喫煙をやめることで腸内細菌が大きく変化する可能性
2019年11月15日(AHA: アメリカ心臓協会ニュース)- 新しい研究によると、喫煙をやめることで腸内細菌が大きく変化します。
しかし、その変化が何を意味するのかということは更に調査する必要があります。
アメリカ・フィラデルフィアで行われた米国心臓協会の科学セッション中で、月曜日に発表される予定の小さなパイロット研究は、腸内の細菌と心血管の健康との関連を示す過去の研究がきっかけとなり行われています。
過去の研究は、喫煙を行うことが腸内に生息する有益な細菌の種類の多様性の減少に関連していることを示しています。
新しい研究で、研究者は喫煙をやめようとしている26人を調査し、研究の開始時と2週間後、そして、12週間後に再び便サンプルを採取しそれを分析しました。
「禁煙することが、腸内細菌叢を変えると結論付けました。これは科学の重要な部分だと思います。」
とこの研究の筆頭著者であるマーカス・サブレット博士は述べました。
「喫煙が腸内細菌叢を変えることはすでに確立されています。ここで追加しているのは、禁煙自体も腸内細菌叢を変え続けるということです。もちろん、これは良いことなのかそれとも悪いことなのかはまだわかりません。」
この研究は、細菌の多様性の改善が、心拍数、収縮期血圧、および炎症に反応して上昇するC反応性タンパク質レベルの低下と関連していることを示しました。また、酸素を運ぶ赤血球であるヘモグロビンの増加も示されました。
「これらの変化はすべて、潜在的に良好な健康状態を保つ可能性のある間接的なマーカーです。」と、ウィスコンシン大学マディソン校の循環器科の特別研究員であるサブレット博士は言いました。
「腸内細菌叢が心血管疾患のために実際に何かをしているという仮説の大きな裏付けとなります。」
サブレット博士は、研究者が禁煙をした人は、「ファーミキューテス」と呼ばれるいくつかの細菌が減少し、過去の研究で、糖尿病と肥満のリスクを下げるための手段である可能性が示されたバクテロイデスと呼ばれる他の細菌の増加があることを発見したと述べました。
「腸内微生物叢と心血管疾患の研究は非常に早い段階であるため、この比率が何を意味するのかを正確に知ることは困難です。
しかし、それは、全体像に追加され、これを理解し始めることに役立ちます。」
と彼は言いました。
サブレット博士によると、この研究は患者数が少なく、焦点が比較的狭いために制限されていました。
「細菌の正確な種を掘り下げるのではなく、細菌の大きなグループの大きな割合または割合を調べています。」
サブレット博士は、マウスに人間から採取した生きた細菌を与えるという、研究をこれから行う予定だと述べました。
「喫煙を継続している人と禁煙に成功した人の両方の微生物叢を無菌マウスに与えるとアテローム性動脈硬化症の進行はどのように変わるのでしょうか。」
クリーブランドクリニックのマイクロバイオームと人間の健康センター(Microbiome & Human Health at the Cleveland Clinic)の所長であるスタンリー・ヘイゼン博士は、この研究結果は「内臓微生物群集を含め、代謝についてグローバルな観点で見る必要性にヒントを与えるものです。」と述べました。
研究には関与していないヘイゼン博士は、次のように述べています。
「環境曝露の変化は、腸内微生物群集の変化を含む、様々な形で宿主に影響を与えます。これから確認される禁煙の結果として起こる変化は興味深い問題です。」
【以下のリンクより引用】
AHA News: Quitting Smoking Could Lead to Major Changes in Gut Bacteria
Health Day