妊娠がMSの発症を遅らせる可能性
2020年9月18日- 妊娠は多発性硬化症(MS)の発症を3年以上遅らせる可能性があると研究者たちは報告しています。
国際調査では、妊娠したことがない人よりも妊娠を経験した人の方が、平均して3.3年遅く、最初のMSの症状を発現したことがわかりました。
出産まで経験した人であればMSの発症は平均3.4年遅れたと研究者は決定づけました。
世界中で250万人以上の人がMSに罹患しています。
これは、女性が男性の約4倍です。そしてMSは出産適齢期の女性で頻繁に診断されます。
研究者らによると、これらの新しい発見は、MSの原因の理解を改善し、ホルモン療法が症状の発症を遅らせる可能性を高めることに役立ちます。
オーストラリアのモナッシュ大学の神経科学科の研究リーダーである、ビリヤ・ジョクバイティス氏は、妊娠により、MSを引き起こす免疫系の異常な過剰活動が潜在的に長期間、軽減される可能性があると述べました。
「現在のところ、妊娠がMSの発症をどのように遅らせるか正確にはわかりませんが、それは女性のDNAに加えられた変化に関係していると考えています。現在、この可能性を研究するための資金調達の機会を模索しています。」
と彼女は述べました。
研究には、オーストラリアとチェコ共和国の4か所のMS専用クリニックで受診した3,600人以上の女性に関するデータが含まれていました。
研究者は、35か国でのMS患者の『MSBase』というデータベースを調査しました。
このデータベースは、同じく大学の神経科学部門の研究共著者であるヘルムート・ブツキューベン氏が主導しています。
このデータベースは、MSの長期研究には非常に役立つと、ブツキューベン氏は述べました。
「この論文で報告したように、このデータはMSの原因についての全体像を提供し、臨床医がMSの長期的な障害を防止するための最良の治療戦略を決めるためにも役立ちます。」
とブツキューベン氏は述べています。
「私たちの大きな疑問の多くは回答を得るためには10年以上を必要とし、数千人の患者から得られた『MSBase』のような長期間の体系的なレジストリデータセットによってのみこれを行うことができます。」
この研究結果はジャーナルJAMA Neurologyで9月14日に発表されました。
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Healthday