前立腺癌のホルモン治療で鬱病を発症
デンマークの研究者による新しい研究では、ホルモン療法は男性の前立腺癌の抑制に役立つものの、うつ病のリスクを高める可能性があることを示唆しています。
テストステロンなどの男性ホルモンは前立腺腫瘍の増殖を促進することが知られています。
そのため、医師はホルモンの生産を減らすために薬剤を使用しますが、それは失禁やインポテンツなどの辛い副作用を引き起こす可能性があります。
新しい研究では、前立腺を摘出した後、ホルモン減少療法を受けている男性が他の前立腺癌患者よりも鬱病を発症する可能性が80%高いことがわかりました。
コペンハーゲン大学病院の主任研究員である、アン・ソフィー・フリバーグ博士は、
「診断から何年経っても、特にアンドロゲン枯渇療法による治療を行っている場合、 前立腺癌患者のうつ病の兆候が継続的に認識されています。」と述べました。
がんを患う男性の多くは憂鬱になりますが、この治療は性機能に影響を与えることが多いため特にそうです。
この研究では、ホルモン減少療法だけが鬱病の原因であることを証明することはできませんが、おそらくその役割を果たしているでしょうとフリバーグ博士は述べています。
「我々の結果は、前立腺癌患者がうつ症状を感じやすいことを示していますがこの関連性は多くの要因に左右されます。我々の結果は再発治療がそういったリスクに大きく関係していることを示唆しています。」
この研究のために、フリバーグ博士のチームはデンマークの前立腺癌患者登録簿に記載されている約5,600人の男性に関するデータを収集しました。
そのうち770人以上がうつ病の治療を受けていました。
この研究では、ホルモン減少薬で治療されている男性は他の患者と比較して、うつ病のリスクがほぼ2倍あることがわかりました。
フリバーグ博士によると、このリスクは18年間の追跡調査中もずっとあったそうです。
この研究結果は、前立腺が外科的手術で切除された男性に対して最も有力なものでしたが、放射線治療を受けた男性の結果は決定的ではないと研究者らは述べました。
前立腺を摘出した男性には、勃起不全や尿失禁などのうつ病の可能性を高める副作用が起こります。
これらの外科手術を受けた患者の4分の1もの人が癌を再発し、その後でホルモン減少薬による治療を受けているのかもしれません。
この治療はテストステロンをブロックし、性欲を変え、のぼせを引き起こし、そして気分に影響を及ぼします。
そして、その全てがうつ病のリスクを増大させると研究者らは記しています。
この調査結果は、スペインのバルセロナで開催された欧州泌尿器科学会の会議で月曜日に発表されました。
ボストンにあるハーバード大学医学部の放射線腫瘍学の教授であるアンソニー・ダ・ミーコ博士は、研究の結論に疑問を投げかけました。
彼は、ホルモン減少療法を受けている多くの男性が、結果として起こるほてりを抑えるために抗鬱剤エフェクソール(ベンラファキシン)を処方されることがあると述べました。
「ほてりに対する第一の治療薬は抗うつ薬であるため、この研究は決定的なものではありません。」とダ・ミーコ博士は述べました。
また、うつ病を発症する可能性が最も高い前立腺患者は、うつ病の既往歴がある患者であると彼は付け加えました。
この研究は、うつ病に対するホルモン減少治療の効果を誇張しているかもしれませんが、
ダ・ミーコ博士は、
患者がうつ病の危険にはさらされており、それに対する治療を必要とするかもしれないことを医師は認識するべきだと述べています。
【以下のウェブサイトより引用】