ可能性もあるため、実際のロックダウン前の症例数は、これよりもはるかに多い可能性があります。
出典 2020年9月2日更新 Medical News Daily『Winter flu-like illnesses could have been COVID-19』(2020年9月4日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/winter-flu-like-illnesses-could-have-been-covid-19
2019年12月31日、中国武漢から肺炎症例の集団発生が発表されましたが、これは後に新型コロナウイルス病(COVID-19)であることが判明しました。
米国ではその21日後の2020年1月20日に、COVID-19の最初の症例が報告されました。
問題の人物は、武漢の家族を訪問した後、5日前に米国に戻った35歳のワシントン州在住の男性でした。
SARS-CoV-2ウイルスがパンデミックの初期段階でどのように広がるかを理解することは、COVID-19による致死率を正確に理解することを含め、あらゆる理由により重要です。
テキサス大学オースティン校が主導した同研究では、COVID-19とインフルエンザの症例の比率に基づいて、初期のCOVID-19拡大状況を推定する新しい方法を用いました。
研究者らは、武漢およびワシントン州シアトルで、都市封鎖が実施される前でさえも、未診断のCOVID-19症例が多数あったと推定しています。
ランセットのEClinicalMedicineジャーナルで公表されている分析では、初期のCOVID-19拡大状況は、専門家が当初考えていたよりもはるかに大規模であった可能性があることが示唆されています。
<未検出だったCOVID-19に関する推定>
この分析は、以前に公開された2つの研究に基づいています。
1つは中国の武漢、もう1つはCOVID-19が最初に報告された州であるワシントン州のシアトルの研究です。
これらの研究では、COVID-19が静かに拡大していた可能性がある期間に実施されていた、インフルエンザのような症状のある人から採取したスワブ検体の再検査を行いました。
武漢の調査では、2020年1月12日までにインフルエンザ様症状の治療を求めていた30歳以上の患者26人のうち、4人がSARS-CoV-2感染症を発症していたことが特定されました。
シアトルの研究では、2020年3月9日までに呼吸器疾患を報告した2,353人のうち、25人がCOVID-19が陽性であったことがわかりました。
いずれの研究で対象となった患者は、インフルエンザの検査でも陽性結果が出ていました。
武漢の成人に関しては、3件のインフルエンザ症例ごとに約2件のCOVID-19症例あり、シアトルでは、18件のインフルエンザ症例ごとに約1件のCOVID-19症例がありました。
新しい研究を実施したチームはこのデータを用い、COVID-19とインフルエンザ感染の比率を計算しました。
このデータをインフルエンザの全体的な有病率に関するデータと組み合わせて使用することで、研究者らは該当期間の(症候性の)COVID-19感染数を推定することができました。
「調査手法とモデリングを組み合わせて使用することで、このパンデミックの歴史をさかのぼり、全貌を知ることができます。」と、新しい研究の上級著者であるローレン・アンセル・マイヤーズ教授は説明しています。
「この調査結果は、パンデミックがどのようにして世界中に急速に拡大したのかを理解し、今後数週間および数か月で起こり得る事象を推測する上で役立ちます。」
<何千もの未検出症例>
1月23日、政府が武漢を封鎖したとき、422件の症例が既に検出されていました。
ただし、新しい調査では、このロックダウンが発表される前(2019年12月30日から2020年1月12日まで)にも、武漢では1,300件以上のCOVID-19症例が発生していたと推定されています。
「データでは、COVID-19が蔓延していること気づく前でも、2件のインフルエンザ症例ごとに、少なくとも1件のCOVID-19症例があったことが示唆されています。」と、マイヤーズ教授は言います。
シアトルに関しては、研究者たちは2020年2月24日から3月9日の期間に、4,367人の成人が症候性COVID-19を発症したと推定しています。
「子供ではCOVID-19の症状が圧倒的に軽度となると思われることを考えると、シアトルでの症候性の小児症例の推定値を踏まえると、その時点でさらに数千の軽症例があった可能性があることが示唆されています。」と著者らは述べています。
<初期の急速な拡大>
これらの発見に基づいて、研究者たちは、パンデミックはおそらく2019年10月末に症状を発症した可能性のある、武漢在住の一人から始まったと述べています。
研究者らは、シアトルに感染症が移動したのは、おそらく2019年12月25日から2020年1月15日にかけてであったと示唆しています。
全体として、調査結果では、初期のCOVID-19拡大が、少なくともこれら2つの都市では、当局から当初報告されていたよりもはるかに大規模であったことが示唆されています。
ロックダウンが開始されるまでの数か月間で、この感染症は拡大していたことが考えられます。
さらに、同研究では、症候性のCOVID-19症例のみを対象に推定を行っています。
全く症状のない人がSARS-CoV-2ウイルスを運ぶ可能性もあるため、実際のロックダウン前の症例数は、これよりもはるかに多い可能性があります。
出典 2020年9月2日更新 Medical News Daily『Winter flu-like illnesses could have been COVID-19』(2020年9月4日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/winter-flu-like-illnesses-could-have-been-covid-19