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大人よりもPTSDになりやすい子供。その症状とケアの仕方

「PTSD=心的外傷後ストレス障害」は、戦争や事故、災害、虐待、犯罪、テロなど、生命が脅かされるような強烈な経験によって、心に傷(トラウマ)を負い、さまざまな症状を発症する精神疾患です。大人よりも子供のほうがPTSDになりやすいと言われており、特に6歳以下の子供のケースは分けて考える必要があるとされています。

6歳以下の子供に見られるPTSDの症状
については、アメリカ精神医学会が刊行している『DSM-5』(精神疾患の分類と診断の手引き)によると、従来と比べてPTSDの診断基準が複雑になっており、新しく「6歳以下の子供の心的外傷後ストレス障害」という中項目も設けられています。

診断基準は次の通りです(一部、専門用語を平易な表現に言い換えています)。

A. 6歳以下の子供が、実際にまたは危うく死ぬ、重症を負う、性的暴力を受けるような事態に、次の仕方でさらされたとき。
1)トラウマを負うような出来事を直接体験する。
2)主な養育者に起こった出来事を直に目撃する。
(電子媒体、テレビ、映像、写真は除く)
3)親や養育者に起こったトラウマを負うような出来事を耳にする。


B. 侵入症状
1)突然、繰り返し起こってくる苦痛な記憶(遊びの中で再演されることもある)。
2)苦痛な夢を何度も見る(トラウマと関連していると確認できない場合もある)。
3)トラウマを負った出来事が再び起こるように感じる(フラッシュバック)。
4)トラウマを象徴する、あるいは類似するものに対する強くて長引く苦痛。
5)トラウマを思い出させるものへの顕著な生理学的反応。


C. トラウマの回避、関連する認知と気分の陰性の変化 <嫌な体験を思い出すようなことを避ける>
1)トラウマの記憶を思い出すような行為、場所を避ける。
2)トラウマの記憶を思い出すような人との接触や会話を避ける。
<感受性がネガティブになる>
1)恐怖、罪悪感、悲しみ、混乱などネガティブな感情が増える。
2)遊びたがらなくなり、ものごとへの関心が薄くなる。
3)社会的な引きこもり。
4)楽しい・うれしいなどのポジティブな感情が減る。


D. トラウマと関連した覚醒度と反応性の著しい変化(過覚醒)
次の2つ(またはそれ以上)によって示されるトラウマ後の発現や悪化。

1)人や物への極端な癇癪、言語的・身体的な攻撃性、いら立ち、激しい怒り。
2)過度の警戒心。
3)過剰に驚き、うろたえる。
4)集中できない。
5)睡眠障害。
6)上記のような障害が1か月以上持続している。
7)上記のような障害によって本人が苦痛を感じる、または家族や親しい人との関係、学校活動などに支障をきたしている。
8)これらの症状が薬物やほかの病気などによって引き起こされたものではない。


*子供のPTSDの症状 6歳以下の子供の場合、2歳6か月を境に、PTSDの症状の現れ方が異なると言われています。
主な症状は次の通りです。
 <2歳6か月まで>
・夜中に目が覚める。
・大きな音、聞き慣れない音に対して驚く。
・トラウマを思い出させる状況を避ける。
・トイレのしつけがうまくいかない。
・ぐずる、泣きわめく、強情になる、わがままになる。
・親から離れることに不安を感じている。
・身体を硬直させる。
・今まで話せていた言葉が出なくなる、運動ができなくなる(退行)。
・ひきこもり。
<2歳6か月~6歳>
・出来事を繰り返し話題にする。
・トラウマのイメージを強烈に思い出してしまう。
・退行が起こる。(できていたことができなくなる)
・親から離れることに不安を感じている。
・悪夢、夜に起き出す・泣き出す、睡眠障害。
・不安や恐怖を表現するようになる。
・ひきこもり。
・無口。
・集中力の低下。
・外傷体験を再現する遊びをする。
・活動への関心が低下する。
・出来事を混乱したかたちで理解している。
・ものごとを魔術的な解釈をする。


*子供のPTSD治療
命の危険を感じるようなつらい体験をした後に、子供に上記のような様子が見られたら、PTSDの可能性があります。
児童精神科などの専門家に相談しましょう。
治療では子供の成長も考えて、薬物よりも日常レベルでのケアや、周囲の人たちの協力が大人のPTSDのケース以上に重要になってきます。
しっかりと子供を観察しながら、言葉にならないサインに気づいてやることが大切です。 子供の声に傾聴し、感情を素直に表現させ、しっかりと受け止めましょう。
子供がイライラしたり、顔色が悪くなったり、精神・身体に何かしらの症状を示しているときは、ストレスを感じている可能性があります。
深呼吸したり、好きな遊びをしたりなど、ストレスへの対応を教えることも大切です。 大人と同様に、子供のトラウマもそれ自体が消えることはありません。
できることは、トラウマに振り回されずに生きていく術を身につけることです。
十分に時間をかけ、じっくりと傷を癒やしていきましょう。

記事元:http://mocosuku.com/