小児での腸透過性の増加はセリアック病の前兆であることが発見される
マサチューセッツ総合病院にあるMass General for Childrenとイタリアの研究者らは、小児におけるセリアック病の自己免疫の発症に先行する潜在的なバイオマーカーを特定しました。
研究者らは、10年間の前向きセリアック病ゲノム、環境、マイクロバイオームおよびメタボロミクス(CDGEMM)研究から得られた血液サンプルと環境データおよびその他のデータを使用して、セリアック病の生理学的前兆である「セリアック病自己免疫」を発症した小児において、腸管透過性が増加していることを発見しました。
Pediatrics誌に掲載された論文「セリアック病発症のバイオマーカーとしてのゾヌリン(Zonulin as a Biomarker for the Development of Celiac Disease)」では、広く使用されている腸管透過性マーカーのレベルが、その後セリアック病を発症した生後18か月の小児コホートで高かったと報告しています。
「ゾヌリンレベルで測定した腸管透過性は、クローン病や1型糖尿病を含む特定の慢性炎症性疾患で増加することがわかっています。」
とMass General for Childrenにあるセリアック病研究治療センターの臨床ディレクターであるシニア研究著者のモーリーン・レナード医学博士は言います。
「セリアック病のリスクがあると特定された子供たちは、セリアック病と診断される前の期間に、ゾヌリンの値が大幅に上昇していることがわかりました。」
とレナード博士は述べています。
「私たちの発見は、セリアック病のリスクのある子供をスクリーニングするためのバイオマーカーとしてゾヌリンが使用できることを示唆しています。」
この研究グループには、イタリアのサレルノ、ローマ、バーリ、ジェノバの小児科研究者が含まれ、CDGEMM研究に登録されたセリアック病のリスクがある102人の子供からのデータを評価しました。
51人の子供はセリアック病の自己免疫を発症しましたが、51人の子供は発症しませんでした。
研究グループは、生後12カ月からセリアック病自己免疫の発症まで、または対照被験者の対応する時点までの血清ゾヌリン測定とともに、乳児への抗生物質の投与頻度など、ゾヌリン濃度に対する環境要因の影響を研究しました。
研究者らは、セリアック病の自己免疫を発症したグループでは、対照グループと比較した場合、抗生物質の投与回数が多いことと、ゾヌリン値が高いこととの間に関連性があることを発見しました。
彼らの発見では、セリアック病の自己免疫を発症する前に、抗生物質の使用量が多かったそのリスクのある乳児においてサブグループではゾヌリンが上昇していることを示しました。
この結果は、デンマークとノルウェーの研究者による調査結果と一致しています。
論文の中で著者らは、「将来の病気の予防に役立てるため、不必要な抗生物質の使用を減らすための継続的な努力の必要性」
を呼びかけています。
CDGEMM 研究は、遺伝的素因からセリアック病への進行を研究するために、2013 年にアレッシオ・ファサーノ博士とレナード博士によって設立されました。
それ以来、ここへはセリアック病を患う一等親族を持つ米国とイタリアの 600 人以上の小児と乳児が、血液、便、組織サンプルと共に広範な環境、および臨床情報の詳細が提供されてきました。
「私たちの目標は、セリアック病の発症を防ぐために、セリアック病が完全に進行する前に、セリアック病の自己免疫の初期段階を解明することです。」
と、セリアック病 研究治療センターの所長でもあるファサーノ博士は言います。
「セリアック病の自己免疫を発症するのはどういう人かを予測し、その発生を防ぐための措置を講じることで、その目標を達成できます。」
【以下のリンクより引用】
Researchers find increased intestinal permeability is precursor of celiac disease in pediatric study
Medical Xpress
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