山火事の煙が心疾患を起こすかもしれない
2019年7月22日アメリカ心臓協会(American Heart Association)ニュース -
2017年10月、Tubbs Fire(カリフォルニア史上最も甚大な被害があった山火事)がカリフォルニア州サンタローザ近郊を襲ったとき、 リチャード・グランディさんとジャメイ・ハズウェルさん夫妻はどれほどの煙を吸いこみ、それが彼らの健康に影響を及ぼしていたのかを考える時間は ほとんどありませんでした。
彼らが私道から抜け出したとき、木々はすでに燃えていました。
炎は近隣の家屋を焼き尽くし、最終的には彼らの家も焼失してしまいました。夫妻は山火事から数マイル離れたホテルに避難しましたが、火のついた灰がその周囲にも降り注ぎました。
「私たちはおそらくまずい場所を歩き回っていたのでしょう。」
約1ヵ月後、ハズウェルさんの体は腫れあがりました。医師は彼女を心不全と診断しました。彼女は、この疾患を患っていたことを暫く前から 知っていましたが、山火事の煙を吸ったことが症状を悪化させたのではないかと疑問に思っています。
ロサンゼルスのUCLAメディカルセンターの心臓専門医であるジャンキ・シャー博士によると、山火事の煙は潜在的に危険であり、心臓や肺の状態を悪化させる可能性があります。
昨年、ロサンゼルス近郊のマリブの丘陵地帯を襲った破壊的な被害があった山火事、Woolsey Fireでは、シャー博士と彼女の家族はカラバサスにある自宅から避難指示を受けました。
自宅の近隣は破壊を免れたものの、シャー博士と彼女の家族は何日も家へ帰れず旅を重ねる状態が続き職場も混沌としていました。
「火事の翌週は、火事に関連した心臓病を患う人が非常に多く、そういった人々の診察で今までで最も忙しくなりました。」とシャー博士は述べました。
ワシントン大学医学部で緊急医療を行うザカリー・ウェットスタイン博士は、2015年の山火事のシーズンにサンフランシスコVAメディカルセンターで 働いていましたが、心不全と慢性肺疾患の治療を求める患者数の増加に気付きました。
彼はカリフォルニア保健省と環境保護庁の研究者とこの問題について調査しました。
昨年発行されたアメリカ心臓協会(American Heart Association)の協会誌に掲載された彼らの研究では、2015年には、カリフォルニア全土で100万件を超える緊急治療が行われました。
彼らは、山火事の煙を浴びることと心臓発作、脳卒中、心不全の悪化、肺塞栓のリスクの増加との間の関連を見つけました。
「人々がより強烈な煙に曝されたとき、その関連はより強くなりました。」
と、ウェットスタイン博士は述べました。
そのリスクは65歳以上の人々の間で最高となりました。
他の研究でも、山火事の煙への曝露と、喘息や慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患による他の形態の大気汚染、さらには死亡との関連性さえ発見されています。
山火事の煙は、一酸化炭素のような有害なガスだけでなく、排出される細かい粒子状物質は、肺や血流に入るのに十分なほど小さい成分も 含んでいるので、特に危険です。
これは炎症、血栓および心臓発作を引き起こす可能性があります。
「山火事の煙は身体の複数の部分に影響しています。」とシャー博士は述べました。
彼女が診察した、通常は軽度の喘息症例でも、ウールジー火災の煙によって悪化していると述べました。
「それはストレスホルモンレベルの上昇を引き起こし、血圧を上昇させる可能性があります。また、血糖、脂質およびインスリンの代謝に影響を与える可能性があります。煙に曝されないことが重要です。」
EPA(米国環境保護庁)のモニタリングWebサイト、AirNow.govでは、粒子状物質のレベルなど、大気質に関する情報が公開されています。
体調が悪いときは、人々、特に心臓が悪い人は、屋外での身体活動を減らすか取りやめる必要があります。
外出が避けられない場合、EPAは小さい粒子をろ過するように設計されている、『N95』または『P100』のマスクを着用することを推奨しています。
より暑く、乾燥した夏、そしてより大きく、より激しく燃える山火事を起こす、世界的な地球温暖化の証拠を受け、山火事で発生する煙へ暴露されることでの、長期的で累積的な影響についてもっと多くの研究が必要であると、ウェットスタイン博士は言います。
「これは研究するには非常に大きな分野です。国内や世界中のより多くの人々がより長い期間にわたってより多くの山火事の煙にさらされることに なってしまうからです。」
グランディさんとハズウェルさんは、火事で彼らの家が焼失した後、サンタローザを離れるという考えを明らかにしました。
しかし、地域のコミュニティで集まったことでそこにとどまる決意をし、彼らはすぐに素晴らしい山の景色が望める新しい家を見つけました。
それ以来、2018年にパラダイスを焼き尽くした山火事も含め、この地域には他にもいくつかの大規模な火災がありました。
その間、ハスウェルさんは、煙が非常に濃く、視界をほどんど覆い隠しました。
「あの時の経験がフラッシュバックしました。」
【参照記事】
AHA News: Where There's Wildfire Smoke, There May Be Heart Problems