喘息がある未就学児の親は喘息発作の治療準備が不十分
2018年8月8日、喘息を持つ児童の両親で、自宅で子供の呼吸状態を治療するために適切な知識があり、薬も入手しているのはの約半数だけという新たな研究結果が報告されました。
こういった子供達の3分の1は空の吸入器を持っていたと、研究者らは報告しています。
ボルティモアにあるジョンズ・ホプキンス大学医学部の准教授、ミシェル・アーキン博士は、「自宅で喘息治療ができないと、急患で運ばれることになる可能性があります。」と説明しています。
「私たちは各家庭を訪問し、子供の喘息薬を見せてもらえるか依頼しましたが、そのうち子供の喘息発作のための薬を準備していたのは60%のご家庭のみでした。」
『投薬の準備ができている』ということは、薬が常備され、それは期限切れや空でないことを確認したという意味です。
喘息は、米国の小児における最も一般的な慢性疾患です。それはまた、米国における健康格差の主要な要因ともなっています。
白人の子供の7%と比較して、黒人の子供の16%が喘息であることを研究者は指摘しました。
米国の国立心臓、肺、および血液研究所によると、喘息の症状には、咳(特に夜間に悪化)、喘鳴、胸部圧迫、息切れなどがあります。
未治療の喘息は呼吸困難になり、最も重症の場合は死に至ることがあります。
この疾患の治療には、喘鳴などの症状が現れた時に投薬されるアルブテロール(ベントリン)などの対処薬やがあります。
また、喘息調整薬、特にFLOVENT(フルチカゾン)、パルミコート、キュバールのようなコルチコステロイド吸入器は、喘息の症状を引き起こす炎症を防ぐために、日常的に使用されています。
研究者らはボルチモアヘッドスタート幼児教育プログラムと協力して、約300人の子供の保護者に2時間程度の家庭訪問によるインタビューを行いました。
子供たちの年齢は2〜6歳(平均年齢4歳)で、そのほとんどにあたる3分の2が喘息を制御できていませんでした。
訪問家庭の92%が黒人のご家庭でした。また、同じ状況は喘息のケアに当たるのは子供の親の一人、通常は母親で共通していました。
ケアに当たる親の40%は高校中退、また、3分の1は大学中退か、大学を卒業していました。
研究者は、ケアに当たる保護者が子供の喘息治療の準備ができていることを示す5つの具体的な要因を探りました。
子供に救済薬の投薬を行ったことを報告した両親のうち、60%のみが5つの基準すべてに合致し、自宅で投薬を行ったのは79%のみでした。
子供が調整薬の投薬を必要とした場合では、保護者のうち49%だけが5つの基準をすべて満たしており、79%が家庭内で薬を常備していたという結果が示されました。
有効期限が切れた薬剤の問題については、吸入器が肺に活性薬物を送達するために推進薬を使用するため、薬剤がなくなっても依然として推進薬が存在する可能性があるとアーキン博士は説明しました。 それは使用者には投薬時と同様の使用感覚を与えていることを意味します。しかし、吸入器の外側のカウンターがゼロの場合、有効に投薬できません。
殆どの子供達は、一般的には、インへラーの公称共同費(普通は約1ドル)のみが含まれている州の健康保険の適用があるため、面接した保護者が負担する費用の問題ではではないとアーキン博士は指摘しています。
アーキン博士は、また、喘息とさまざまな種類の知識についての教育が不足している可能性があると指摘しました。
デトロイトにあるセントジョン病院メディカルセンターでのアレルギー・免疫学のチーフであるジェニファー・ アップルヤード博士は、この研究は「親の目を覚ます呼びかけ」だと述べました。
「これは就学前の幼稚園、アフリカ系アメリカ人、または、都会の子供たちに限定したことではなく、また、全ての保護者に当てはまるわけではなく、この調査結果はすべての年齢層に推定できると思います。私達は、吸入器を持っていますか?消費期限は切れていませんか?適切な対処方法を知っていますか?などを尋ね、全体的な教育を強化する必要があります。」と付け加えました。
アップルヤード博士は、慣習として家庭を訪問するたびに保護者には投薬指示書を与えていると述べました。
「そこには患者である子供や両親にとっては圧倒的に豊富な情報があり、病気やその薬剤を理解する必要があります。患者(そして両親)が病気についてよく理解すればするほど、それはより順応性が高く、よりうまく管理することができますが、そのためには時間と資源が必要となります。」と彼女は説明します。
この研究は、8月7日のオンライン小児科学雑誌Pediatricsに掲載されました。
【以下のウェブサイトより引用】