子供の肥満には、朝食抜きと不規則な睡眠が関係
研究によると子どもの間で急増する肥満は、食べ過ぎによるものとされています。
朝食を抜いて不規則な睡眠パターンとなるといった肥満の傾向に新しく光を当てた研究において、それが子どもを肥満の危険にさらす主な理由として特定されています。
ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジの学者が率いるこの研究は、急上昇している小児肥満の割合が過食によるものであるという広く認められた見解に挑んでいます。
2000年9月から2002年1月の間に英国の19,244軒の家族に生まれた子供たちの健康と状況の記録調査が、肥満になる可能性の重要な役割を果たしています。
研究を率いるUCLの疫学と公衆衛生学部門のイボンヌケリー教授は、「この研究は、不規則な睡眠パターンや朝食を抜くなどの日常生活の乱れが、食欲の増加とエネルギー密度の高い食品の消費による体重増加に影響を与える可能性があることを示しています。」と述べています。
ミレニアムコホート研究で収集されたデータの分析では、就寝時間が不規則か、睡眠時間が少なすぎる子供は体重が増加する危険性があることが示されています。また、母親が喫煙者かどうかということは子供の体重が過体重になるか肥満になるかを予測するうえで重要な要素です。
研究者たちはまた、子供の甘い飲み物の消費量や視聴しているテレビの量が、体重の不健康な増加に関係する強力な予測因子ではないと結論付けました。この調査結果は、金曜日にアメリカの医学雑誌Paediatricsに掲載されています。
ロイヤルカレッジの小児科、児童保健の会長であるニーナモディ教授は、次のように述べています。
「この論文はこの点を強調するだけでなく、肥満の多因子性を強調しています。単純に言えば、それはあまり食べすぎとは関係がありません。
この研究は、不規則な就寝や不十分な睡眠など、子供の体重に対する環境圧力の影響について指摘しています。言い換えれば、子供たちは複数の影響に対して非常に脆弱なのです。」
この研究では、過体重または肥満の母親から生まれた子どもが既に過体重であるリスクの増大していることも確認されています。
しかし、母乳育児や固形食の早期導入はそのリスクに大きな差はないことを研究者らは見出しました。
イギリスの子供の83.3%は非肥満指数を示しています。それは男児よりも女児である可能性が高く、ほぼ7人に1人(13.1%)が、BMIが適度に増加しています。他の2.5%にはBMIの急激な増加が見られます。
パキスタン、黒人系カリビアン、アフリカンの子どもたちがそのグループに属している可能性が高くなりました。
3歳までに既に肥満だったのは、0.6%とごくわずかでした。
モディ教授は、環境を変えて過体重になる可能性を減らすために、幼年期の早い時期により大きな介入が必要であるという結論を支持しました。
「私たちは、幼児期、そして実際に成人の肥満に取り組むための早期介入の重要性に長い間注目してきました。行動が早ければ早いほど、肥満を防止し、生涯にわたり健康へ影響をおよぼします。」と彼女は語りました。
極めて憂慮すべき子供の肥満と太りすぎといった罹患率を減らすために、対策の組み合わせが必要です。これには、妊娠前、妊娠中および妊娠後の両親の支援、健康を牽引することの重要性に関する家族の教育が含まれます。
この論文が示しているように、子供たちが人生の早い時期に適切な生活改善を行い、軌道に乗れれば、成人になっても健康を維持する可能性がより高くなります。
パブリック・ヘルス・イングランドの主任栄養士であるアリソン テドストン氏は、次のように述べています。
「朝食を抜くことは、貧しい食生活の指標となり、体重増加の素因となる可能性があります。家族が朝食を含む健康上の選択をすることは重要です。
このため、私たちは食品、飲料業界と協力し、子供たちにより健康的な食事を提供するため、糖分の一部を減らすことから始めます。」
(記事元)https://www.theguardian.com/society/2016/nov/11/childhood-obesity-linked-to-irregular-sleep-and-skipping-breakfast