徐放性薬レベチラセタムでネコのてんかんを管理
ネコへの経口薬を投与することは、飼主にとっては困難であり、飼主にもペットであるネコにもストレスとなる可能性があります。
てんかんがある場合、投薬の難しさとストレスにより、投薬もなおざりとなり、治療が困難となる可能性があります。
ネコにおけるレベチラセタムの薬物動態は以前に報告されています。
通常放出製剤は半減期があるため、以前は1日3回の投与が推奨されていました。
ウィスコンシン大学獣学部の研究者は、最近になり、徐放性レベチラセタムの1日1回投与での濃度および副作用を評価しました。
その結果は、『Journal of Veterinary Internal Medicine』に掲載されました。
研究について
この研究ではペットとして飼われている9頭の健全なネコが登録されました。
すべてのネコに、経口にて延長放出薬レベチラセタム500mg(中央値94.3mg
/ kg;範囲75.7-98.0mg / kg)が11日間、1日1回投与されました。
薬は毎朝、投与されました。
11日目には、投薬前および投与の4時間、6時間および8時間後に、薬物動態分析のため、各猫からトラフ値検査用に血液サンプルが採取されました。
血清生化学プロファイルが、投薬開始前と11日目に行われました。
研究期間を通して、飼主は、副作用、食欲および食事および投薬のタイミングを記述するログを毎日つけました。
結果と考察
全錠剤を、全てのネコに首尾よく投与して、薬物の徐放特性を保存しました。
ピーク濃度(Cmax)は、9匹の猫のうち5匹でしか計算できませんでした。
2匹のネコについては8時間の血液サンプリングによってCmaxに達しなかったので、ピーク濃度のデータは入手できませんでした。
また他の2匹のネコは採血を拒み、サンプルを得ることができませんでした。
これらからはサンプルを採取できませんでしたが、9匹のうち8匹からのサンプルは、4時間,6時間および8時間で分析することができました。
利用可能なデータに基づいたところ、平均Cmaxは102.5mg
/ mL(範囲、92.7-125.3mg / mL)でした。
サンプルサイズは非常に小さいものでしたが、投薬時に食事を取ったネコは、食べなかったネコと比較してCmaxは高くなりました(n = 2、平均114.45mg / mL、範囲、103.6-125.3mg
/ mL) (n=3;平均94.6mg / mL; 範囲不可)。
これがより多くのネコの間で一貫しているかどうかは不明であり、さらなる研究が必要です。
平均トラフ濃度は、9匹のネコのデータに基づいて8.0mg / mL(範囲、2.3-14.1mg
/ mL)でした。
副作用は一時的または散発的で軽度でした。
1匹のネコが初日にのみ運動失調を呈しました。
また、1匹の猫は2日目にのみ鎮静作用を示しました。
他の1匹の猫は3日目および7日目にのみ嘔吐または逆流を起こしました。
しかし、用量調整は必要ありませんでした。
全てのネコにおいて、0日目と11日目の間に血清生化学プロファイルにおける有意な変化は同定されませんでした。
臨床への影響
健康なネコにおいて徐放性レベチラセタム(500mg、5㎏以上のネコでの経口投与)を1日1回投与することは耐容性が良好であり、血清濃度に基づくと薬物蓄積もありませんでした。
この記事では触れられていませんが、腎不全のネコは薬物蓄積のリスクがより高くなる可能性があるため連続トラフ濃度のモニタリングが必要となる場合があります。
公表されているヒトの治療範囲よりもピーク濃度が高く、トラフ濃度は低くなっています。
しかし、ネコの治療範囲は未知のままです。
他の抗てんかん薬と同様に、長期的使用による毒性の兆候の監視と突発性発作は、これらの管理において重要な要素となります。
【以下のウェブサイトより引用】