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妊娠初期のオンダンセトロン服用リスクは低い

心臓奇形の増加は見られず、一般的な制吐薬と関連した口唇裂のリスクのわずかな増加が見られました。

オンダンセトロン(商品名:ゾフラン)は、妊娠中の吐き気軽減のために一般的に処方され、処方頻度がますます高まっている薬です。
アメリカでは2014年、妊娠中の女性の約22%が、妊娠中のいずれかの時点でこの薬を使用していました。
これだけの需要があるにもかかわらず、薬の安全性や胎児への影響に関するデータは限られており、またいくつかの小規模研究では矛盾する結果が出ています。

ハーバード大学の関連病院であるブリガム・アンド・ウィメンズ病院(BWH)の研究者による新しい研究では、
88,000人以上の女性のデータを分析し、妊娠中の女性が妊娠初期にオンダンセトロンを服用した際の、心臓奇形や口唇裂のリスクを調べました。
研究チームは、医学雑誌ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA)に発表された論文で、
心臓奇形にはリスク増加が無く、口腔裂には僅かなリスク増加が見られたと報告しました。

ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の薬剤疫学・薬剤経済学科の疫学者であり、論文の責任著者であるクリスタ・ヒュイブレクツ氏は、             次のように述べています。
「オンダンセトロンの使用は年々増加していますが、これまでほんの一握りの数の研究しか実施されておらず、またすべてが比較的小規模な     研究でした。
私たちは、患者と臨床医に向けて、口唇裂と心臓奇形リスク、2つの重要な調査結果に関するより確実な情報を提供したいと考えました。」
「私たちの研究では、現状ある根拠を活用し、潜在的な交絡変数を考慮し慎重な管理の元で実施した数万人の女性と胎児の調査結果を含めた過去最大の研究発表となりました。」

ヒュイブレクツ氏らは、全国的なメディケイド・アナリティック・エクストラクト(MAX)のデータに基づいて後向きコホート研究を実施しました。
このデータには、2000年から2013年の間に出産した180万人以上の公的保険を受ける妊婦のデータが含まれていました。
記録によると、88,467人(4.9%)の妊婦が妊娠初期にオンダンセトロンの処方を受けていました。

研究チームは、心臓奇形の補正相対リスクが0.99であり、信頼区間は0.93-1.06と狭いことを発見し、
これはオンダンセトロンを摂取したグループとそうでないグループ間の心臓奇形リスクの差が無いことの強力な証拠となりました。
研究者らはまた、オンダンセトロンを摂取した妊婦10,000人の心臓奇形の割合は94.4であったのに対し、オンダンセトロンを摂取していない妊婦10,000人の割合は84.4であると報告しています。

研究では口唇裂の増加が見られたものの、この関連性の推定はあまり正確ではありませんでした。(信頼区間1.03〜1.48)
研究者らは、オンダンセトロンを摂取した妊婦における口唇裂の絶対リスクは10,000人あたり14症例であり、オンダンセトロンを摂取していない妊婦では10,000人あたり11.1症例となりました。
研究チームはまた、先天性奇形全般に関する情報を調べたところ、妊娠初期にオンダンセトロンを摂取した場合の胎児のリスク増加は見られませんでした。

ヒュイブレクツ氏は、次のように述べています。
「この結果は、オンダンセトロンが先天性奇形のリスクを有意に増加させないことを示していますが、口唇裂リスクのわずかな増加を無視することはできません。」
「この研究結果が、妊娠中に吐き気や嘔吐を経験し、治療に際してリスクと収益のトレードオフをとる必要のある女性の不安を取り除くことを願っています。」

出典:2018年12月18日更新『Study sees little danger from ondansetron during first trimester of pregnancy』The Harvard Gazette2019年4月9日に利用)
https://news.harvard.edu/gazette/story/2018/12/study-sees-limited-risk-in-taking-ondansetron-during-...