寄生虫感染症の薬は前立腺癌の治療に使用できる
スコットランド・グラスゴーにあるストラスクライド大学の研究によると、化学療法に使用される抗がん剤のドセタキセルを使用している場合、寄生虫感染症の治療に一般的に使用される薬物が前立腺癌の治療にも役立つ可能性があります。
この研究では、約1,000個の既存の薬剤をテストし、既存薬のメベンダゾールが、化学療法で広く使用されている別の薬物であるドセタキセルと組み合わせた場合に作用し、前立腺癌細胞を死滅させ腫瘍の成長を抑える能力を高めることがわかりました。
これらの薬物は、細胞が分裂するために使用する分子の「足場」を破壊します。
この足場は、癌細胞が成長および分裂するためには不可欠であり、2つの薬剤の併用療法は癌細胞死を劇的に増加させることがわかりました。
メベンダゾールは世界保健機関(WHO) の必須医薬品リストに載っており、薬剤師から1錠2ポンド(約300円)未満で購入できます。
この研究は、英国の医学誌『British Journal of Cancer』に掲載されています。
キャンサー・リサーチUKビートソン研究所とグラスゴー大学のヒン・レウン教授が主導し、ストラスクライド大学とワーウィック大学の研究グループと共同で行われました。
前立腺癌は、男性に影響を与える最も一般的な癌であり、英国では男性の癌による死亡原因では2番目に多い癌です。
この研究では、 Strathclyde Institute of Pharmacy and Biomedical Sciencesの読者であるクリスティーヌ・デュフェス博士の研究グループが、実験室モデルにおいて、腫瘍を標的とするリポソームはこの2つの薬物を捉えるように組織立て、そして実験室モデルで有効であるどうかを評価しました。
デュフェス博士は次のように述べています。
「前立腺癌では、毎年、世界中で数十万人の患者が亡くなります。英国だけで毎日100人以上の症例が診断されています。前立腺癌が再発または転移した患者に対する有効な治療法はまだないため、治療法の開発が急がれます。
「しかし、既存の薬剤での新しい組み合わせは、前立腺癌の強力な治療法になる可能性があります。 2つの薬物を閉じ込めた腫瘍標的化リポソームの静脈内注射が、腫瘍の成長を止め、減少をもたらし、実験室の設定で個別に注射された個々の薬物よりも強力でした。この結果は非常に有望です。」
世界的ながん研究の権威であるヘレン・リッポン博士は、この研究への資金提供で支援しました。
彼は、次のように述べています。
「この研究は、前立腺癌患者にとって真に革新的なものとなる可能性があります。ドセタキセルは前立腺癌の治療に使用される主な化学療法薬(抗がん剤)ですが、多くの患者は最終的に薬に対して耐性を発現し、癌が再発します。」
「この大胆で新しいアイディアは既存の医薬品を塩湯して化学療法の効果を高めるものです。そして、願わくば前立腺癌患者の転帰を改善できるようにしたいと思います。
私たちは研究チームが臨床試験に向けて作業を進めているので、その進捗を楽しみにしています。」
「英国では、前立腺がんにより毎年約12,000人が死亡しています。この研究は、最終的にはより多くの患者の命を救うより優れ、より効果的な治療に向けた有望な第一歩です。」
Cancer Research UKのシニア研究情報マネージャーであるサミュエル・ゴッドフリー博士は次のように述べています。
「既存の医薬品とさまざまな抗がん剤との併用は、研究の興味深い分野です。
調査された数百もの医薬品のうち、安価な寄生虫治療薬が研究室での癌細胞死を劇的に増加させると思った人ははほとんどいなかったでしょう。
次のステップでは、前立腺癌患者へこの新規の組み合わせをテストして、安全で、かつ現在の治療法よりも優れているかどうかを確認することです。」
【以下のリンクより引用】
Worm infection drug could be used to treat prostate cancer
News from Univercity of Strathclyde Glasgow