前立腺がん:食事の影響についての調査
最近のレビューでは、食事の選択と前立腺がんの関連性が調査されています。
著者らは、植物ベースの食事と前立腺がんのリスク低下との間には関連があり、乳製品の摂取とリスクの増加も関連性があると結論付けています。
米国・国立癌研究所によると、今年、米国で推定174,650人の前立腺癌の新規症例が発生する予定です。
米国では、男性の約11.6%が生涯のいずれかの時点で前立腺がんと診断されます。
他のタイプの癌と同様に、科学者はまだ前立腺癌の危険因子の全範囲を調査中です。
一部の科学者は栄養に目を向けていますが、さまざまな理由で、病気に対する食事の影響を測定することはかなり困難です。
一例として、食物摂取量は日ごと、月ごと、年ごとに大きく変動する可能性があります。
また、特定の食習慣は、健康に影響を与えるライフスタイル要因と結びつく傾向があります。
たとえば、定期的に運動する人はまた、一般的に健康的な食事を取っている可能性が高くなります。
これらの関連性により、ライフスタイル、食事、またはその両方が保護効果を発揮するのかどうかといったことを判断するのが難しくなります。
こういった理由により、前立腺がんと食事の関連性を調査した研究は矛盾する結果がもたらされました。
最近、ミネソタ州ロチェスターのメイヨークリニックの研究者は、そういった矛盾を取り除くため、広範な文献レビューを実施しました。
彼らはその調査結果を『The Journal of the American Osteopathic Association』で発表しました。
それはより明らかになったのでしょうか
最新の研究の著者によると、食事が前立腺がんのリスクに影響を与える可能性があるという状況的証拠がいくつかあります。
彼らは、欧米諸国が人々が、はるかに乳製品の消費量が低いアジア諸国の人々よりもはるかに前立腺癌の罹患率が高いことに注目しています。
また彼らは「前立腺がんを含むいくつかの一般的な癌での米国での死亡率の低下は、肉と乳製品の摂取量が減少し、野菜などの食物消費の増加と一致している」とも説明しています。
もちろん、これらの相関関係は、食事の選択が前立腺がんのリスクに影響するということは証明していません。
著者が説明するように、がんの死亡率の低下は、少なくとも部分的には、がんの検査と治療の改善によるものなのかもしれません。
しかし、彼らはこれらの相関関係がさらに精査されるに値すると考えています。
調査のため、彼らは2006年から2017年の間に研究者が発表した関連研究のレビューを実施しました。
全研究では、100万人以上の参加者を含む47件の研究が調査されました。著者は、全体的な調査結果の概要を次のように説明しています。
「ほとんどの研究は、野菜中心の食事が前立腺癌のリスクの減少や無変化と関連しているのに対し、肉が中心の食事、特に乳製品は前立腺癌の リスクの増加または変化に関連していることを示していました。」
赤身肉、白身肉、加工肉、または魚の摂取量を評価した研究においては、前立腺がんのリスクの増加も減少も見つかりませんでした。
要するに、膨大な量のデータを確認したとしても食事と癌の強固なつながりを明らかにすることは依然として困難なのです。
そうは言っても、著者は乳製品に関連するリスクの潜在的な増加については、さらに調査する価値があると考えています。
「私たちのレビューは、乳製品を大量に消費することの懸念についての原因を浮き彫りにしました。この調査結果は、野菜中心の食事の潜在的な利点に関する多くの証拠も示されています。」
制限そしてこれから
どんな研究でも、制限があります。
第一に、著者は、研究同士がお互いに非常に異なっているため、それらを比較することができず、メタ分析を実行できなかったと説明しています。
著者はまた、これらの関連は因果関係を証明しないことについて、「疫学的データで因果関係を証明できないため、前立腺がんのリスクの変化は関連性と交絡要因の影響を受けることになります。」と記しています。
ほとんどの観察栄養研究に出没する別の問題は食事のリコールです。
参加者が過去数日、数週間、または数か月に消費したものを報告する必要がある場合、彼らは間違えるか、おそらく真実を捻じ曲げることさえ あります。
同様に、前立腺がんは人生の後半で発生することが多いためにさらに混乱を招きます。
それは個人の現在の食事が、10年、20年、または30年前の食事と同じくらい前立腺癌のリスクに影響するかどうかが不明なのです。
全体として、著者は「文献では不一致であることが見つかっているにも関わらず、我々のレビューは、一般に、野菜中心の食事は前立腺癌のリスクの低下と関連しているのに対し、乳製品は前立腺癌のリスクの上昇に関連している可能性が示されています。」
このレビューは、食事の健康への影響を研究することが実質的に困難であることを証明しています。
標準化されているものがなければ、ある研究の結果を別の研究の結果と比較したり、調査結果を再現することは困難です。
現在、栄養と健康に関する話題は、科学者にも一般市民にも人気があります。
この話題は、肥満と糖尿病がますます増えているために大変重要です。
食べ物は明らかに健康に重要な役割を果たしますが、特定の食べ物が特定の状態に影響を与えるかどうかなどといった質問が具体的になると、 因果関係を示すのがはるかに難しくなります。
間違いなく、更なる調査が続けられるでしょう。
【以下のリンクより引用】
Prostate cancer: Investigating the impact of diet
MEDICAL NEWS TODAY