山火事の煙は喘息の子供が緊急搬送される可能性を上げる

2021年3月23日（HealthDay News）-　山火事の煙により、呼吸器系の問題を抱える子供たちがかつてないほどの割合で緊急搬送されていることが新しい研究で明らかになりました。

カリフォルニア大学サンディエゴ校の家庭医学と公衆衛生の准教授である主任研究員のタリック・ベンマーニア博士は、次のように述べています。

「子供たちは山火事による汚染に対して特に脆弱であり、喘息の悪化やその他の呼吸器系の問題を発症する可能性があります。」

小さな山火事であってもPM2.5と呼ばれる微粒子汚染を、交通やその他の燃焼源から通常見られるレベルよりも高いレベルで発生させます。

さらに、火災による汚染物質は高温で生成されるため、より毒性が高いとベンマーニア博士は説明しました。

「過去数年間の毒物学的研究では、山火事のように非常に高温で煙が発生する場合、交通などの他の煙の排出源と比較して、酸化ストレスが高くなることがわかりました。これは、これらの粒子が肺機能を損なうということを意味します。」

ベンマーニア博士は、子供の肺はまだ発達しているため、大気汚染による被害を受けやすい可能性があると指摘しました。

この研究のために、ベンマーニア博士と彼の同僚は、サンディエゴ郡での呼吸困難、喘鳴、喘息、咳などの呼吸器疾患を患う19歳以下の患者について、救急および緊急医療施設への訪問に関するデータを収集しました。調査期間は2011年から2017年まででした。

彼らは、山火事以外の大気汚染では呼吸器系の問題により子供たちが緊急搬送される確率が4％近く増加するのに対して、山火事汚染が起因では30％も増加することを発見しました。

「この研究から私たちが結論付けたのは、安全なレベルの汚染はないということです。」

とベンマーニア博士は述べました。

 「レベルが低いほど影響は少ないですが、どのレベルの汚染もこのリスクの増加に関連しています。」

気候変動がより多くの火災を引き起こすにつれて、山火事汚染による危険性は高まると予想されていると彼は述べました。

「残念ながら、これは今後数十年の間でも予想されることであり、カリフォルニアで発生する汚染問題のほとんどは、以前のように交通からではなく、山火事から発生するでしょう。」

山火事による汚染を避けるための最善のアドバイスは、窓を閉め、エアコンまたは空気清浄機を作動させた状態で子供を屋内に留めておくことです。

ベンマーニア博士は、マスクの着用を勧めています。

 COVID-19によりマスクの着用という点では新しい基準ができたので、それはもっと簡単かもしれません。

「学校で率先してそれを行うことが素晴らしいイニシアチブになると思います。」

と彼は述べました。

「何が起きているとしても、これは残念ながら新しい現実であるため驚かされるのではなく、それに適応する準備ができている必要があります。」

ボルチモアにあるジョンズホプキンス大学の呼吸機能検査室の医療ディレクターである、メレディス・マコーマック博士は、この研究には関与していませんでしたが、調査結果を受け、山火事による汚染が悪化し、成人期まで子供の呼吸器の健康に影響を与える可能性があると考えています。

「私たちは、今後より多くの火災が発生することを予想しており、それが小児期に起こることは、成人としての慢性肺疾患のリスク傾向を設定することもできます。」

とマコーマック博士は述べました。

小児喘息は慢性肺疾患を発症する危険因子であり、小児期に大気汚染にさらされることが多いと、肺機能が低下し喘息が悪化する危険があると彼女は述べました。

マコーマック博士はまた、山火事はカリフォルニアに限定されているのではなく、全国でより一般的になっていると述べました。

山火事による汚染はまた、子供たちを他の呼吸器感染症に対してより脆弱にする可能性があると彼女は言います。

マコーマック博士によると、大気汚染がCOVID-19やその他のウイルス感染の危険因子であることを示す証拠が増えているといます。

「人々が肺の健康を守るために何ができるかについて、より考慮できる1つの要因だと思います。確かに、COVIDのリスクを最小限に抑える方法を考えると、特にワクチンをまだ接種していない子供は影響を受けやすいかもしれません。」

 「大気質は、私たちが改善を試みることができる良い例です。」

ベンマーニア博士のように、マコーマック博士は人々に山火事によって引き起こされる有毒な汚染から彼ら自身と彼らの子供たちを保護するための措置をとるように忠告します。

「換気を確認し、優れたエアコンフィルターや携帯用の空気清浄機を用意してください。」

と彼女は述べました。

 「また、窓を閉めきり、空気清浄機を設置することは、家の空気の質を改善するための方法です。」

この報告は、3月23日にthe journal Pediatrics（小児科）誌のオンライン版で公開されました。

【以下のリンクより引用】

Wildfire Smoke Can Send Kids With Asthma to the ER

Healthday