単なる胸やけ、それとも心臓の問題？

名前の割に、胸やけ（heartburn）は心臓となんの関係もありません。
胸やけは、胃の内容物や胃酸が食道までせり上がることで起こりますが、心臓発作や狭心症といった心臓の痛みは通常、心筋に繋がる動脈内の血液不足によって起こります。
完全に異なる問題なのです。

しかしこれらの症状は必ずしも簡単に区別できる訳ではありません。
どちらの症状も似たような胸の痛みを生じ、多くの場合根柢の問題を調べるには医療検査を受ける必要があります。
実際に胸の痛みを訴えて病院に行く人の半数以上には、心臓関連の問題が無かったことがわかっています。
言わずもがな、60％の人が患っていたのは胸やけだったのです。

混乱を招く原因は、次の通りです。
心臓や消化管の痛みを感じる神経は、単に痛みの元凶や性質を特定できるほど高性能ではないのです。
心臓や胃、さらには虫垂の問題は、単に「胸の痛み」として片づけられてしまいます。
女性や高齢者の症状は、特に分かりづらくなります。

さらに厄介なのが、胸やけは心臓発作の前兆である可能性があるということです。
心臓発作を起こした女性の40％近くが、直前に胸やけもしくは消化不良を起こしていたと言っています。

しかし、痛みの原因を突き止め、改善策を講じるための違いが全くないという訳ではありません。
各症状に一般的に見られる簡単なチェックシートを、以下に作成しました。


胸やけの徴候：

• 焼けるような痛み
• 食後、特に多量の、脂っこいもしくは辛い食事をとった後に起こる
• 喉までせり上がることがある
• 横になったりかがむと悪化する
• 口内に酸っぱいもしくは苦い味を感じる
• 通常制酸薬で緩和する

心臓関連の警告サイン：

• 圧迫感、苦しさ、狭窄、膨満感
• 運動後やストレスを受けた時に発生する
• 背中や首、あご、肩、腕まで、特に体の左側に広がることがある
• 息切れや冷や汗、めまいや吐き気を伴う

＜安全を期する＞
上記は厳格なルールではないことを覚えておきましょう。
例えば、胸やけの痛みが顎まで広がったり、多量の食事をとったあと血流が心臓から遠ざかり、狭心症の発症に至ることもあります。
「違いを区別する絶対的な方法は無いため、何かおかしいと感じたら、後悔する前に安全策を取る方が良いでしょう。」とチェタン・パテル医師は言います。
彼は、サウスカロライナ州にあるグリーンビルヘルスシステムの心臓病専門医です。
胸の痛みが普段よりも激しい場合、特に女性や、運動後に痛みが出た場合は、救急に電話するか、直ちに緊急支援を受けて下さい。
糖尿病、喫煙、高コレステロール、過剰体重などの心臓病の危険因子がある場合は、特に注意が必要です。

出典 sharecare『Heartburn or Heart Problem?』（2019年12月20日に利用）
https://www.sharecare.com/health/heartburn-reflux/article/heartburn-or-heart-problem