実験室での分析では肉に近いものと肉そのものは栄養的に同じでないことが判明
植物由来の代替肉は、本物の牛肉と非常によく似た味と噛み応えがあり、栄養表示に記載されている13種類のビタミン、脂肪、タンパク質などは、本質的に同等であるように思われます。
しかし、デューク大学の研究チームが、「メタボロミクス(metabolomics)」として知られる洗練された科学技法を使用して、植物由来の代替肉の栄養成分をより深く調べたところ、植物対動物と同じくらい異なっていることがわかりました。
代替肉メーカーは、大豆からの鉄分を運ぶ分子であるレグヘモグロビン、赤ビート、ベリー、ニンジンの抽出物を加えて赤身をシミュレートするなど、植物由来の製品を可能な限り肉質に似せるために多大な努力を払ってきました。
メチルセルロースのような難消化性繊維を加えることで、肉に近い食感が増します。
また、植物由来の代替肉を肉のタンパク質レベルまで引き上げるために、大豆、エンドウ豆、その他の植物源から分離された植物タンパク質を使用しています。
一部の代替肉は、肉の栄養をさらに再現するためにビタミンB12と亜鉛も追加しています。
しかし、今週のオープンアクセスの学術雑誌Scientific Reportsに掲載された調査によると、他の多くの栄養成分はラベルに表示されておらず、肉とは製品が大きく異なります。
科学者が測定した代謝物は、エネルギー変換、細胞間のシグナル伝達、構成物の構築や破壊、そしてその他多くの機能に不可欠な体の生化学の構成要素です。
生物学ではこれらの分子が10万個以上あると予想され、人間の血液中を循環する代謝物の約半分は私たちの食事に由来すると推定されています。
「栄養表示を読んでいる消費者には、栄養的に互換性があるように見えるかもしれません。」
と、研究を主導したデューク分子生理学研究所のポスドク研究員であるステファン・ヴァン・フリート氏は述べました。
「しかし、メタボロミクスを使用してカーテンの後ろを覗き、栄養プロファイルをより広げて見ると、本物の肉との植物由来の代替肉との間に大きな違いがあることがわかりました。」
デューク分子生理学研究所にあるメタボロミクスコアラボ(Metabolomics core lab )では、アイダホ州の牧場からの18種類の牧草飼育牛挽肉サンプルと、18種類の人気のある植物由来の代替肉のサンプルを比較しました。
36種類の注意深く調理されたパテの分析では、彼らが測定した190個の代謝物のうち171個が牛肉と植物由来の代替肉の間で異なることが発見されました。
牛肉には、植物由来の代替肉には含まれていない22個の代謝物が含まれていました。
植物由来の代替肉には、本物の肉には含まれていなかった31個の代謝物が含まれていました。
アミノ酸、ジペプチド、ビタミン、フェノール、およびこれらの製品に含まれる飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の種類で最大の違いがありました。
クレアチン、スペルミン、アンセリン、システアミン、グルコサミン、スクアレン、オメガ3脂肪酸DHAなど、人間の健康に重要であることが知られているいくつかの代謝物は、全く含まれていないか、牛肉の方で多く検出されました。
「これらの栄養素には、潜在的に重要な生理学的に抗炎症性であるか、または免疫調節の役割があります。」
と著者らは論文の中で述べています。
「これらの栄養素は、私たちの脳や筋肉を含む他の臓器にとって重要です。」
とヴァン・フリート氏は述べています。
「しかし、動物性成分を含まないビーガン食を摂取している人にとっては健康的な生活を送ることができ、それは非常に明白です。」
さらに、植物ベースの代替肉には、フィトステロールやフェノールなど、牛肉には見られないいくつかの有益な代謝物が含まれていました。
「これらの代替肉が本物の肉と栄養的に全く同じではないということを消費者が理解することは重要ですが、それは、一方が他方よりも優れているということではありません。」
と、植物由来の食材を多く含む食事も肉も食べるという『自称雑食家』であるヴァン・フリート氏は述べました。
「植物性食品と動物性食品は、異なる栄養素を提供するため、補完することができます。」
彼は、肉および植物由来の代替肉に特定の代謝物が存在するかどうか、また、短期的または長期的な影響があるかどうかを判断するには、さらに研究が必要であると述べました。
【以下のリンクより引用】
Lab analysis finds near-meat and meat are not nutritionally equivalent
Medical Xpress