大気質の改善が小児喘息症例の減少に関係
(ロイターヘルス) - カリフォルニア南部の多くの地域で小児喘息の発生率が低下しているようです。
これは少なくとも大気質の改善がその一助となったと思われます。
大気汚染は長い間さまざまな呼吸器系の問題や、すでに呼吸器疾患がある人にとっては、深刻な喘息発作の危険性の増加と関連してきました。
しかし、これまでの研究では、空気中の有害な化学物質のレベルをどれだけ減らし、喘息の発症を止めることができるかについての明確な見解が示されていませんでした。
この研究では、1993年に小学校4年生だった9歳から10歳までの喘息のない子供たち4,140人を追跡調査しました。
この調査は20年間に渡り行われ、歴史的に大気汚染が深刻な南カリフォルニア州の9つのコミュニティのうちの1つに住んでいる子供たちに関する、
3つのコホートが含まれていました。
研究期間中、地域の大気汚染レベルは一般的に低下し、二酸化窒素、オゾンガスおよび微粒子状物質が減少したと研究者らは報告しています。
喘息の発生率も低下しました。
最初のコホート(1993年から2001年)では、年間100人の子供あたり2.7人の新たな喘息症例が診断されましたが、
これは最後のコホート(2006年から2014年)までに100人の子供あたり年間1.8人に減少しました。
ロサンゼルスにある南カリフォルニア大学ケック医学部の環境健康研究者である主任研究者のエリカ・ガルシア氏は、次のように述べています。
「大気汚染に曝されるということは、喘息を悪化させることが知られている既知の危険因子です。」
「私たちの研究の特徴は、既存の喘息の悪化ではなく、小児における喘息の新たな症例の発生に対して、
大気汚染に曝されることがどれだけ影響するかについて注目していることです。」
「我々は、大気汚染、特に二酸化窒素の減少が、子供の新たに発症した喘息の発生率の減少に関連していることを見出しました。」
この調査での、汚染物質とは、長い間、ロサンゼルスとカリフォルニア州南部の排気ガスやスモッグに関連していました。
研究者たちはオゾンの濃度、さまざまな種類の交通汚染や産業汚染が日光と反応したときに生成される不安定な形での酸素を調べました。
二酸化窒素は、化石燃料を燃焼させた際の副産物であり、スモッグの原因となる可能性があります。
いわゆるPM2.5と呼ばれる直径2.5マイクロメートル未満の固体粒子と液滴との混合物であり、塵埃、汚れ、煤煙やその他の煙、
また、PM10と呼ばれる、直径10マイクロメートルまでの粒子と液滴との混合物が含まれます。
汚染物質のレベルの減少は、コミュニティ全体で20年にわたり様々でした。
しかし、少なくとも半分の地域では、年間の平均二酸化窒素濃度が4.3 ppb、オゾン濃度は8.9
ppb、空気1立方メートルあたりでは
8.1マイクログラムのPM
2.5、そして、PM10では4 マイクログラム減少しています。
1993年に汚染レベルが最も高かった地域では、最大の削減が見られたと研究チームは述べています。
彼らは、大気汚染への曝露の減少が小児喘息率を直接低下させるかどうか、またはどのように低下させるかを証明することは目的としておらず、
喘息を発症した子供の症状の頻度または重症度の変化の調査も行われませんでした。
ニューヨークのロチェスター大学メディカルセンターの環境医学研究者、スティーブ・ジオラス博士は、次のように述べています。
「しかし、大気質への急激な曝露が喘息の重症度の指標である、喘息増悪のリスクを高めることは明らかです。」
「喘息である子供たちが呼吸をしている空気の質を改善することは、彼らの疾病の管理を改善し、おそらく病気の持続的な寛解につながると
推測するのは論理的に思えますが、我々はこの研究からそれを結論づけることはできません。」
【以下のウェブサイトより引用】