定期的な運動は11歳前後の子供の脳の活動にも好影響
運動には多くの健康上の利点があることがわかっています。
ボストンチルドレンズ病院からの新しい研究では、また別の利点があることが示されています。それは、運動は、子供の発達中の脳を組織化するのに役立つようです。
カテリーナ・スタムーリス博士が主導したこの研究では、9歳と10歳の約6,000人の脳画像データを分析しました。
運動により、脳ネットワークがより効率的に組織化されその堅牢性や柔軟性に関連していることがわかりました。
運動が多ければ多いほど、脳に良い影響があります。
「子供たちがどのような運動を行っていたのかは問題ではありませんでした。」
とボストン・チルドレンズ病院の計算論的神経科学研究所を率いるスタムーリス博士は言います。
「運動を行っているということだけが問題でした。」
データの処理
スタムーリス博士と彼女の研修生であるスカイラー・ブルックス氏とショーン・パークス氏は、国立衛生研究所の後押しを受けた長期研究である青年期の脳認知発達研究(ABCD)からの脳画像データを利用しました。
彼らは、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)のデータを使用して、子供の脳回路の強度と組織特性について推定しました。
これらの測定値は、脳がどれだけ効率的に機能し、環境の変化にどれだけ容易に適応できるかを決定します。
「プレティーン(10歳~12歳頃)の子供の年は脳の発達において非常に重要な時期です。」
とスタムーリス博士は述べています。
「それらは、脳の機能回路、特に高レベルの思考プロセスをサポートするための多くの変化に関連しています。これらの領域の変化が不健康である場合は、危険な行動をしたり、学習と推論に必要なスキルが長期的に不足してしまう可能性があります。」
研究チームは、これらのデータを、家族から提供された子供の身体活動とスポーツへの関与に関する情報、およびボディマス指数(BMI)と組み合わせました。
最後に、彼らは、妊娠40週前の早産で生まれた、思春期の状態、性別、家族の収入など、脳の発達に影響を与える可能性のある他の要因についてのデータを調整しました。
健康な脳のネットワーク
週に複数回、少なくとも60分間活動することは、脳回路に広範囲にわたるプラスの効果をもたらしました。
高レベルの運動を行っていた子供たちには、学習と推論に不可欠な複数の領域で脳回路に有益な効果が示されました。これらには、注意、感覚および運動の処理、記憶、意思決定、および実行力(動作や行動を計画、調整、および制御する能力)が含まれていました。
対照的に、BMIの増加は、同じ脳回路に有害な影響を与える傾向がありました。
しかし、定期的な運動を行うことでこれらの悪影響は減りました。
「私たちは、運動が脳の組織に直接影響を与えるだけでなく、BMIを低下させることで、間接的にも影響を与えると考えています。」
とスタムーリス博士は述べています。
脳への影響につての分析
分析では、脳は「ノード(さまざまな強さの接続によって関連する脳領域のセット)」として数学的に表されました。
運動は、脳のネットワーク全体の効率性と堅牢性、そして、ノード接続数やクラスタリングなどといったより個人特有の資質の2種類にプラスの効果をもたらしました。
「比較的少数ではありますが、強力で広範囲の接続を介して相互に通信する高度に接続された固有の脳組織により、脳内の情報処理と伝達が最適化されます。」
とスタムーリス博士は説明します。
「10歳~12歳ごろのプレティーンでは、多くの脳機能がまだ発達段階であり、それらは多くの危険因子により変化する可能性があります。私たちの研究結果は、運動が脳の領域全体にプラスになる保護効果があることを示しています。」
【以下のリンクより引用】
Regular physical activity linked to more 'fit' preteen brains
Medical Xpress