家庭用の化学物質による猫の甲状腺疾患
2019年7月10日(HealthDay News) - 現在多くの家庭用品に使用されている新しい難燃剤が猫を病気にしているのかもしれません。
新しい研究ではその可能性があることが示されています。
最初の症例が1979年に診断されて以来、甲状腺機能亢進症(高齢の猫での最も一般的な内分泌関連の疾患)の割合が急上昇したと研究者らは
報告しています。
この病気の猫には体重の減少や、食欲の増加、渇きや排尿の増加などが見られます。
その他の症状には、嘔吐、下痢、多動などもあります。
科学者たちは、症例の増加が新しい家庭用難燃剤の増加と関連しているのではないかと長い間疑っていたと研究著者らは
アメリカ化学会(American
Chemical Society)のニュースリリースにおいて述べました。
2004年には、ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)難燃剤が、環境上および健康上の懸念から段階的にその使用が廃止され始めました。
それらは、トリス(1,3-ジクロロイソプロピル)ホスフェート(TDCIPP)などの有機ホスフェートエステル(OPE)といった代替物質によって
置き換えられました。
この研究では、既知の内分泌攪乱物質であるPBDEと猫の甲状腺機能亢進症とを関連づけていましたが、
その過程ではOPEは調査されていなかったと研究者らは説明しました。
この研究では、オレゴン州コーバリスにあるオレゴン州立大学の毒物学者研究者であるキム・アンダーソン博士と博士のグループが、
7歳以上の78匹の飼い猫について調査を行いました。
猫の半分は甲状腺機能亢進症であり、半分は罹患していませんでした。
研究対象の猫には揮発性および半揮発性有機化合物を検知できるシリコンのペットタグが付けられました。
これまでの研究では、人々の化学物質への曝露を評価するためにシリコンのリストバンドが使用されてきました。
この研究で、対象となった猫は7日間シリコンタグをつけていました。
その後、研究者らはタグを分析し、甲状腺機能亢進症の猫のタグからより高レベルのTDCIPPを確認しました。
甲状腺機能亢進症でない猫の中では、TDCIPPへの曝露と、甲状腺機能亢進症の猫の中で上昇しているホルモン濃度との間に関連性がありました。
猫のタグで検知された高いTDCIPPレベルは、家庭での芳香剤の使用、2005年以降に建てられた家屋であること、
および布張りの家具の上で昼寝をすることなど、猫自身の好みに関連していたことを研究者らは見出しました。
この研究は7月10日にEnvironmental
Science&Technology誌に掲載されました。
【以下のウェブサイトより引用】