女性や高齢者の間で結核以外の肺感染症が増加
米国胸部学会誌に掲載された新しい研究によると、年々、より多くの人がマイコバクテリア肺感染症にかかっており、そういった病気の総数は増えています。最もリスクが高いのは、65歳以上の高齢者です。
非結核性マイコバクテリア
マイコバクテリアは、ハンセン病と結核を引き起こす株として最もよく知られています。
しかし、結核を引き起こさないものの肺感染症を引き起こす他のマイコバクテリアがあり、これらは非結核性マイコバクテリア(NTM)と呼ばれます。これらは自然環境で存在し、ほとんどの人が吸入します。これらの中で、鳥型結核菌が最も一般的に見られますが、それらには160種以上の異なる種があります。
NTM肺疾患
NTMは、それらを吸入する人の中のごく少数に病気を引き起こします。
しかし、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、気管支拡張症、嚢胞性線維症などの慢性肺疾患の人は、より大きなリスクにさらされています。
免疫系が弱い人は、NTMによる肺疾患のリスクが高くなります。
これが発生すると、深刻で致命的となることもありますが、人から人へと広がることはめったにありません。
NTM肺疾患の臨床的特徴には、喀痰、疲労、発熱、進行すると喀血を起こしたり、意図しない体重減少などを伴なう、慢性の咳があります。
それらは、臨床証拠と、例えば、痰の中にNTM感染が見られたり、痰を培養(場合によっては数週間かかることがあります)させたりして患者のNTM感染が活発であることを示す検査を行い、そして、時には気管支鏡検査のためにサンプルを採取します。
診断されたら、喀痰培養が12ヶ月間陰性になるまで、3つ以上の抗生物質が投与されます。
これらの薬物は有毒である可能性があり、慎重な追跡が必要です。
患者の状態に応じて、他の支持療法が必要になる場合があります。
研究
研究者は、8年間(2008年から2015年)にわたる大規模な国家レベルの医療計画(Optum計画)で2,700万人の参加者について調査を行いました。
彼らは医療記録を分析し、NTM感染の発生率を見つけました。これは、毎年10万人年ごとに報告される新しい感染の数を意味します。
彼らはまた、有病率も発見しました。これは、100,000人あたりのNTMに罹患して生活している人の総数です。
研究期間内に、彼らは、NTMによって毎年引き起こされる肺疾患の発生率が、100,000人年あたり3.1%から4.7%に上昇していたことを発見しました。
年間の有病率は、100,000人あたり6.8%から11.7%に上昇しました。
この期間には、米国の29州で発生率と有病率の両方が少なくとも10%上昇しました。
年次発生率は、研究の開始時である4.2%で高く、終了時に6.7%に上昇しました。
女性の年間有病率も9.6%から16.8%に増加しました。
65歳以上の人々では、年間発生率は12.7%から18.4%に上昇し、年間有病率は30.3%から47.5%に上昇しました。
説明
研究員のケビン・ウィンスロップ氏は、この上昇傾向の多くの理由と、特定のグループでの不均衡な増加という点を挙げて、次のように述べています。
「人口が高齢化し、慢性肺疾患に罹患している人が増えているため、そのリスクのある人の数が増加しています。環境への暴露の増加も要因である可能性が高く、医師の間でNTM疾患に対する認識が高まっています。」
NTMは高齢者に影響を与えることが知られているため、加齢に伴う身体の衰弱と免疫反応の低下により、通常男性よりも長生きするはずの女性が影響を受けやすくなります。
さらに、女性は医師の診療を受ける可能性が高く、診断率が高くなっている可能性があります。
喫煙やその他のライフスタイルの選択、汚染、アレルギー性喘息による慢性肺疾患を持つ人々の数の増加、そして、現在の医療での生存期間の延長は、通常このグループを対象とするNTMの有病率を高めます。
医師はまた、患者の間でのNTMに罹患する可能性をより注意するようになりました。
これにより、診断率が上がる可能性があります。まだ知られていない他の要因には、女性がこの状態になりやすい生物学的および遺伝的要因などがあります。
研究者は、コーディング惰性のために正確でない可能性のある健康記録の診断コード依存していることや正確なコードが利用不能であったなど、この研究での制限を列挙しました。
また、この健康計画へ参加者している国民の数が、州によって大きく異なるため国民を代表する可能性ということにも欠けていました。
【以下のリンクより引用】
Study shows non-TB lung infections rising; more in women and older people
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