妊娠糖尿病の女性は将来心臓病の危険性が2倍に
妊娠糖尿病は後年の心臓病のリスク増加と関連していますが、いくつかの以前の研究は、このリスクは、その状態が、出産後も持続し2型糖尿病に発展するかどうかによることが示されています。
妊娠により糖尿病を発症した女性は、出産後10年以内に心血管疾患を発症する危険性が高い、と研究レビューは示唆しています。
いわゆる妊娠糖尿病は、人生の後半で心疾患のリスクの増加と関連していることは長い間、言われていましたが、以前行われたいくつかの研究では、このリスクは、糖尿病の状態が出産後も持続し、2型糖尿病に発展するかどうかによる可能性が示されていました。
研究者らは、約540万人の母親を対象とした過去の9件の研究のデータを調べました。
全体として、妊娠糖尿病の既往歴のある約8,000人の女性が心臓発作や脳卒中のような心血管イベントを経験し、妊娠合併症のない93,000人以上の女性でも同様でした。
トロント大学の研究主任研究者であるラヴィ・レトナカラン博士は、次のように述べています。
「この研究は、妊娠糖尿病の女性が妊娠合併症のなかった女性よりも主な心血管疾患がのリスクが2倍高いことを示しています。」
「このリスク増加は、2型糖尿病自体には依存していません。」
と、レトナカラン博士は述べました。
「妊娠糖尿病の女性と妊娠合併症のなかった女性との間で、リスクの差異は、妊娠後10年以内に発生します。」
妊娠糖尿病のなかった女性と比較して、出産後、最初の10年以内に心臓発作や脳卒中などを発症するリスクが2.3倍高かったのです。
研究者は、妊娠後に2型糖尿病を発症していない女性のみを調べた場合でも、妊娠糖尿病に関連した重篤な心疾患のリスクが56%高いことを依然として発見しています。
2型糖尿病は肥満や加齢に関連しており、心臓発作や脳卒中のような心血管系の問題を起こす危険性の増加と、長い間関連してきました。
この研究は、妊娠糖尿病が心血管疾患を直接引き起こすかどうか、またはどのように引き起こすかを証明するといった趣旨ではありませんが、肥満などの危険因子が妊娠中の糖尿病と心臓病の両方に寄与する可能性があることが示されています。
「完全には明らかではないものの、ほとんどの人にとって妊娠は将来の糖尿病と心臓病のストレステストのようなものだと思っています。」
と、オーロラにあるコロラド大学医学部の研究者、ジャシンダ・モーソン・ニクラス博士は述べました。
「妊娠糖尿病がリスクを高める原因となるわけではないですが、女性が妊娠糖尿病を発症した場合は、すでに存在していたそういったリスクが上昇したことを明らかにしているのです。」
妊娠糖尿病を発症した女性は、まだ比較的若い時期から定期的な心臓の健康診断を必要とするかもしれないとと研究著者らは結論付けています。
妊娠する前に将来の心血管疾患の危険性を下げるためにできることはたくさんあるとニクラス博士は言います。
これには、妊娠時に健康体重でいること、妊娠中に適度の運動して、健康的な食事を摂ることなどがあります。
「しかしながら、妊娠糖尿病は一般的であり、普通体重の女性でさえ起こり得ます。」
とニクラス博士は述べました。
「女性が妊娠糖尿病となった場合は、血糖を抑えるために医師と密接に協力することが重要です。」
妊娠糖尿病を発症した女性は、出産後、心臓への健康的な食事とライフスタイルを維持し、医師による検診を受けるべきです。」
とブリガムアンドウィメンズ病院のジェニファー・スチュアート博士は述べました。
健康的な食事を摂り、活動的でいること、喫煙をしないこと、そして太りすぎたり肥満にならないことなどの健康的なライフスタイルを維持することで、
妊娠糖尿病の既往歴のある女性の心疾患や脳卒中のリスクを減らせるのかもしれません。
【以下のウェブサイトより引用】