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JapanRx / 嗅覚の鋭さは長寿と関連する

嗅覚の鋭さは長寿と関連する

アメリカの研究では、嗅覚の乏しい高齢者は、嗅覚の優れた高齢者よりも早期に死亡する可能性があることが示されています。

研究者らは71歳~82歳の2,289人の成人に12種類の一般的なにおいを識別するように依頼し、正解数に応じて0~12のスコアで評価しました。
研究開始時点で病弱な被験者はおらず、皆全て4分の1マイル(約400メートル)の距離を歩き、階段を10段上り、助けを借りることなく日常活動を完了することができていました。

13年間の追跡調査中、1,211人の被験者が死亡しました。

全体として、鼻が弱い被験者は嗅覚の優れた被験者よりも10年早く死亡する確率が46%高く、13年早く死亡する確率が30%高いことがこの研究によりわかりました。

「この関連は主に研究開始時に良好~優れた健康状態であると報告された被験者に限られており、嗅覚の低下は臨床的に認識される前に見られる健康悪化の初期兆候であることを示しています。」
と、この研究の上席著者であり、イーストランシング市にあるミシガン州立大学のホングレイ・チェン博士は述べています。 

「嗅覚の低下は、我々がすでに知っていること(認知症やパーキンソン病、栄養不良、安全上の問題等との関連)以上に、高齢者において重要な健康指標であるようです。」と、チェン氏はメールの中で述べました。

研究開始時点で良好~優れた健康状態であった被験者は、嗅覚が乏しかった場合、嗅覚が優れていた場合と比較して10年早く死亡する可能性が62%高くなったと、研究者はアナルズ・オブ・インターナル・メディシンへの報告で述べました。

しかし、研究開始時点でまずまず~悪い健康状態であった被験者においては、嗅覚による死亡率の有意な差は生じないようでした。

嗅覚が乏しい場合、被験者の神経変性疾患や心血管疾患による死亡率が上がりましたが、がんや消化器疾患による死亡率に影響はありませんでした。

この調査結果はまた、嗅覚の低下は、通常身体や精神が衰え始めたことの兆候となる神経変性疾患を超えた、高齢者の健康悪化の初期警告となる可能性を示しています。

研究者らによる推測では、嗅覚の低下と関連する死亡リスクの上昇において、認知症やパーキンソン病が原因であったのは22%、体重低下が原因であったのは6%のみとなりました。
これは、嗅覚の低下と関連付けられた死亡率上昇の70%以上が原因不明であることを意味します。

嗅覚の低下と死亡リスクとの関連は、性別や人種、個人の人口統計的特性、ライフスタイル、慢性健康疾患などによる差が無いようでした。

この研究における限界の一つとして、高齢の被験者は比較的身体機能が良好であり、これが若年者や病弱な高齢者における異なる結果につながった可能性があると、研究チームは記述しています。

研究者らはまた、嗅覚検査を行ったのは一度のみであり、時間の経過による嗅覚の変化が死亡率に影響する可能性については調査していませんでした。
加えて研究者らは、鼻の外科手術や慢性鼻副鼻腔炎など、年齢に関係なく嗅覚を低下させる特定の医学的原因に関するデータも欠いていました。

「重要なことは、嗅覚の低下は健康悪化の予兆である可能性があるということです。」と、付随論説の共同著者であり、ボルチモアにあるジョンズ・ホプキンズ大学に勤めるビデュラタ・カマス氏は言います。

「私たちは、年を取るにつれて嗅覚が低下していることに気づいていないかもしれません。」と、カマス氏はメールの中で述べています。
「この矛盾を踏まえると、高齢者の定期的な嗅覚検査は、追加の臨床検査および/もしくは治療が必要となる可能性のある個人の疾患や怪我、病気リスクの検査において、臨床的有用性があるかもしれません。」

出典:2019年4月30日更新 Asia One 『Keen sense of smell linked to longer life』(2019年6月3日に利用)
https://www.asiaone.com/health/keen-sense-smell-linked-longer-life